ながら見知識しかない私が、乙女ゲーム(名前忘れた)のヒロインになりました。

もんもん

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西園寺蒼編

どうやら私はとんでもないことをしてしまったようだ。

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 翌日。朝から何やら学園の生徒たちが大騒ぎしていた。女子の中には泣いている子もいて、ただ事ではないということがわかる。何を騒いでいるのか気にならないといったらウソになるが、生徒Aに詳細を訊いたら何やらイベントが発生しそうな気がする。厄介ごとに巻き込まれたくない私は、そっと人混みの隙間をぬって歩くと、
「ねぇ、聞いた? 西園寺くん退学するんですって」
 その言葉が私の耳に入ってきた。
「え⁉ 退学⁉」
 私はモブキャラの肩を掴んで訊く。
「今さっき、突然西園寺くんのお父様が学校にやってきて学園長に退学の話をされたそうよ。西園寺くん退学して海外に留学なさるそうで……」
 そんな話、昨日西園寺は一切していなかった。あまりにも急すぎる話だ――。
「あっハナ! 昨日は授業をサボったりしてどうしたのよ」
 “ハナ”の親友であるエリカが私に話し掛けてきた。しかし、今はそれどころではない。
「それより聞いた⁉ 西園寺が退学するって……」
「え、えぇ。何でも昨日学校をサボったことがお父さんにバレたみたいで。まさかハナ、昨日授業をサボって西園寺くんと一緒にいたんじゃ……」
 エリカの顔がだんだんと青ざめていく。
「ま、まさか! わわわわ、私保健室にいってくる」
「ハナ⁉」
 西園寺の退学は百パーセント私のせいだ。私はお坊ちゃんのお家柄を甘く見ていた。サボりという凡人からしたら小さなズルでも、西園寺家にとっては大きなミスで人生を左右するものといっても過言ではないのだ。
 やばいやばいやばい――……。
 私はエリカの呼び止める声も聞かずに、紫苑先生に会いに行った。

「まったく、とんでもないことをしてくれたね」
 紫苑先生は溜息をつくと頭を抱える。
「昨日、坊ちゃんがお屋敷に戻ると旦那様から呼ばれて大目玉を喰らってさ。荒れに荒れてすごかったよ」
「それは私が西園寺をサボりに誘ったせいなの。だけどどうして退学だなんて」
「旦那様は体面や体裁にこだわる人だから……坊ちゃんが学校をサボったことで先生や生徒からの評価を気にしたんだろうね」
「西園寺は⁉ それで納得しているの⁉」
 紫苑先生は目を伏せる。
「坊ちゃんは旦那様に逆らえないから……ってどこ行くの⁉」
 保健室から出て行こうとする私の背中に紫苑先生が声を掛ける。
「どこって西園寺のところよ!」
 私は鼻息を荒くしながら言うとピシャリと保健室の扉を閉めた。

 たかがサボりで退学ですって⁉ いくら何でもやりすぎでしょ! 
 それに西園寺も西園寺よ! それで納得しているの? 退学していいの?
 さっきまで西園寺の退学が自分のせいだと責めていた私だったけれど、だんだんと腹が立ってきた。

 私は校内を歩き回り西園寺を探していると、廊下の窓から黒服数人を従えているグレーヘアのオッサンと、数歩後を歩く西園寺の姿が見えた。
 グレーヘアのオッサンの先に黒塗りのリムジンが正門前で待機してある。
 このまま校内を出てリムジンに乗ってしまったら、二度と西園寺に会えなくなる……!
 そんなこと――。
「させてたまるかあぁぁ!」
 私は窓を開けると、そこから飛び降りた。
 なぁに、これくらいの高さ、どうってことない。そう、上手く着地できればの話だ。しかし。
「へごぶぅっ!」
 着地失敗。私は花壇に突っ込んでしまった。だけどふかふかに耕してあった土のお陰で私に怪我はなかった。
 突如として、学校の窓から飛び降りてきた女子生徒に黒服とグレーヘアのオッサンと西園寺の動きが止まる。皆、私を凝視している。
「へへっ作戦通りよ」
 少しだけハプニングがあったけれど、学園内から出させないことには成功した。
 土まみれの私が立ち上がる。
 土で顔が黒く汚れ、目はギラギラと光り、にちゃあ、と笑う私の姿はホラーそのものだ。
「うっ」
 黒服が、この世のモノとはいえない何かを見たかのように両手で口を押さえる。
「ちょっと話があるんだけれど!」
 私は西園寺に近付く。西園寺の頬には湿布が貼られていて、殴られたものだとすぐにわかった。
 すかさず黒服が西園寺を守るように私の前に立ち塞がった。だけど私は口を閉ざさない。
「退学ってどういうこと? 昨日サボったせい? それなら百パーセント私が悪いんだけど。だって私が西園寺をサボりに誘ったんだから」
「蒼、どういうことだ?」グレーヘアのオッサンが西園寺に訊く。「そんなこと私は蒼から聞いてないが」
「……父さん、コイツが言ってることは出鱈目です。すべてしたことなんです」
「はぁ⁉ ちょっと何言ってるのよ! 私が――」

