俺は異世界の潤滑油!~油使いに転生した俺は、冒険者ギルドの人間関係だってヌルッヌルに改善しちゃいます~

あけちともあき

文字の大きさ
221 / 337
73・カレーコを求めて

第221話 その名はカレーコ

しおりを挟む
 全ての義務を果たし、ここからは趣味と実益を兼ねた本番。
 カレーコを探すよ!!

 まあ、場所は知識神に聞いてある。
 なので掘るだけなのだ。

 僕を手伝うために、砂漠の王国の兵士と執政官までやってきている。
 えっ、執政官も地面を掘るんですかね!?

「手伝わせてください! 我々がすぐ近くにありながら気づかなかったハーブ、カレーコ……! 知識神のお告げを受けたというナザル殿しか発見できぬものなのでしょう。この目で見たい!」

「すっかり執政官殿はナザル殿のファンになってしまったようだ」

 ツインが言う通りっぽい。
 なんたることか。

「では皆さん、必要な道具はこれです。つるはし!!」

「つるはし!? ハーブなのに!?」

「ナザル殿のやることは常に予想がつかないからね。さあみんな、言われた通り、つるはしを用意しよう!」

「準備万端ですよ~」

「いこー!」

 ツイン、ルリア、うちのコゲタはもう準備が終わっているのだ。
 兵士たちも慌ててつるはしを持ってきた。
 執政官までつるはしを担いでいるではないか。

 そんなわけで、僕らは一列に並んで岩石砂漠へと繰り出した。
 なんと、砂漠の王国からほんの数百メートルという場所。

「こんな近くにカレーコが!?」

「あるみたいですねえ。知識神のお告げなんで絶対にありますよ。これでありがたいなーって思ったら、ぜひ砂漠の王国に知識神のほこらを建ててあげてください」

「もちろんだ! しかし、一体どこに……」

「あ、ついたついた。ここです!」

「ここ!?」

 到着した場所を見て、執政官が目を剥いた。
 さもありなん。
 それは、巨大な岩石の山のようにしか見えないからだ。

「私が生まれた頃からずっと、この岩山はあった気がしますぞ……。もちろん、植物など苔くらいしか生えていない。これがどうして……」

「こういうことですよ。ツアーッ!!」

 僕は裂帛の気合とともにつるはしを叩き込んだ。
 それは、苔が生えている場所である。
 つるはしが突き刺さると、カツーンという音ではなく。

 ぬるりっとそこの岸壁が剥がれ落ちた。

「あっ!!」

 誰もが声をあげた。
 剥がれた岸壁は、なんと鮮やかな金色をしていたのである。
 しかもちょっと湿っている。

「ま……まさか……! まさかこの岩山そのものが……!!」

「その通り。ここは岩石砂漠ではなかったんですよ。カレーコ砂漠です」

「な、なんだってー!!」

 砂漠の王国の民たちが、一斉に叫んだのだった。


 カレーコは掘り方にコツがある。
 表面はまさに岩石を纏い、とんでもない硬度である。
 刃はとても立たないし、ハンマーだろうがつるはしだろうが跳ね返してしまう。

 だが、カレーコが呼吸をするために開いている場所があるのだ。
 それが、苔に見える部分。

 そこに的確につるはしを叩き込むと、ペロッと剥げる。
 ただ、でかく育ったカレーコはほんの僅かな外側しか剥ぐことができない。

 必要な分だけ剥ぎ取って、あとは放置してもらうべきなのだ。
 そうしていると、一年ほどでまた剥いだ跡が育つ。

 みんながガンガンと剥ぎ取って、とりあえずかなりの量が採れた。
 かなりの重さだ。

「とあー!」

 コゲタが苔のところをコンコン叩いている。
 そうしたら、ペロッと剥がれた。

「やったー!!」

「上手上手!」

 僕はコゲタをワシャワシャ撫でて褒めた。
 なお、ツインは恐らく物理的な硬度関係なく、光の刃で削り落とすことができるだろうが……。

「ははは、これは楽しいもんだなあ!」

 ちゃんとみんなに合わせて、つるはしのみで剥ぎ取っている。
 マナーを守る男!

 ルリアはいまいちやり方が分からないらしくて、コンコンっとずっと岩壁を叩いていた。

 さて、めぼしい苔の部分はなくなったから、これ以上の採集は常識的な方法では不可能だろう。

「うわっ、凄い香りが漂ってきた! なんだこれは……!?」

 執政官と兵士たちが驚愕している。
 岩石砂漠……いや、カレー粉砂漠を覆い尽くさんばかりに、凄まじい濃厚さのカレースメルが溢れ出してきたのである!

