召喚されたら無能力だと追放されたが、俺の力はヘルプ機能とチュートリアルモードだった。世界の全てを事前に予習してイージーモードで活躍します

あけちともあき

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終章・始まりの王編

第189話 途中で神様で和平の依頼

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 カオルンとアカネルと、楽しく励んでいたところである。
 外では宴の声がずっと聞こえており、あちこちで歌声も響いている。

 平和である。
 平和な中だからこそ、昼間っから励めるのだ。
 素晴らしい。

 今後は大いに励み、子孫を繁栄させていこう……。
 そう誓う俺なのだった。

「あれっ、マナビ! アカネルが変なのだ!」

 休憩がてらジュースなどを飲んでいたカオルンが、アカネルの変化に気付いた。
 そう言えば……。
 なんか全然反応が無くなったような。

 ぽーっとしたアカネルが虚空を見つめている。
 その唇が動いた。

『一時的に当機能はヘルプ機能によって管理されます。異世界パルメディアの神格からのアプローチを確認しました。マスターへの取次を希望しています』

「へえ、神様が直接ヘルプ機能にアクセスしてくるのか。まあ、一回ずつ終わってたしちょうどいいんじゃないか。繋いでくれ」

『了解しました。神格を表示します』

 アカネルの頭上に、映像が出現した。
 そこに映っているのは、頭から角を生やした長髪の美形である。
 肌の色は青く、瞳は金色だ。

『対応を感謝する。我は魔族を束ねる魔界神バリオスだ。星の救い手たるコトマエ・マナビとの会談をしたい』

「魔族の神様か! そりゃあまた、いきなりだな。どうしたんだ」

『うむ。積もる話もある。そちらは他の神の守りが無い。我が行っても問題無かろう』

 魔界神バリオスはそう言うと、よっこらしょ、とヘルプ機能画面の枠に手をかけた。

「えっ、そういうのありなの?」

『魔界神は境界を司る神だ。故に境界線を自在に超えることができる。この世界の伝承で、魔族が突如、いるはずのない場所に現れて襲ってきたというものがある。あれは我の仕業だ』

「ほうほう」

 集団転送能力とでも言うのか。
 人間サイズのバリオスは、ホテルへ降り立った。

 そして、ポカーンとするカオルンと、素っ裸で大の字になっているアカネルを交互に見た。

『邪魔してしまったか』

「あ、気にしないでいい。カオルン、アカネル、服着て服。ヘルプ機能、もうアカネルに権限返して。用事終わっただろ」

 すぐに、アカネルは意識を取り戻した。
 そしてバリオスを見て、「ウワーッ」とか言いながら慌ててシーツで体を隠す。

 恥じらい!
 萌えますなあ。

 俺は腰にタオルを巻いた状態である。
 このままバリオスとの会談に臨もうとしたら、

『チラチラ見えて気が散るから何か穿いてくれ。境界線で区切っておくことが大切だぞ』

「さすがは境界線を司る神だな」

 ということで、パンツとズボンとシャツを身につけることになるのだった。

「それで、バリオスは俺に何の用事が?」

『話が早い。助かる。頼みたいのは、魔族の助命についてだ』

「おお」

 やっぱり。

『魔導王が倒され、世界は人間のものになった。そうである以上、次に狙われるのはシクスゼクスの地にいる魔族であろう』

「だろうなー」

『それは困る。魔族だって生きているのだ。我は魔導王によって追放された魔族を守り、導き、人と魔族の子を王に据えた国を作り上げた。今はバフォメスが必死に頑張っている。そんなギリギリのバランスで生き残っている魔族を助けて欲しい』

「そんな危ないところだったのか。何かある度に突っかかってくるから、余裕があるのかと思ってた」

『そなたが当たり前みたいな顔してシクスゼクスの国境を何度も超えるからだ』

「言われてみれば確かに……」

 自国にスナック感覚で侵入されて気分のいい国は無いよな。

「だが、それというのもイースマスがシクスゼクスの中にあるからだぞ。あそこを取り込んだの大失敗だろ。管理できないだろ」

『うむ。オクタゴンとは何度も交渉が決裂している。穏便に移住してほしいのだが、魔族の方が後から来たのだから譲るいわれは無いと言われてな』

「そうだよなあ。じゃあどうだ。イースマスと外部を繋ぐルートをだな、シクスゼクス側から外部へオープンにするんだ。それで魔族側から融和の姿勢を見せるというだな」

『ふむふむ。人族がそれに乗じて襲って来そうな気もするが……』

「争いは止まらないだろ。だが、オープンなルートができることで、シクスゼクスはあまりイライラしないで済む。人族との戦いは戦いで、また別だ」

 そっちに俺は関与するつもりはない。
 今回の魔導王戦のように、全面戦争にさえならなければいいのだ。

「頭数ならどっちも似たようなもんだ。だが、こっちは魔導王に勝った勢いと、バーバリアンに信仰に魔導機械がある。分が悪かろう」

『悪い。今、シクスゼクスを全軍で攻められれば、魔族はこの大陸を放棄して逃げ出すしかなくなるだろう。あるいは世界の各地に潜伏し、ゲリラ的な活動を行うかだ』

「うんうん。それは魔族からすると生活の破綻を意味するし、人間からするといつどこから魔族が来るか分からないから、安心できなくなるんだよな。よろしくない」

 俺とバリオスで、話を詰めていく。
 これを横で聞いていたカオルンが、ほえーと声をあげた。

「マナビが頭のいい話をしてるのだー。いっつも、戦うこととエッチなことしか考えてないと思ってたのだ」

「マスター、もともと策略を練るのがお好きなんですよ。それに、大きな戦いは終わったでしょう。だからこれからは、戦後のことを考えていかないといけないんです」

「なるほどなのだー。なんだか複雑そうで、カオルンはよく分からないのだ」

 そうであろうそうであろう。
 戦いと戦いの合間は平和になる。
 だが、平和な時こそ、どうやってそれを維持するか、そしてどうマシな状況に持っていくかが重要なのである。

「よし、じゃあ、魔族のトップと人族のトップを会談させよう」

 世界を次のステージへ進めるために、俺は提案をするのだった。
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