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第1章 気が付かない3人の関係
王子の私用①
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【SIDE フレデリック第1王子】
私は、掛けていたブレザーに袖を通す。
そうすると、ファウラーが座っていた自分の席から、私を見送るために立ち上がった。
「王妃のワインの一件から、すっかり音沙汰がなくなってますが、どうなっているんでしょうね!」
ファウラーは、事件の関係者の1人に挙げられ、露骨に苛立っている。
「往生際の悪い王妃は、次に何を考えているか分からないからな。私は、この後しばらく留守にするが、ファウラーも、迂闊な物は口に入れるなよ。お前の代わりはいないんだ。そもそも、この国の貴族は、信用できないのが多過ぎる」
「まあ、色んな意味で仰る通りですが、これからグルーバー男爵家の令嬢に会いにいくんですね」
「彼女に会って、自分がどんな気持ちになるか、やはり確かめるべきだと思う」
「分かりました。僕は、監視されているのでお供できませんが、僕の方から事務官長に、フレデリック様が城を空けることを報告しておきますね」
「奴には詳しい話はするなよ」
いちいち面倒な話だが、王族が城を空けるときは、王族条例の決まりで事務官長へ報告する必要がある。
昔、王族が巻き込まれた事件がきっかけらしい。
だが、よりによって今の事務官長へ、そのことを伝える方が危険を感じる。
アリーチェの双子の弟。
陛下から聞かされるまでは、知らなかった。
ミカエルは、何度もアリーチェに婚約を申し込んでいたのだ。
だが、その度にワーグナー公爵家は断っていた。
アリーチェが、ただ王室に入りたいだけならば、それを受ければ良い。
あらかじめ、3年もかかると伝えた妃試験に、アリーチェは、わざわざ参加する必要はなかった。
アリーチェが、教師達を買収してまで、私の妃になりたかった理由とは?
考えたくないが、ワーグナー公爵家であれば、国外の王族達と手を組んでもおかしくない。
あの呑気なアリーチェに間者が務まるとは考え難い。
だが、完全に否定できない。
ずっと気になっていたが、もっとおかしな動きをしているワーグナー公爵家の人間が城にいる。
ワーグナー公爵家の次期当主。
城で働く必要のない人間が、私の妃試験が始まった頃に、突然として、城で働きたいと言い出した。
やつは、長年に渡って城に務めていた事務官を差し置いて、その実力だけで、事務官長になっている。
そして、役職があるにもかかわらず、私の事務官を他には譲らない。
奴から感じる殺気のようなもの。
私の胸のざわつきは、ワーグナー公爵家の姉弟が絡んでいるのは間違いない。
私は、掛けていたブレザーに袖を通す。
そうすると、ファウラーが座っていた自分の席から、私を見送るために立ち上がった。
「王妃のワインの一件から、すっかり音沙汰がなくなってますが、どうなっているんでしょうね!」
ファウラーは、事件の関係者の1人に挙げられ、露骨に苛立っている。
「往生際の悪い王妃は、次に何を考えているか分からないからな。私は、この後しばらく留守にするが、ファウラーも、迂闊な物は口に入れるなよ。お前の代わりはいないんだ。そもそも、この国の貴族は、信用できないのが多過ぎる」
「まあ、色んな意味で仰る通りですが、これからグルーバー男爵家の令嬢に会いにいくんですね」
「彼女に会って、自分がどんな気持ちになるか、やはり確かめるべきだと思う」
「分かりました。僕は、監視されているのでお供できませんが、僕の方から事務官長に、フレデリック様が城を空けることを報告しておきますね」
「奴には詳しい話はするなよ」
いちいち面倒な話だが、王族が城を空けるときは、王族条例の決まりで事務官長へ報告する必要がある。
昔、王族が巻き込まれた事件がきっかけらしい。
だが、よりによって今の事務官長へ、そのことを伝える方が危険を感じる。
アリーチェの双子の弟。
陛下から聞かされるまでは、知らなかった。
ミカエルは、何度もアリーチェに婚約を申し込んでいたのだ。
だが、その度にワーグナー公爵家は断っていた。
アリーチェが、ただ王室に入りたいだけならば、それを受ければ良い。
あらかじめ、3年もかかると伝えた妃試験に、アリーチェは、わざわざ参加する必要はなかった。
アリーチェが、教師達を買収してまで、私の妃になりたかった理由とは?
考えたくないが、ワーグナー公爵家であれば、国外の王族達と手を組んでもおかしくない。
あの呑気なアリーチェに間者が務まるとは考え難い。
だが、完全に否定できない。
ずっと気になっていたが、もっとおかしな動きをしているワーグナー公爵家の人間が城にいる。
ワーグナー公爵家の次期当主。
城で働く必要のない人間が、私の妃試験が始まった頃に、突然として、城で働きたいと言い出した。
やつは、長年に渡って城に務めていた事務官を差し置いて、その実力だけで、事務官長になっている。
そして、役職があるにもかかわらず、私の事務官を他には譲らない。
奴から感じる殺気のようなもの。
私の胸のざわつきは、ワーグナー公爵家の姉弟が絡んでいるのは間違いない。
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