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十九話 遭遇!不死の英霊!
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前回の依頼を受けてから三日後、俺達は宿屋で身を休めていた。毎日ヘルメス病院の依頼受付専門のカウンターに出掛けているがこれと言った依頼は無い。
この町には屋台や出店等は無いのでそれを見て回る楽しみもない。
かと言ってもこの町を出るにはまだ稼いでいない。せめてもう一つ位依頼を受けなくてはならないだろう。
宿屋の二階でゴロゴロしながら皆で話を弾ませていた。
「だぁーっ。暇だ。暇でしょうが無い!確かに闘う事は命を掛けることだけで暇な事よりは全然良いよ。ボクはもう耐えられない!闘わせろ!誰かボクの敵を用意してくれ!依頼は無いの?」
「落ち着け。リズ。暴れても依頼は出てこないよ。今はひたすら待とう。以前レンコが言ってたみたいに自分を見つめ直す特訓をするんだ。それに幻想顕現の修行があるんじゃないか?それを疎かにしちゃ行けないな。」
「うぐ。慎吾。痛いところを着いてくるね。確かに自分を見つめ直す特訓をするのも悪くない。そうさ修行だと思えば受け入れられる。幻想顕現の修行も欠かしてはいないよ。でもそれにしても暇すぎるんだ。闘いを!依頼を!プリーズ!」
「騒がしいわね。そんなに闘いに身を晒すことが好きなの?それなら一人で遺跡にでも突貫してきたら良いんじゃないかしら?遺跡に行けば危険も財宝も隣り合わせで有るわよ。」
レンコが口を開く。
「遺跡か。結構良い案かもしれないね。本当に行ってみようか。リズは穏やかな時間に耐えられないみたいだしね。…オモイカネデバイス…付近の未発掘の遺跡を検索しろ。」
「ヘルメスから歩いて二日の距離にオノゴロという兵器工場が存在しており現在は遺跡として認定されています。危険度ビーランク。」
「よし!皆。ヘルメスから歩いて二日の所にオノゴロ遺跡という遺跡がある。そこに向かってみようか。何か発見があるかもしれないぞ!」
「賛成!賛成!ようやく闘いがやって来たね。ボクの腕の見せ所だ。でその遺跡には敵が出るんだろうね?」
「どうだろう?あたしの予測だとそれなりに敵は出てくると思うけどね。取り敢えず行ってみよう。」
「やれやれ。ゆっくりと休む事も出来ないのね。まあ良いわ。闘いが私を呼んでいると言うのなら従いましょう。私の魔力も上げていくわ。」
「俺もエクスリボルグの調子は万全。如何なる敵に出くわしても砕いて見せよう。さあ出発だ。」
俺達はオノゴロ遺跡に向かって歩き始めた。道中問題は無かった。軽くモンスターが出たりはしたが、エリーの魔法とリズの幻想顕現で軽く片付けてしまった。
そしてオノゴロ遺跡に到着する。見た感じは廃墟にしか見えない。立て札も何も無かった。
「本当にここがオノゴロ遺跡なのかしら?いえレンコの占いを信じていない訳ではないけれど…どう見ても廃墟じゃないかしら。」
「そう言われてみればそうだな。ボソボソ…レンコ…本当にオモイカネデバイスはここを指し示したのか?」
「ボソボソ…そうだよ。ここに遺跡があるのは間違いないんだ。何処かに入口があるはずだ。」
「ここが遺跡でも遺跡じゃなくてもボクにはどうでも良いさ。中に入ってみよう。倒すべき敵がいるなら倒すだけだ。」
「それもそうね。レンコ。疑ってごめんなさい。中に入ってみましょう。何が出てくるかは分からないけどね。」
俺達は周辺を探索した。廃墟と思われたが壁に亀裂が走っておりそこから中に入る事が出来た。
中には狭苦しい通路があった。機械仕掛けの壁。先史文明時代の遺跡だ。
「ここは本当に迷宮の類いみたいだね。面白いじゃないか。先に進もう。ボクは滾ってきたぞう!」
「どのような魑魅魍魎が出るのかは定かでは無いわね。でもここで止まっていても何もならないわね。先に進みましょう。」
「まああたしがいるからどんな敵が出ても問題なしだね。それを覆せる程の英霊神霊の類いを呼び寄せるか…あるいは強制的に使役していれば話は別だけどね。」
「おいおい。レンコ。不穏な事を言うなよ。この遺跡はあくまで暇潰し。さくっと攻略して帰るのが目的だろう?」
「それはそうだね。でも覚悟をしておくもんだ。何千年も放置されていた遺跡には思いもよらない者が封印されている可能性は高いもんだ。まあここで語っていても仕方がない。先に進もう。」
