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本章4 暴かれる真実

素直に(SIDEリディ)

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 魔物達の暴走を探知して、急遽、レイルにその場所へ連れて行ってもらった。
 感じていたあれだけの数の魔物達を、一気に止められる場所。地形的には、あそこしか思いつかなかったから。

 誰かに見られるかも? そんなことを気にしている場合じゃないわよ。だって、この場所より先へ暴走されたら、多くの人たちの命や生活が奪われてしまうんだから。何とかできる私がやらなきゃ、この力の意味がないじゃない。

 馬が魔物達に驚いて逃げ出さないように、レイルには離れてもらったけど、やっぱりレイルはすごいわぁー。
 ニードルフォックス達が、魔法で作った穴に落ちて、私の気分が良くなったのを見計らったように、迎えに来てくれるなんて。

「リディアンヌ嬢!! 本当に貴方は何を考えてるんですか!! 全く、無茶をなさるんですから。しっかり捕まるように言ったのに、飛び降りる令嬢がどこにいるんですか? まあ、お怪我も無いようで安心いたしましたが……。ですが、ここへの長居は無用です。間もなく、ここの騎士団が駆け付けるはずです。面倒な事になる前に離れますよ」

「うーん、もう一つだけしたいことがあるんだけど」
「リディアンヌ嬢!! 遠くからこちらを見ている住民もおります。ここは諦めてください」
「…………分かったわよ」
 レイルに腕を引かれて、馬に跨る。

 あ―やっぱり、駄目だわ!!
 
「レイル、王都へ直行する前に、この辺りの畑を見たいの。連れてって」
「リディアンヌ嬢! もういい加減、我がままは辞めてください。私だって早く任務へ戻る必要があるんです!」

「それは分かっているけど……。行きたいのー」
「駄々を捏ねるのはお辞めください」

「だって……畑が魔物達に荒らされたでしょう。少しでも稔りが多くなるようにしないと」
「…………分かりました。私は騎士ですから、一度貴女を連れて行くと言った以上、途中で投げ出すことはできません。致し方ないのでご案内します。ですが…………諦めて頂けると助かります」

「レイルの気持ちは分かったから、行くわよっ!」

****

 それにしても……。
 馬での移動って、想像以上に体力を使うのねぇ。
 キュアに運んで貰うのって、早くて楽なのに。
 キュア……何してるかなぁ。

 あ―もう駄目だ!! 限界!
 レイルにしがみつく腕も、態勢を維持するために力を入れ続けた脚も腰も、悲鳴を上げ過ぎて、もう無理!
 だけど、レイルはもっと疲れているんだろうな……責任感の塊のようなレイルは、私と馬を気にしながら順調にここまで進めてきているんだから。

 うん、よし、そうしよう。
 レイルと馬、何より自分へ癒しの力を使う。
 ーーーー!

「あー生き返ったぁ」
「リディアンヌ嬢、何をしているんですか……」

「疲れたなーと思って」
「それなら、ご自分だけにお使いください。これくらいは、いつもの事です」
「迷惑よね……ごめんなさい」

「迷惑ではありません。むしろありがたいです。ですが、本来であれば、私よりも、先にお戻りになった殿下が、貴方に癒されるべきでしたので。その特権を私がいただくわけにはいきません」

「…………レイルって真面目ね。そんなこと気にしなくていいのに。ジュリアスと一緒に王都へ行く気なんて全然なかったんだから」
 行けるわけない……行けるわけないんだから。

****

 やっぱり……。
 目の前の畑を見て、このタイミングで来られたことに安堵した。
「レイン!」
 
 ポツ、ポツ……ー-周囲一帯に雨が降り始める。

 踏み荒らされた畑の土が乾燥し過ぎだった。そのせいで、作物の成長が余りよくなかった。
 この地域の降雨量が、例年より少ないようね。
 
 私が穴をあけて、畑を使えなくしてしまったから、他の土地で少しでも稔を確保しなきゃ、別の問題が起きてしまう。


「リディアンヌ嬢! 雨を降らせるなら、雨除けを確保してからやってください。こんな畑の真ん中で、ずぶ濡れになりますよ」

「そうね……」
 だって、濡れたら零れ落ちる涙も、一緒に流してくれるから…………。

  
「……何があったか知りませんが、リディアンヌ嬢は自分の感情のまま、素直に行動されるのが1番貴女に似合っています。そうでなければ、私の事を感情のままに巻き込んで、素直に行動されるのは慎んでいただけると助かります」


「--! あー虹よ! 綺麗! 次の畑に行くわよレイル! 次はもっと大きい虹をかけて見せるわ」

「リディアンヌ嬢。私の話を聞いていましたか?」


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