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第二章
第32話 ラーニング! 腐れ縁竜騎士とタイムスリップ
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村人や、村人に化けたモンスターたちをワールウインドでふっ飛ばしながら突き進む俺たち。
ついに隣村の連中は、俺とエリカを見るだけで慌てて後退するようになった。
「化け物だ! とんでもない連中がいる!」
「先生を呼んでこい! この間雇った先生だ!」
「先生強そうだからな! あいつらをやっつけてくれるだろう!」
先生とは一体?
エリカと顔を見合わせる。
「やっちゃうしかないな!」
エリカ、グレイブソードを振り回してやる気まんまん。
このままでは、やる気のエリカに先生とやらがやられてしまうのではないか。
まあ、俺の知ったことではない。
フォンテインナイツがもりもりと無人の野を行くが如く行進していくと、ついに隣村の村長の家が見えてきた。
そこから、杖をついたローブ姿の男が姿を表す。
「あれが先生かな?」
「わっはっは、来たな向こうの村からの刺客め! だが、こちらには俺たちの頭領である土のカイナギオ様と、先生がおられるんだ!」
『うむ』
土のカイナギオとやらは、鷹揚にうなずいた。
そして俺たちに対して杖を向ける。
『土に呑まれてしまうがいい。ランドシャーク!』
すると、大地がもりもりと隆起し、俺たちの目の前はモンスターの口みたいに展開した。
それが襲いかかってくる。
「うおーっ、なんのーっ!! ミサイルミサイルミサイル!」
俺はこれを、ミサイル連発で迎撃しつつ、ギリギリのところでやり過ごした。
ちょっと掠めたな。
防御系の技が少ないのが欠点……。
『ラーニング!』
名前:ドルマ・アオーマーホウ
職業:青魔道士
所有能力:
・バッドステータスブレス
・渦潮カッター act2
・ゴブリンパンチ
・ジャンプ
・バックスタブ
・ミサイル
・バルーンシードショット
・ワールウインド
・ランドシャーク NEW!
どんどんラーニングするな!
「覚えたぞ。ランドシャーク返し!!」
俺が地面を蹴りつけると、それがもりもりと隆起した。
そして土のカイナギオへと襲いかかるのだ。
『な、なんだと!? ウグワーッ!?』
カイナギオは慌てて地面に転がり、ランドシャークを回避した。
これ、土をモンスターに変化させて噛み付かせる技なんだな?
ついでに地面を隆起させ、相手の動きを止めるのだ。
行動妨害と攻撃を同時にやるとは。
『ば、ばかな……! わしの能力をラーニングした!? それではまるで青魔道士殿のような……この時代にも、青魔道士がいるというのか!』
「何いってんだ」
「行くぞー! えいやー!」
エリカが間の抜けた掛け声で走り出した。
だが、掛け声とは裏腹に、前傾姿勢でグレイブソードを担ぎ、物凄い速度を出している。
一瞬でカイナギオとの間合いが詰まり、グレイブソードは躊躇なく振られた。
ローブが裂けて、その奥にあった骸骨みたいな顔があらわになる。
『ウグワーッ! バ、バーサーカーまで!!』
「騎士だぞ!! 失敬な!!」
エリカ、激おこである。
だが次の瞬間、彼女は何かに気付いたようで、全力で後退してきた。
エリカがさっきまでいたところが、爆発する。
いや、何かが降ってきて、攻撃を仕掛けたのだ。
「避けたか。危機回避能力が高いと見える。だが、お前たちに恨みはないがここで死んでもら」
そこまで言って、降ってきた男は俺たちを見た。
「……なぜお前たちがここにいる」
「竜騎士のアベルじゃん」
そう、そいつは公国を救う戦いで、敵対したり共闘したりした竜騎士、アベルだったのだ。
「なーんだ」
エリカからも緊張が抜ける。
「アベル、そっちに雇われたのか」
「ああ。この平和な時代、俺の技を活かすには争いの中しかあるまい。……だがもしや、俺はまた雇われる側を間違っている……?」
じっとカイナギオを見つめるアベル。
『な、何をしている竜騎士! こやつらを殺せ! むこう村に雇われた恐ろしい刺客ぞ!! この近隣の平和を脅かす悪よ!』
「違うぞ! あっちは私の実家だ!」
エリカが家の方向を指さした。
アベル、難しい顔になる。
「カイナギオ。この二人はお世辞にも善良ではないが、悪人でもない。それにむこう村出身がエリカなら、今回の戦いに大義は無いのではないか?」
『いいから! 雇ってるんだから仕事しなさいよ!』
「それもそうか。行くぞ!」
サッと仕事モードに切り替えるアベル。
「やるのかー。よしワールウインド!」
俺、いきなり奇襲を仕掛ける。
周囲の村人とかカイナギオが風でなぎ倒され、「ウグワー!!」と叫んだ。
だがアベルはもうジャンプしている。
判断が速い!