「ああ…分かったよ。先に進もう。」
俺達はひたすら道を進んでいった。一方通行の道だ。枝分かれ等していなかった。何時間歩いたんだろうと思い時計を見ている。遺跡に入ってから六時間は経過していた。
そろそろ終点が近いか…一切モンスターの類いは出なかった。それが不穏な空気を逆に呼んでいた。
嫌な緊張感が漂っている。
そして終点は急に訪れた。そこは久々に広い部屋だった。そこには椅子があり一人の女が腰かけていた。
「君は誰なんだ?ボク達の敵か?」
「ククク…生きている人間等久しぶりじゃのう。このオノゴロの宝を狙っていると言うのなら私を倒す他無いがどうする。闘うか逃げるか?逃げても追わせて貰うが…選ぶ権利をくれてやろう。」
「当然闘うわ。貴女が何者かは知らないけどここで死に果てなさい。行くわよ!」
「バカ!落ち着け!あたしの後ろに回れ!エリー、リズ。君達じゃ役不足だ。奴は現代に甦った本物の英霊だ。殺されるぞ。」
「ほう。私の危険性を見抜くとはただの雑魚では無いようじゃのう。少しは楽しめるかなぁ。ヒヒヒハハハヒヒヒ…!」
「私達じゃ役不足ですって!やってみなければ分からないじゃない!私は行くわよ!ここで死になさい。英霊とやらよ!」
エリーは呪文を詠唱した!
「ヘルレイズスパーク!アグニストライク!インパクトライトニング!レイジングフレア!連携!ヴァジュラ投擲!連携ゼオンボルグ投擲!」
呪文とアーティファクトが女に襲いかかる。
対象を焼きつくさんとするが…女は片手で制した。
「ほう。そこそこの術と兵器を使うようじゃのう。だがこの程度なら容易いな。私の本気を出すまでもない。」
フゥと女は呼吸を落ち着ける。
「私の魔法等一つしか使えない故通じるかどうかは知らんがな?神代を生きた魔法使いの本気と言うものを魅せてやろう。創世!サンバースト!」
そう女が唱えると巨大な太陽が俺達の前方に現れ凄まじいスピードで俺達に叩きつけられそうになった。そこにリズの詠唱が間に合う。
「幻想顕現!天理!アイアス!アイギス!アキレウスの鎧!皆を護るんだ。」
そしてレンコも聞いたことの無い術式で皆を護った。
「天理!五重結界!」
そこに直撃する太陽。俺達の全身が沸騰する妄想に囚われる。熱い熱い!燃える燃え果てる!太陽の熱が消えた時立っていられた者はレンコだけだった。
「これが神代の魔法使いの全力か…。これで無銘って言うんだから嫌になっちゃうね。エリー、リズ、慎吾。身を削る闘いは楽しかったかい。もう閉幕にしても良いかな?」
「幻想顕現!天理!我が身に集え!神域のアーティファクトよ!全弾射出連携爆砕!」
パパパパパパパパパパパパパパパパパパ…
倒れているリズの頭上に門が開いた。そしてそこから神域のアーティファクトが頭を覗かせる。そして英霊の女に向かってアーティファクトは射出された。
ドドドドドドドドドドドドドドドド…
カンカンカンカンバチゃカンカンカンカンバグチャカンカンカンカン…
女は片手を振り続けてアーティファクトを防いだが何本かはいなしきれずその身体に突き刺さった。そしてアーティファクトは爆砕する。
ドカドカドワォドグワォドグワパピパピパピ
身体に直接突き刺さっているアーティファクトの爆発に加えて周辺に弾いたアーティファクトの爆発も英霊の女を襲った。
これで対象の傷は重症だ。だが食らったそばから蘇生を開始していた。
「グバァハァハァ。中々そこの小娘はやるではないか。だが私はこの程度では死なん。死なせて貰えないのだ。残念だったな!」
「分かったか。リズ。こいつは君の手には終えない。でも君はやれることをやった。その意思をあたしが引き継ごう。ここからはあたしの仕事だ。行くぞ!」
レンコは無銘弓を錬成!矢に魔力を限界までチャージ!無銘神射!矢は英霊の女の頭を貫通して究極の霊爆を引き起こした。
対象は即死したが蘇生を開始した。急速に吹き飛んだ頭が生えて元に戻った。
「やはり不死の呪いを受けているか。それでこの遺跡に縛られて幾星霜生き抜いて来たんだな。その悲壮な人生を終わらしてやろう。お前もまた全てを見た人だったんだな。あたしのこの手で終わらしてやる。ハァ!」
レンコは縮地して英霊の女の眼前へと転移した。時間を稼ぐために顎に正拳突きを叩き込み砕いた。数秒スタンする英霊の女。その隙に対不死者特攻の奥義を叩き込む!
