最強の能力師は世界平和の為には頑張らない

秋桜

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一学期

11,1学年全クラス合同能力テスト合宿 *

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国立特殊能力研究機関附属高等学校。
通称Saris(サリス)附属高校では入学式から数日後のタイミングで毎年その年の新一年生を対象に1学年全クラス合同能力テスト合宿という宿泊行事を行っていた。

合宿と銘打って宿泊行事という事になってはいるが行く場所は学園敷地内だ。
もともと全寮制な上に校内から出もしなくてなにが合宿かと思ったが、みんなから話を聞くとこの行事は全寮制になる前から行われていて名前はその名残りらしかった。
このことについて、テストの嫌いな人が担任に抗議したらしいが、『合宿という言葉の意味は同じ宿舎に泊まりこむことだから間違いはないんだ』と先生に言われたらしいという話を成人に聞いた。
その後その人は、『それを言ったら全寮制なんだから毎日が合宿じゃないか』とツッコミをいれたがその言葉は先生によってなかったことにされたらしい。


―西暦2XXX年4月11日09時14分―

入学式から3日経った今日。
蘭花は今バスにゆられ合宿所にむかっていた。

バスの席順はやっぱりというか案の定というか入学式の次の日のHRでの班決めで葵依、颯、成人、七凪の4人と同じ班になった為



窓)蘭花 | 葵依 | 七凪  ↓    |通路
窓)成人 |   颯  | 空席  ↑    |通路

※やじるしは座席の向き


となっていて、着いてすぐの1つめのテストが班対抗のなので作戦を考えておけと言わんばかりに蘭花達と成人達の座席は向かい合っていた。

私はみんなの作戦会議をききながら自分の右側にある窓の外を見た。

このサリス附属高校は元々山だった所に建てられている。
今向かっている合宿所は学園敷地内では東の端に位置する場所にあるので、今は山頂付近の本校舎から坂道を下っている途中だ。
その為窓から外を覗くと合宿所が遠くのふもとの方に見えていた。
今日から1学年全員が泊まる合宿所は、合宿所というよりホテルの様な雰囲気のかなり巨大な建物でその周囲には、実技試験の為の人工の、森、草原、砂漠、海、岩山、高層ビルの多い都会をモデルにした街、雪山…などの多種多様なステージが囲んでいた。

兄から話を聞いていた蘭花だったが想像以上に凄く、国立のこんなに凄い施設がつくられるまでに能力者の地位が確立していることを改めて実感して、数百年前の私達の行動は無駄じゃなかったのだと改めて実感がわき嬉しく思った。

そんな蘭花を見ていた葵依が嬉しそうな蘭花を見て不安そうに言った。

「蘭花嬉しそうね…。私はテストが不安で不安で…。」

それを聞いていた七凪が葵依の隣から蘭花にに身を乗り出して言った。

「ボクも不安でいっぱい。しかもこの憂鬱な移動が少なくとも卒業までにあと9回はあると思うと…はぁ。」

これは蘭花が兄から聞いた話だが、学期末と学年末の実技試験も同じ所で行なうらしい。

「テストってそんなに厳しいの?」

数日前まで合宿が楽しみだと元気に言っていた七凪がすっかり元気を無くしているのを見て私は不安に思って聞いた。

「いや、蘭花さんは大丈夫だろ。」

「僕もそれに同感だね。」

「そうね、テストに落ちる姿が想像出来ないわ。」

「ボクも。」

みんなに自分の不安を否定された蘭花はなんとも言えない顔で『そう…なの?』と呟いた。

「そうなの?って…またいつもの蘭花の他人事発言が出たよ…。」

「蘭花さんにはアレもあるし、そうじゃなくても基礎の技術力も高そうだし…大丈夫だろ。」

「そう言えば蘭花のアレ学校側は知ってるの?」

"アレ"とはおそらく、私が空気中のオルトも自由に使えることだろう。

「もちろん。だって入学前に、特殊能力証明を他の書類と一緒に学校に提出しないといけなかったじゃん。」

特殊能力証明とは国に登録してある、個人の特殊能力の登録名称などの情報が書いてある1枚の書類の事で、役所に行ってお金を払うと情報を書類にして渡してくれるのだ。
要するに住民票と似た手続きで貰える身分証明書類の1つだ。
普段は情報が簡易化されて記載してあるカードを携帯している。
まあ、今どき特殊能力証明を紙で提出しろなんて言う学校はサリス附属高くらいのものだろうと役所に行った時に対応してくれ人の反応を見て蘭花は思ったのだが。

「あ、待って…もしかしたら学校側はまだ知らないかも。」

「………なんで?書類はそのまま出したんだよね、だったら知ってないとおかしくない?」

七凪がわけがわからないという顔をして言った。

「いや、それが、よくよく考えたら私のアレって自分の能力の副産物でしかないし、もともと私体内の保有量もかなり多いみたいだから、知らない…かもしれないなと思って。」

「「ふ、副産物…。」」

七凪と葵依が苦笑いしながら呟いた。

「ねぇ、蘭花ちゃん。これは僕の純粋な好奇心だがら言いたくなかったらそれで全然かまわないんだけど、この間見せてくれた結界って最大だとどれくらいまで大きく出来るの?」

ここまでの話を聞いていた成君が私に尋ねてきた。

「ん、そんな事くらい前置きしなくても別に良ぃ…―――」

私は返事をしようとして固まった。
答えたくなかったからではない。
試した事がないからどこまで出来るのか自分でもわからなかったからだ。
そしてそれを見て勘違いした成人が謝った。

「変な事聞いてごめん、ただの好奇心だから!」

「成君が変な事聞くから蘭花固まったまま動かないじゃない!」

その声に我に返り記憶を探るのを中断して言った。

「違う違う。答えたくないわけじゃないから安心して。ただ、た…あっ……。」

そこまで言った所で蘭花はまた黙ってしまった。
それを見ていた蘭花以外の4人も言いたくないのではなくて知らないのではないかということに気づいた。

「ねぇ、成君。私嫌な予感がするわ。」

「ははは…葵依にボクも同感。」

「奇遇だね、2人とも。僕もだよ。」

乾いた笑いをもらしながら話す3人の声は蘭花には聞こえていなかった。

「成、俺も…ん?」

颯が自分もだと3人に同意しかけた時あるものを見て顔を青くした。




*******

ぶつ切りになってしまってごめんなさい…。
長くなりすぎたので2話に分けます。

その為(?)次の話は書き終わって
確認も済んでますが
今書いている先の話を書き終えてからの更新にしたいと思います。

ちなみに次回、蘭花がやらかします。
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