 もういい、黙れ。その口を閉じろ、土まみれ女。
 西園寺蒼はそこにいる女に、そう言ってやりたかった。

 昨日、屋敷に帰ると父さんに呼ばれ、書斎に入るや否や顔を殴られた。
 俺は床に倒れ込む。
「学園から連絡があったんだ。お前が授業に出ていない、と。一体どういうことだ」
 父さんが冷たい目で俺を見る。
 鼻から温かいものを感じて、指で擦ってみると血が付着していた。
 ポタリポタリと鮮血が床を紅く汚す。
「……授業をサボりました」
「何……?」
 父さんはこめかみに青筋をたてると、俺の胸ぐらを掴む。
「西園寺の人間が何をしているんだっ!」
 再び殴られた。
「どれだけお前に良い教育を受けさせてやっているかわかっているのか⁉ サボりなどしよって! その一回のサボりでどれだけ西園寺の名前に傷がつくか分かっているのか⁉」
 バシッバシッ。何度も何度も殴られた。 
 ずっと、窮屈な毎日を送っていた。幼い頃から良い成績を求められて。一番を求められて。両親も、周りの大人も同級生も、誰も俺のことを見ようとしなかった。見ているのは“西園寺”の家柄だった。
 だから俺も必死に西園寺に相応しい人間を演じてきた。
「もういい、お前は今の学校を辞めて海外へ留学しろ。国内の学校へ転校だと、お前が学校をサボった過去があることなんてすぐに知れ渡るからな。西園寺の名が恥じる。いいか蒼。お前は私の言うことを聞けばいいんだ」
 父さんは血まみれになった手をハンカチで綺麗に拭き取る。

『つまり、ちゃんと息抜きをしようってこと』

 そんなこと、無理だ。父さんがいる限り、俺は完璧を求められる。

「なるほど。お嬢さんが蒼を唆したということか」
 西園寺の父親が私に歩み寄る。
「唆し……⁉ ま、まぁそうなるかしら」
 よく意味が分からないが、私は頷く。
「いくら欲しい」
「は?」
 私は耳を疑った。
「手切れ金だ。金をやるから蒼のことは忘れろ」
「何、言ってるのよ」
 私は怒りで頭が沸騰しそうだった。
「何が西園寺よ、何が西園寺グループよ。子供を西園寺いえの道具としてしか見てないじゃないっ! 西園寺じゃなくて蒼という人間を見なさいよっ!」

 その言葉が、吹いた風と共に俺の身体を貫いた。
 ずっと、西園寺に相応しい人間を演じてきた。
 そのせいかテストで一番を取っても、
『西園寺の人間なら当たり前だ』
 スポーツ大会で一番になっても、
『アイツ西園寺の力を使って一番をとっているんだよ』
 努力している姿も必死になっているところも、誰も見てくれなかった。

「西園寺っ、アンタはどうしたいの⁉ このまま退学でいいの⁉」
「もういい、やめたまえ君。ほら、行くぞ蒼……蒼?」
 その場から動こうとしない俺を父さんが怪訝な目で見る。
「父さん。父さんの言う通り俺は今まで良い教育を受けてきた」
「なんだ、急に。西園寺の人間なんだから当たり前だろう」
「父さんの言う通り勉強でも運動でも一番をとってきた。完璧な自分であり続けた。でも、俺は今まで知らなかったよ。ゲームセンター……あんな遊び場があるんだってこと。UFOキャッチャーって知ってる? あれ、すごく難しいんだ。ただのオモチャを取るだけなのに勉強より難しかったよ。あと、ハンバーガー。身体に悪そうな食べ物なのに。あんなに油臭いのに、とっても美味しいんだ」
「蒼、何を言ってるんだ」
「良い教育を受けてきたというのにそんなこと俺は知らなかった。今まで知ることができなかった。そのことを教えてくれたのは、俺の世界を広げてくれたのは、目の前にいるその人なんだ」
 土まみれで汚いその女が――。
「俺は、その人にもっと教わりたいことがあるんだ――」
 西園寺じゃなくて、西を見てくれたその人に。
 俺は頭を下げる。
「だからこの学園にいさせてください」
「蒼っ⁉ 何言ってるんだ。そんなことさせるわけには――」