「億劫蓬莱神獄掌!」
螺旋を描いた魔力が拳に巻き付き神速の拳打として放たれる。そして不死殺しの前に無防備となった英霊の女の胸を貫き中からコアである心臓を引きずり出した。そして心臓を握りつぶす。
「ようやく終われるのか。お前も不死人じゃな。私は召喚されてから今まで二千年死ねなかった。お前は何年死ねなかったんじゃ?」
「三千年。悪いが年季が違うんでね。無銘の神域の英霊よ。ここがお前の墓だ。務めから解放されてゆっくりと眠るが良い。さらばだ。」
「フフフ面白い。まだ生き続けると言うのか三千年生きてな。死ぬのが怖いと言う訳ではあるまい?まあお前の好きにするが良い。私は先に地獄でお前を見物させて貰うとしようかの?それではな。」
そう言うと英霊の女は塵となって消えた。
「皆大丈夫だったか?あたしが敵を倒したよ。もう大丈夫だ。」
「私の魔法もアーティファクトも効かないなんてね。あんな化物がまだオーディン大陸には居るって言うの…?」
「まだまだ強敵が居るって言っただろう?あたしの見込みではあんなのの比にはならない化物がまだ大量に蠢いてるよ。上には上が居ると覚えとくんだね。」
「ボクの幻想顕現も効いてはいたけど殺すには至らなかった。レンコ抜きならまず勝ち目は無かっただろうね。また修行しないとな。暇なんて言ってられないね。」
「俺も今回は死んだかと思ったよ。レンコが居てくれて助かったな。俺も修行しなければ!」
「よし。それじゃあ。あの女が護っていたお宝を頂くとしようか。皆。あたしに続いて!」
俺達は広い部屋の奥に進んでいった。そこにはゴールドが直に置いてある容器が置いてあった。これがこの遺跡の攻略報酬か…
俺が代表してゴールドを容器から取り出す。…大体五万ゴールド位だな。うーん。何とも言えない絶妙なしょっぱさだ。
俺はワクワクしながら待っている皆に意を決して伝える。
「すまん。五万ゴールドくらいだった。」
「ええ…それは酷いわね。せめて十万ゴールドは欲しかったわ。」
「まあ現金で手にはいる所は評価できるんじゃないかな。ボク達があんなに危ない目に遭って五万ゴールドって言うのは納得行かないけどね。さあもう帰ろう。また帰り道もあの遺跡の道を戻ると考えると気が滅入るけどね。」
「まあ遺跡なんてこんなものさ。宿屋で大人しく次の依頼を待つほうが賢かっただろう?あたしはどっちでも良いけどさ。金にそんなに執着はないし。」
「でも私達のお金全部頂いているじゃない。あれは何だったのよ。」
「それは…覚悟を見せて貰ったんだよ。ちゃんと無駄遣いせずに取ってあるから!どうしてもお金が入り用になった時はお金を融通してあげるよ。さあ帰ろう。」
俺達は六時間程かけて遺跡を出ると遺跡の外で一泊し、ヘルメスの町へと帰っていった。苦しんだ割に報酬は少なかったがプラスにはなったので喜びたいと思う。
現在の所持金十二万ゴールド。
次の旅に続く
この町には屋台や出店等は無いのでそれを見て回る楽しみもない。
かと言ってもこの町を出るにはまだ稼いでいない。せめてもう一つ位依頼を受けなくてはならないだろう。
宿屋の二階でゴロゴロしながら皆で話を弾ませていた。
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「落ち着け。リズ。暴れても依頼は出てこないよ。今はひたすら待とう。以前レンコが言ってたみたいに自分を見つめ直す特訓をするんだ。それに幻想顕現の修行があるんじゃないか?それを疎かにしちゃ行けないな。」
「うぐ。慎吾。痛いところを着いてくるね。確かに自分を見つめ直す特訓をするのも悪くない。そうさ修行だと思えば受け入れられる。幻想顕現の修行も欠かしてはいないよ。でもそれにしても暇すぎるんだ。闘いを!依頼を!プリーズ!」