「ミサイル!」
拾った小石をばら撒きながら、それをミサイル化。
アベルに向かってぶっ放した。
だが、ジャンプが降下してくる速度がめちゃくちゃ速い。
槍の鋒が、ミサイルをことごとく破壊して、爆発はアベルに届かない。
「うおっ、ランドシャーク!」
俺は足元を隆起させ、土の壁を作ってからさらに後退した。
土を貫いて、槍が地面を穿つ。
「腕を上げたな、ドルマ」
「油断してないアベル怖いな」
このやり取りを、目をキラキラさせながら眺めているエリカだ。
手出しする気は無いらしい。
「やっぱり、仲間になるためには拳を交わしあって分かり合わないとだもんな!」
エリカは何か勘違いしているのではないか。
俺は多彩な技、アベルは磨き抜かれたジャンプ、この勝負、一進一退だった。
そしてその間に、エリカがカイナギオに近寄っている。
あっ、グレイブソードでカイナギオの頭を割った!
『ウグワーッ!! な、なんたる蛮行!! まさかわしを直接仕留めに来るとは!』
「頭を割ったのに生きてる! ドルマ、こいつモンスターだぞ!」
確認方法が物騒だ。
「なん……だと……!?」
アベルの動きが止まった。
「アベル気付いてなかったの?」
「他人の素性は詮索しない主義だ」
彼は槍を納める。
俺、エリカ、アベルの視線がカイナギオに突き刺さる。
モンスターだと聞いて、村人たちも腰が引けている。
いやいや、君ら、モンスターが混じってるのに気にせずむこう村に攻撃仕掛けてたじゃない。
「あー、あの時はもうカッとなってて周りが見えてなかったんで……」
村人、語る。
さて、人間に化けていたモンスターカイナギオもこれで年貢の納め時……ではなかった。
あいつはニヤリと笑うと、俺たちを指さしたのだ。
『こうなれば仕方あるまい。わしがやって来た時代へと、お前らを送り込んでやる! 二度と帰っては来れまい! これを教わってから全然使い所なくて、なんでこんなの教えてくれたんだろうなって思っていたのだが……食らえ、タイムリープ!!』
俺たち三人の周囲が、ぐにゃりと歪む。
世界そのものが歪んだみたいに見える。
そして、それは渦巻き始めた。
なんだなんだ。
渦は俺たちを飲み込み、どこかへと運んでいこうとしているのだ……!
『ラーニング!』
あ、なんか覚えた。
名前:ドルマ・アオーマーホウ
職業:青魔道士
所有能力:
・バッドステータスブレス
・渦潮カッター act2
・ゴブリンパンチ
・ジャンプ
・バックスタブ
・ミサイル
・バルーンシードショット
・ワールウインド
・ランドシャーク NEW!
・タイムリープ NEW!
ついに隣村の連中は、俺とエリカを見るだけで慌てて後退するようになった。
「化け物だ! とんでもない連中がいる!」
「先生を呼んでこい! この間雇った先生だ!」
「先生強そうだからな! あいつらをやっつけてくれるだろう!」
先生とは一体?
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「やっちゃうしかないな!」
エリカ、グレイブソードを振り回してやる気まんまん。
このままでは、やる気のエリカに先生とやらがやられてしまうのではないか。
まあ、俺の知ったことではない。
フォンテインナイツがもりもりと無人の野を行くが如く行進していくと、ついに隣村の村長の家が見えてきた。
そこから、杖をついたローブ姿の男が姿を表す。
「あれが先生かな?」
「わっはっは、来たな向こうの村からの刺客め! だが、こちらには俺たちの頭領である土のカイナギオ様と、先生がおられるんだ!」
『うむ』
土のカイナギオとやらは、鷹揚にうなずいた。
そして俺たちに対して杖を向ける。
『土に呑まれてしまうがいい。ランドシャーク!』
すると、大地がもりもりと隆起し、俺たちの目の前はモンスターの口みたいに展開した。
それが襲いかかってくる。
「うおーっ、なんのーっ!! ミサイルミサイルミサイル!」
俺はこれを、ミサイル連発で迎撃しつつ、ギリギリのところでやり過ごした。
ちょっと掠めたな。
防御系の技が少ないのが欠点……。
『ラーニング!』
名前:ドルマ・アオーマーホウ
職業:青魔道士
所有能力:
・バッドステータスブレス
・渦潮カッター act2
・ゴブリンパンチ
・ジャンプ
・バックスタブ
・ミサイル
・バルーンシードショット
・ワールウインド
・ランドシャーク NEW!
どんどんラーニングするな!
「覚えたぞ。ランドシャーク返し!!」
俺が地面を蹴りつけると、それがもりもりと隆起した。
そして土のカイナギオへと襲いかかるのだ。
『な、なんだと!? ウグワーッ!?』
カイナギオは慌てて地面に転がり、ランドシャークを回避した。
これ、土をモンスターに変化させて噛み付かせる技なんだな?
