最強の能力師は世界平和の為には頑張らない

秋桜

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一学期

10,入学式当日⑦ *〜葵依の力〜

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覗きに来てくれてありがとうございます。

サブタイトルでお騒がせした"~当日+数字"の話が、
この話でようやくの一段落です。

もう少し話が進んだら回想として出てきますがしばらくない(予定)です。

これからも似たようなタイトルには~○○~が着くと思いますがよろしくお願いします。

秋桜**

********






私がほぼ無尽蔵に能力が使えると颯以外の3人にもバレて、七凪がその事で責任を感じていたので蘭花は七凪にだけあるものを見せて2枚の紙を渡した。
七凪の不安はそれで解消したが今度はその様子を見ていた他の3人に…というか成人にどういう事かと七凪がせまられようとしていた。

成人が気配を消して七凪に忍び寄る。

一応、話がひと段落するのを待ってくれていた葵依がそれを見て、蘭花や七凪そしてその背後の成人に言った。

「2人でなにイチャついてるのよ。私もまぜて欲しいわ。こら、成君は七凪に背後から忍び寄らないの!」


葵依の言葉で七凪が慌てて振り返る。

「バレたか…蘭花ちゃんが七凪ちゃんにだけバラしてた秘密が気になってね。つい、出来心で。」

葵依に止められた成人はへらへらと笑ってあまり悪びれること無く言った。

「そう言えば蘭花…ボクにだけこんなこと話して大丈夫?」

七凪は成人の方をちらっと見た。

「七凪ちゃん、蘭花ちゃんに何を見せてもらったの?」

「それは…その……うー…蘭花ぁ…成君がぁ…。」

諦める様子のない成人に、七凪が私に助けを求めてきた。

「………。」

蘭花は成人をじっと見つめる。

「………。」

話すまで引くつもりはないとばかりに成人も蘭花を無言で見つめ返す。

「………。」

それを心配そうに見る七凪。

室内に緊張感が広がった。

(はぁー………ありのまま正直にだよね優ちゃん。めんどくさいけどしょうがない…。)

「はぁ、めんどう…真城さんいたら代わりに説明してもらったのに……詳しくはまだ話せないけど、ただ、仲のいい親戚の人がプロの能力師で何かあったら力になるって普段からうるさいから、その人に私の友達だって言えば多分力になってくれると思うよって言っただけ。」

私は本当の事を正直に話したがなんの事かわからないように話を大雑把に伝えた。

「親戚の…人…?」

「この人。」

そう言って蘭花はそのと一緒に写っている写真が表示されている端末を見せた。

「蘭花ちゃんに似てるね…。」

「イケメンね。神代家にこんな人が居たのね。」

「蘭花の心に決めた人ってこの人?」

葵依が蘭花にそう聞いた。

「えっ!?そうなの!?」

ただ1人その人物の正体を知っている七凪が驚いて声をあげた。

「違う。」

「えっ…そう…なの…!?
でもボク、この人がこんな風に笑う所…想像すら出来なかったんだけど…この人ってこんな風に笑えたんだ…。」

「七凪はこの人の事知っているのか?」

「うん、前に助けて貰った事があるんだ。すっごく強かったよ。」

「……なぁ、名前は知らないのか?」

さっきからしばらく黙っていた颯が七凪に聞いた。

「ごめん、颯。この人私を助けた後名前も言わずにから…。」

「消えた?」

「うん。」

「蘭花ちゃん…この人…何者?」

「ごめん、名前は言えない。許可が出てない。」

「許可?この写真の本人からって事か?」

「違うけどそんなとこ。この人の情報は国の機密情報。」

「そう…なんだ。聞いてごめんね、蘭花ちゃん。」

成人がニッコリ笑って謝ってきたので蘭花は気にしていない事を伝えるため微笑んで首を振った。

「でも、この人が蘭花ちゃんの想い人じゃないなら結局そこは謎のままだわ…。」

「へぇー…僕が嫌いで断ってたわけじゃなかったんだ。」

どうやら私に好きな人がいることは皆の中でなぜか確定事項になっていた。

「好きな人って…本当にいるんだ…。ボク、蘭花が成君を追っ払う為に適当な事言ったとしか思ってなかったや。」

「こういう下世話な話は好きじゃないが葵依の言うことだしな…さっき俺を止めたのはこの事と関係あるのか?」

「そうよ。」

「そうか…それはすまなかったな…。」

颯が蘭花に謝る。
それを聞いてとうとう我慢出来なくなった蘭花は気になっていたことを聞いた。

「あの…葵依が言った、私に好きな人が居るってのをなんで3人とも信じてるの?」

「葵依…。」

颯が葵依に心配そうに声をかけた。

「大丈夫よ。蘭花だけじゃ不公平だもの。私も言うわ。」

「蘭花、私はこの事をあえて話さずに隠していたの…先に謝っておくわ。ごめんね。…………私は、ね…自分の能力の副産物で、空気中のオルトが見える颯みたいに人の…オーラ…と言ったらいいのかしら…。
視認出来ている人のオーラが見えるんだけど、オーラっていうのはね、その時のその人の感情で色々な風に変化するの。嘘をついてる時のオーラの形とか嬉しい時のオーラの形とか……悲しい時のオーラの形とか…それだけじゃなくて、同じ悲しいとか嬉しいとかにも種類があって私の能力だとそこまで細かくわかっちゃうの。考えてる事がわかるわけじゃないから今日みたいな事も起こり得るんだけど…。
蘭花と…仲良くなりたくて隠していたのが裏目に…その…本当に…ごめんなさい。」