「騒がしいわね。そんなに闘いに身を晒すことが好きなの?それなら一人で遺跡にでも突貫してきたら良いんじゃないかしら?遺跡に行けば危険も財宝も隣り合わせで有るわよ。」
レンコが口を開く。
「遺跡か。結構良い案かもしれないね。本当に行ってみようか。リズは穏やかな時間に耐えられないみたいだしね。…オモイカネデバイス…付近の未発掘の遺跡を検索しろ。」
「ヘルメスから歩いて二日の距離にオノゴロという兵器工場が存在しており現在は遺跡として認定されています。危険度ビーランク。」
「よし!皆。ヘルメスから歩いて二日の所にオノゴロ遺跡という遺跡がある。そこに向かってみようか。何か発見があるかもしれないぞ!」
「賛成!賛成!ようやく闘いがやって来たね。ボクの腕の見せ所だ。でその遺跡には敵が出るんだろうね?」
「どうだろう?あたしの予測だとそれなりに敵は出てくると思うけどね。取り敢えず行ってみよう。」
「やれやれ。ゆっくりと休む事も出来ないのね。まあ良いわ。闘いが私を呼んでいると言うのなら従いましょう。私の魔力も上げていくわ。」
「俺もエクスリボルグの調子は万全。如何なる敵に出くわしても砕いて見せよう。さあ出発だ。」
俺達はオノゴロ遺跡に向かって歩き始めた。道中問題は無かった。軽くモンスターが出たりはしたが、エリーの魔法とリズの幻想顕現で軽く片付けてしまった。
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「本当にここがオノゴロ遺跡なのかしら?いえレンコの占いを信じていない訳ではないけれど…どう見ても廃墟じゃないかしら。」
「そう言われてみればそうだな。ボソボソ…レンコ…本当にオモイカネデバイスはここを指し示したのか?」
「ボソボソ…そうだよ。ここに遺跡があるのは間違いないんだ。何処かに入口があるはずだ。」
「ここが遺跡でも遺跡じゃなくてもボクにはどうでも良いさ。中に入ってみよう。倒すべき敵がいるなら倒すだけだ。」
「それもそうね。レンコ。疑ってごめんなさい。中に入ってみましょう。何が出てくるかは分からないけどね。」
俺達は周辺を探索した。廃墟と思われたが壁に亀裂が走っておりそこから中に入る事が出来た。
中には狭苦しい通路があった。機械仕掛けの壁。先史文明時代の遺跡だ。
「ここは本当に迷宮の類いみたいだね。面白いじゃないか。先に進もう。ボクは滾ってきたぞう!」
「どのような魑魅魍魎が出るのかは定かでは無いわね。でもここで止まっていても何もならないわね。先に進みましょう。」
「まああたしがいるからどんな敵が出ても問題なしだね。それを覆せる程の英霊神霊の類いを呼び寄せるか…あるいは強制的に使役していれば話は別だけどね。」
「おいおい。レンコ。不穏な事を言うなよ。この遺跡はあくまで暇潰し。さくっと攻略して帰るのが目的だろう?」
「それはそうだね。でも覚悟をしておくもんだ。何千年も放置されていた遺跡には思いもよらない者が封印されている可能性は高いもんだ。まあここで語っていても仕方がない。先に進もう。」
「ああ…分かったよ。先に進もう。」
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「当然闘うわ。貴女が何者かは知らないけどここで死に果てなさい。行くわよ!」
「バカ!落ち着け!あたしの後ろに回れ!エリー、リズ。君達じゃ役不足だ。奴は現代に甦った本物の英霊だ。殺されるぞ。」
「ほう。私の危険性を見抜くとはただの雑魚では無いようじゃのう。少しは楽しめるかなぁ。ヒヒヒハハハヒヒヒ…!」
「私達じゃ役不足ですって!やってみなければ分からないじゃない!私は行くわよ!ここで死になさい。英霊とやらよ!」
エリーは呪文を詠唱した!