「いいじゃありませんか」

 そこへ、ひょっこりと眼鏡を掛けた上品な男が現れた。
 え、誰こいつ。新キャラ?
 その上品な男は胸の位置まである銀色の長髪を肩に流し一つに結んでいた。
「佐伯理事長!」
「お久しぶりですね西園寺さん。学園長から先程聞きましたよ。御子息が学園をお辞めになると」
「は、そうなんですよ。私の愚息が学園をサボって西園寺の名に傷をつけましたから」
「――しかし、西園寺くんは学園うちを辞めたがってはないようですね」
 理事長が西園寺を見る。
「はい。俺は辞めたくありません」
 西園寺が答えた。
「なら退学はなしということで」
 理事長はニッコリ笑うと両手を合わせた。
「ちょっと待って下さい、私は――」
「西園寺さん」理事長が西園寺の父親を見る。「先程、西園寺くんが授業をサボったことで“西園寺の名に傷をつけた”とおっしゃいましたが、授業をサボるくらい可愛いもんですよ。中には犯罪まがいのことをする大企業の御子息だっているんですから」
 理事長はニッコリ笑っている。しかし、その目の奥は何を考えているかわからない。何か腹に抱えているようで――すると、理事長が私を見た。
 瞬間ゾクリと鳥肌がたつ。
「アナタかなり汚れていますよ、このハンカチを使って下さい」
 理事長が私にハンカチを手渡す。男性には似合わない薔薇の刺繍がされていた。
「ささっ、後のことは大人に任せて貴方たちは教室に戻りなさい」

 その後、西園寺の父親と理事長が何を話したかはわからない。しかし、理事長のお陰で西園寺は学園を辞めずに済んだ。
 こうして、退学を免れた西園寺は今日も元気に学園に来ている。
「ハナ!」
「げっ」
 私は顔を顰める。あれから、西園寺は休み時間の度に私のところへ来るようになった。はっきり言って迷惑も迷惑だ。そんな私の気も知らず、

「きゃあ西園寺くんよ」
「今日も素敵ね」
「授業をサボる悪いところもカッコいいわ」
 女子生徒ABCはうっとりとしているではないか。

 そんな西園寺を私は階段下へ連れて行く。
「ちょっと西園寺、どういうつもりよ。毎日毎日私に会いに来て!」
「ハナが俺に息抜きしろと言ったんだろ? 俺の息抜きはハナと一緒にいることだ。俺の素だって知っているし」
 何を言い出すことやら。
「だから責任とってくれよ、ハナ!」

 その時、ピコンと西園寺の頭から勢いよくハートが飛び出てきた。
 え、ちょっと待って。これってもしかして西園寺を攻略したってことなんじゃ……⁉

 私は今、乙女ゲームのヒロイン“ハナ”であるが中身は喪女モブの月並花子だ。私はこの世界で攻略しようだなんて思っていない。ただ平凡に過ごせればいいと思っていたのに――。

 どうやら私はとんでもないことをしてしまったようだ。
 
 
      ――Now Loading―― 

「やった、西園寺ルート攻略っと」
「あ、青髪を攻略できたんだ」
 それまで宿題をしていた花子が顔をあげてテレビ画面を見る。
「うん。王子キャラの西園寺蒼を攻略したの」
 西園寺はずっと“自由”を求めていた。
 そんな気持ちに気付いたハナが西園寺の背中を押すことによって、小さい頃からずっと夢だったピアノの調律師を目指すようになる。
 しかし、花子はそんな終わり方に不満げだった。
「ピアノの調律師ぃ? そんな仕事より家の会社継いだ方が儲けられるのに」
 どうやら花子は夢よりも金派らしい。
「さて、次の攻略対象は……」
 隣でぶつぶつ文句を言う花子を無視して、ゲームを再開するのであった。
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