ついでに地面を隆起させ、相手の動きを止めるのだ。
行動妨害と攻撃を同時にやるとは。
『ば、ばかな……! わしの能力をラーニングした!? それではまるで青魔道士殿のような……この時代にも、青魔道士がいるというのか!』
「何いってんだ」
「行くぞー! えいやー!」
エリカが間の抜けた掛け声で走り出した。
だが、掛け声とは裏腹に、前傾姿勢でグレイブソードを担ぎ、物凄い速度を出している。
一瞬でカイナギオとの間合いが詰まり、グレイブソードは躊躇なく振られた。
ローブが裂けて、その奥にあった骸骨みたいな顔があらわになる。
『ウグワーッ! バ、バーサーカーまで!!』
「騎士だぞ!! 失敬な!!」
エリカ、激おこである。
だが次の瞬間、彼女は何かに気付いたようで、全力で後退してきた。
エリカがさっきまでいたところが、爆発する。
いや、何かが降ってきて、攻撃を仕掛けたのだ。
「避けたか。危機回避能力が高いと見える。だが、お前たちに恨みはないがここで死んでもら」
そこまで言って、降ってきた男は俺たちを見た。
「……なぜお前たちがここにいる」
「竜騎士のアベルじゃん」
そう、そいつは公国を救う戦いで、敵対したり共闘したりした竜騎士、アベルだったのだ。
「なーんだ」
エリカからも緊張が抜ける。
「アベル、そっちに雇われたのか」
「ああ。この平和な時代、俺の技を活かすには争いの中しかあるまい。……だがもしや、俺はまた雇われる側を間違っている……?」
じっとカイナギオを見つめるアベル。
『な、何をしている竜騎士! こやつらを殺せ! むこう村に雇われた恐ろしい刺客ぞ!! この近隣の平和を脅かす悪よ!』
「違うぞ! あっちは私の実家だ!」
エリカが家の方向を指さした。
アベル、難しい顔になる。
「カイナギオ。この二人はお世辞にも善良ではないが、悪人でもない。それにむこう村出身がエリカなら、今回の戦いに大義は無いのではないか?」
『いいから! 雇ってるんだから仕事しなさいよ!』
「それもそうか。行くぞ!」
サッと仕事モードに切り替えるアベル。
「やるのかー。よしワールウインド!」
俺、いきなり奇襲を仕掛ける。
周囲の村人とかカイナギオが風でなぎ倒され、「ウグワー!!」と叫んだ。
だがアベルはもうジャンプしている。
判断が速い!
「ミサイル!」
拾った小石をばら撒きながら、それをミサイル化。
アベルに向かってぶっ放した。
だが、ジャンプが降下してくる速度がめちゃくちゃ速い。
槍の鋒が、ミサイルをことごとく破壊して、爆発はアベルに届かない。
「うおっ、ランドシャーク!」
俺は足元を隆起させ、土の壁を作ってからさらに後退した。
土を貫いて、槍が地面を穿つ。
「腕を上げたな、ドルマ」
「油断してないアベル怖いな」
このやり取りを、目をキラキラさせながら眺めているエリカだ。
手出しする気は無いらしい。
「やっぱり、仲間になるためには拳を交わしあって分かり合わないとだもんな!」
エリカは何か勘違いしているのではないか。
俺は多彩な技、アベルは磨き抜かれたジャンプ、この勝負、一進一退だった。
そしてその間に、エリカがカイナギオに近寄っている。
あっ、グレイブソードでカイナギオの頭を割った!
『ウグワーッ!! な、なんたる蛮行!! まさかわしを直接仕留めに来るとは!』
「頭を割ったのに生きてる! ドルマ、こいつモンスターだぞ!」
確認方法が物騒だ。
「なん……だと……!?」
アベルの動きが止まった。
「アベル気付いてなかったの?」
「他人の素性は詮索しない主義だ」
彼は槍を納める。
俺、エリカ、アベルの視線がカイナギオに突き刺さる。
モンスターだと聞いて、村人たちも腰が引けている。
いやいや、君ら、モンスターが混じってるのに気にせずむこう村に攻撃仕掛けてたじゃない。
「あー、あの時はもうカッとなってて周りが見えてなかったんで……」
村人、語る。
さて、人間に化けていたモンスターカイナギオもこれで年貢の納め時……ではなかった。
あいつはニヤリと笑うと、俺たちを指さしたのだ。
『こうなれば仕方あるまい。わしがやって来た時代へと、お前らを送り込んでやる! 二度と帰っては来れまい! これを教わってから全然使い所なくて、なんでこんなの教えてくれたんだろうなって思っていたのだが……食らえ、タイムリープ!!』
俺たち三人の周囲が、ぐにゃりと歪む。
世界そのものが歪んだみたいに見える。
そして、それは渦巻き始めた。
なんだなんだ。
渦は俺たちを飲み込み、どこかへと運んでいこうとしているのだ……!
『ラーニング!』
あ、なんか覚えた。
名前:ドルマ・アオーマーホウ
職業:青魔道士
所有能力:
・バッドステータスブレス
・渦潮カッター act2
・ゴブリンパンチ
・ジャンプ
・バックスタブ
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