蘭花に頭を下げて謝る葵依。
それを知った蘭花は怒るでも驚くでもなくだだ納得していた。
今日体育館前で会ってからの少しの間で葵依の行動にいくつも違和感を覚えていたからだ。

(あぁ…なるほど…。違和感はこれ…。)

葵依のその力は、両親の力をかけ合わせたことによって突然変異の様な形で産まれた能力との事で杠家の誰もそんな力を持っていなかった為、今までその能力のせいで杠家で肩身の狭い思いをしていたらしい。

「そう…。今まで…大変だった…ね。」

蘭花は葵依の話を聞いた後、ただひと言それだけ呟いた。

「………蘭花がそういう返しをするとは思わなかったわ。………もしかして、蘭花もそういう経験があるの?」

「………前ね、言われたの。私は…化け物…なんだって。」

私は当時を思い出して笑っていった。

笑って言う蘭花のオーラをみて葵依は息を呑む。

「蘭花って強いわね。なんでそんなに強くあれるの?」

「私は強くなんて無い。…ただ…。」

続けて言おうとしたが蘭花は言葉にすることが出来なかった。

「もしかして…好きな人との約束だったりするのかしら…?」

「!?」

図星をつかれた蘭花はびっくりして葵依を見た。

「ふふっ…やっと蘭花の驚いた顔が見れたわ。」

その様子を見ていた颯が蘭花に向かって言った。

「蘭花さん…これは聞くべきでも言うべきでもないんだろうが、あえて言わせてもらう。」

「颯っ!!」

声を荒らげた成人が止めに入ったが颯は成人をひと睨みだけして、そのまま話を続けた。

「蘭花さんと同じで空気中のオルトを使人って蘭花さんの想い人もなんじゃないか?」

「………………だったら?」

何となく薄々バレているのは分かって居た蘭花は颯に強気で言葉をかえした。

「蘭花さんは、これから先もずっと誰からの告白も断り続ける気だったりするのか?」

「…………。」

蘭花は何も言わなかったが、周囲はその態度を見て、それを質問に対する肯定だと考えた。

「えっ…それじゃあ…まさか…。」

七凪が成人と蘭花を見比べて呟いた。
その後に颯も成人をちらっと見た後に蘭花を見て言う。

「蘭花さん…親しい人がいなくなって辛い気持ちは俺にも覚えがあるからわかるがそれをずっと引きずっていてはその人が悲しむんじゃないか?」

颯は蘭花だけでなく成人にも向けて言っている様だった。

「…颯君。そういう事は私を通さずに言いたいことがあるなら成君に直接言うべきだと思う。」

私がそう言うと成君は私の方を信じられないものを見るようなそれでいてどこか恐れているようなそんな表情をして見つめてきた。
そしてそれを見た颯はもう一度私を見て言った。

「蘭花さん…知っていたのか…………でも、俺は蘭花さんにも言ってるんだが?」

「私が知ってるのはあくまで噂の域を出ない話だけ。それと、私はいなくなった人のことを引きずっていているわけじゃない。……だからと言ってあの人以外とそういう関係になる気もないけど。こんなことまで、今日会ったばっかりの人に言われる筋合いは、ない。」

蘭花は不快感を露わにして颯に抗議した。

「そうよ…颯。颯の気持ちも私にはわかるけど何も知らない蘭花に言い過ぎよ…。」

「こんな暗い話してないで明るい話しようよ!…ほら、今日先生がHRで言ってた3日後にある合宿の話とかさ!」

重い空気に耐えられなくなった七凪が話題を変える。

「そうか…すまなかったな…蘭花さん。蘭花さんに八つ当たりしてしまった。許して欲しい。」

「………ワケありみたいだし、今回は許してあげる。次はない。覚えておいて。で、3日後の合宿ってなに?」

私はこれ以上疲れる会話をしたくなかったので七凪の言葉に乗っかる事にした。

そこから蘭花は4人から合宿の話を聞いた。
葵依と颯の話で、すっかり七凪の自己紹介を聞き忘れていたので数日後に彼女の力を知って驚くことになる。




そしてその日の夜…。

蘭花は寝る前に窓を開けて夜風に当たりながら今日の事を思い返していた。
今日1日、優から言われていた、仲良くなるチャンスを逃さない事というのと、4人の前ではありのまま正直な自分でいるという事は気をつけたつもりだが色々ありすぎて蘭花自身少し混乱していた。


(優ちゃん…私、これで優ちゃんに会える?間違えてない?早く会いたい…寂しい。)


蘭花は心の中で優に向けて問いかけるがもちろん返事はなかった。

これより数ヶ月後、蘭花は優とかなり意外な再会をすることになるがそれはまだ少し先のお話。
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