「ヘルレイズスパーク!アグニストライク!インパクトライトニング!レイジングフレア!連携!ヴァジュラ投擲!連携ゼオンボルグ投擲!」
呪文とアーティファクトが女に襲いかかる。
対象を焼きつくさんとするが…女は片手で制した。
「ほう。そこそこの術と兵器を使うようじゃのう。だがこの程度なら容易いな。私の本気を出すまでもない。」
フゥと女は呼吸を落ち着ける。
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そしてレンコも聞いたことの無い術式で皆を護った。
「天理!五重結界!」
そこに直撃する太陽。俺達の全身が沸騰する妄想に囚われる。熱い熱い!燃える燃え果てる!太陽の熱が消えた時立っていられた者はレンコだけだった。
「これが神代の魔法使いの全力か…。これで無銘って言うんだから嫌になっちゃうね。エリー、リズ、慎吾。身を削る闘いは楽しかったかい。もう閉幕にしても良いかな?」
「幻想顕現!天理!我が身に集え!神域のアーティファクトよ!全弾射出連携爆砕!」
パパパパパパパパパパパパパパパパパパ…
倒れているリズの頭上に門が開いた。そしてそこから神域のアーティファクトが頭を覗かせる。そして英霊の女に向かってアーティファクトは射出された。
ドドドドドドドドドドドドドドドド…
カンカンカンカンバチゃカンカンカンカンバグチャカンカンカンカン…
女は片手を振り続けてアーティファクトを防いだが何本かはいなしきれずその身体に突き刺さった。そしてアーティファクトは爆砕する。
ドカドカドワォドグワォドグワパピパピパピ
身体に直接突き刺さっているアーティファクトの爆発に加えて周辺に弾いたアーティファクトの爆発も英霊の女を襲った。
これで対象の傷は重症だ。だが食らったそばから蘇生を開始していた。
「グバァハァハァ。中々そこの小娘はやるではないか。だが私はこの程度では死なん。死なせて貰えないのだ。残念だったな!」
「分かったか。リズ。こいつは君の手には終えない。でも君はやれることをやった。その意思をあたしが引き継ごう。ここからはあたしの仕事だ。行くぞ!」
レンコは無銘弓を錬成!矢に魔力を限界までチャージ!無銘神射!矢は英霊の女の頭を貫通して究極の霊爆を引き起こした。
対象は即死したが蘇生を開始した。急速に吹き飛んだ頭が生えて元に戻った。
「やはり不死の呪いを受けているか。それでこの遺跡に縛られて幾星霜生き抜いて来たんだな。その悲壮な人生を終わらしてやろう。お前もまた全てを見た人だったんだな。あたしのこの手で終わらしてやる。ハァ!」
レンコは縮地して英霊の女の眼前へと転移した。時間を稼ぐために顎に正拳突きを叩き込み砕いた。数秒スタンする英霊の女。その隙に対不死者特攻の奥義を叩き込む!
「億劫蓬莱神獄掌!」
螺旋を描いた魔力が拳に巻き付き神速の拳打として放たれる。そして不死殺しの前に無防備となった英霊の女の胸を貫き中からコアである心臓を引きずり出した。そして心臓を握りつぶす。
「ようやく終われるのか。お前も不死人じゃな。私は召喚されてから今まで二千年死ねなかった。お前は何年死ねなかったんじゃ?」
「三千年。悪いが年季が違うんでね。無銘の神域の英霊よ。ここがお前の墓だ。務めから解放されてゆっくりと眠るが良い。さらばだ。」
「フフフ面白い。まだ生き続けると言うのか三千年生きてな。死ぬのが怖いと言う訳ではあるまい?まあお前の好きにするが良い。私は先に地獄でお前を見物させて貰うとしようかの?それではな。」
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「私の魔法もアーティファクトも効かないなんてね。あんな化物がまだオーディン大陸には居るって言うの…?」
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「ボクの幻想顕現も効いてはいたけど殺すには至らなかった。レンコ抜きならまず勝ち目は無かっただろうね。また修行しないとな。暇なんて言ってられないね。」
「俺も今回は死んだかと思ったよ。レンコが居てくれて助かったな。俺も修行しなければ!」
「よし。それじゃあ。あの女が護っていたお宝を頂くとしようか。皆。あたしに続いて!」
俺達は広い部屋の奥に進んでいった。そこにはゴールドが直に置いてある容器が置いてあった。これがこの遺跡の攻略報酬か…
俺が代表してゴールドを容器から取り出す。…大体五万ゴールド位だな。うーん。何とも言えない絶妙なしょっぱさだ。
俺はワクワクしながら待っている皆に意を決して伝える。
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「ええ…それは酷いわね。せめて十万ゴールドは欲しかったわ。」
「まあ現金で手にはいる所は評価できるんじゃないかな。ボク達があんなに危ない目に遭って五万ゴールドって言うのは納得行かないけどね。さあもう帰ろう。また帰り道もあの遺跡の道を戻ると考えると気が滅入るけどね。」
「まあ遺跡なんてこんなものさ。宿屋で大人しく次の依頼を待つほうが賢かっただろう?あたしはどっちでも良いけどさ。金にそんなに執着はないし。」
「でも私達のお金全部頂いているじゃない。あれは何だったのよ。」
「それは…覚悟を見せて貰ったんだよ。ちゃんと無駄遣いせずに取ってあるから!どうしてもお金が入り用になった時はお金を融通してあげるよ。さあ帰ろう。」
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