「では、みんなで運搬します! あ、ごめん、運搬の話を忘れてたな。ええと、岩石の重さなんで車が必要になる!」

 ここで、みんなでまた砂漠の王国まで戻り……。
 らくだが引く荷車がたくさんやってきた。
 そこへ、カレーコをどんどん積み込む。

 一枚一枚がずっしりした重さだ。
 小さな欠片を、コゲタが拾ってペロッと舐めていた。

「ぴゃー! からいー」

「カレーの結晶みたいなもんだから、直接舐めたらいけないぞー」

「あーん」

 辛がっているコゲタに、水を飲ませつつ。
 荷車と並んで王国へ戻る僕らなのだった。

 砂漠の王国の広場に、カレーコがガラガラと積み上げられていく。
 とんでもない量だ。

 恐らく、砂漠の王国だけでは一年掛かっても消費しきれまい。
 ノーザンス大陸の隅々まで行き渡るには、十分なだけの量がある。

 凄いカレーの香りに、王国の民たちがぞろぞろ集まってきた。
 なんだなんだと見ている。
 
 ついには、他の執政官に、どうやらたくさんの騎士を従えている王様まで現れた。

「では皆さん! ここにある素晴らしいハーブ、カレーコを使い……。カレーという最高に美味しい料理が誕生します! よくご覧あれ!」

 さあ、調理開始である。

しおりを挟む
感想 77

あなたにおすすめの小説

『冒険者をやめて田舎で隠居します 〜気づいたら最強の村になってました〜』

チャチャ
ファンタジー
> 世界には4つの大陸がある。東に魔神族、西に人族、北に獣人とドワーフ、南にエルフと妖精族——種族ごとの国が、それぞれの文化と価値観で生きていた。 その世界で唯一のSSランク冒険者・ジーク。英雄と呼ばれ続けることに疲れた彼は、突如冒険者を引退し、田舎へと姿を消した。 「もう戦いたくない、静かに暮らしたいんだ」 そう願ったはずなのに、彼の周りにはドラゴンやフェンリル、魔神族にエルフ、ドワーフ……あらゆる種族が集まり、最強の村が出来上がっていく!? のんびりしたいだけの元英雄の周囲が、どんどんカオスになっていく異世界ほのぼの(?)ファンタジー。

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

おっさんが雑魚キャラに転生するも、いっぱしを目指す。

お茶飲み人の愛自好吾(あいじこうご)
ファンタジー
どこにでも居るような冴えないおっさん、山田 太郎(独身)は、かつてやり込んでいたファンタジーシミュレーションRPGの世界に転生する運びとなった。しかし、ゲーム序盤で倒される山賊の下っ端キャラだった。女神様から貰ったスキルと、かつてやり込んでいたゲーム知識を使って、生き延びようと決心するおっさん。はたして、モンスター蔓延る異世界で生き延びられるだろうか?ザコキャラ奮闘ファンタジーここに開幕。

スキルハンター~ぼっち&ひきこもり生活を配信し続けたら、【開眼】してスキルの覚え方を習得しちゃった件~

名無し
ファンタジー
 主人公の時田カケルは、いつも同じダンジョンに一人でこもっていたため、《ひきこうもりハンター》と呼ばれていた。そんなカケルが動画の配信をしても当たり前のように登録者はほとんど集まらなかったが、彼は現状が楽だからと引きこもり続けていた。そんなある日、唯一見に来てくれていた視聴者がいなくなり、とうとう無の境地に達したカケル。そこで【開眼】という、スキルの覚え方がわかるというスキルを習得し、人生を大きく変えていくことになるのだった……。

インターネットで異世界無双!?

kryuaga
ファンタジー
世界アムパトリに転生した青年、南宮虹夜(ミナミヤコウヤ)は女神様にいくつものチート能力を授かった。  その中で彼の目を一番引いたのは〈電脳網接続〉というギフトだ。これを駆使し彼は、ネット通販で日本の製品を仕入れそれを売って大儲けしたり、日本の企業に建物の設計依頼を出して異世界で技術無双をしたりと、やりたい放題の異世界ライフを送るのだった。  これは剣と魔法の異世界アムパトリが、コウヤがもたらした日本文化によって徐々に浸食を受けていく変革の物語です。

剣ぺろ伝説〜悪役貴族に転生してしまったが別にどうでもいい〜

みっちゃん
ファンタジー
俺こと「天城剣介」は22歳の日に交通事故で死んでしまった。 …しかし目を覚ますと、俺は知らない女性に抱っこされていた! 「元気に育ってねぇクロウ」 (…クロウ…ってまさか!?) そうここは自分がやっていた恋愛RPGゲーム 「ラグナロク•オリジン」と言う学園と世界を舞台にした超大型シナリオゲームだ そんな世界に転生して真っ先に気がついたのは"クロウ"と言う名前、そう彼こそ主人公の攻略対象の女性を付け狙う、ゲーム史上最も嫌われている悪役貴族、それが 「クロウ•チューリア」だ ありとあらゆる人々のヘイトを貯める行動をして最後には全てに裏切られてザマァをされ、辺境に捨てられて惨めな日々を送る羽目になる、そう言う運命なのだが、彼は思う 運命を変えて仕舞えば物語は大きく変わる "バタフライ効果"と言う事を思い出し彼は誓う 「ザマァされた後にのんびりスローライフを送ろう!」と! その為に彼がまず行うのはこのゲーム唯一の「バグ技」…"剣ぺろ"だ 剣ぺろと言う「バグ技」は "剣を舐めるとステータスのどれかが1上がるバグ"だ この物語は 剣ぺろバグを使い優雅なスローライフを目指そうと奮闘する悪役貴族の物語 (自分は学園編のみ登場してそこからは全く登場しない、ならそれ以降はのんびりと暮らせば良いんだ!) しかしこれがフラグになる事を彼はまだ知らない

気づいたら美少女ゲーの悪役令息に転生していたのでサブヒロインを救うのに人生を賭けることにした

高坂ナツキ
ファンタジー
衝撃を受けた途端、俺は美少女ゲームの中ボス悪役令息に転生していた!? これは、自分が制作にかかわっていた美少女ゲームの中ボス悪役令息に転生した主人公が、報われないサブヒロインを救うために人生を賭ける話。 日常あり、恋愛あり、ダンジョンあり、戦闘あり、料理ありの何でもありの話となっています。

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

処理中です...