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朝日を浴びて俺は酒場の二階で目を覚ました。窓が大きい部屋だったので日差しをもろに浴びて起床する。

昨日一緒に寝ていたはずのエクスは何処にいるのだろう。…どこにもいない。俺はエクスを呼んで回った。

「エクス!おーい。エクス。何処にいるんだ?」

エクスカリバーを抜いて話しかけてみる。
「エクスさん?何処ですか?もしかして昨日の晩に間違いを起こして怒ってらっしゃる?ねーエクスったら何処なんだよ!」

何処にもエクスの気配は感じられなかった。嘘だろ。異世界転生二日目に唯一の理解者兼嫁のエクスを失ってしまうなんて!
信じられねえよ!俺エクスと居られてメチャクチャ嬉しかったのに!
「うおーエクス!何処だ!何処に行ったんだ!」

そう叫んでいると酒場の二階のドアが開いた。念願のエクスだ。…ん?何かめっちゃ怒っていませんこと?俺もしかして何かやっちゃいました?

「マスター!エクス、エクスって五月蝿いのよ!こっちが食事を取ろうと少し離れた瞬間にピーピーギャーギャーと!五月蝿い。分かった?マスター。あんたを置いて何処かに行くことは私にできないから安心しなさい。もし何処へでも行けたらあんた見たいな変態は放っておいてとっくに出ていってるわよ。」

しょぼくれる俺。なにもそこまで言わなくても良いじゃないか。俺も異世界に転生してきて心細いんだ。エクス以外まともな人なんていない世界かもしれないし、エクスだけなんだよ。頼れるのは。

「エクス。五月蝿くして悪かったな。俺も少しこの世界に来たばかりで不安でな。君に置いていかれたらと思うと絶叫してしまったんだ。誠に申し訳無い。もう二度と取り乱さないよ。こんな俺に付いてきてくれるって言うんだ。信じるよ。」

「分かれば結構。ユウ…いえマスター。あんたもう少し落ち着きなさい。たたでさえ痩せたもやし見たいな体しているんだから、心だけでもガッシリ構えていないとダメよ。さあ食事にしましょう。酒場のご主人がツケで食べさせてくれるそうよ。」

「分かったよ。エクス。俺も下に降りよう。」

俺達は一階の酒場に降りていった。酒場は夜と違いご主人以外は誰もいなかった。まあ朝から飲んだくれる人はこの街には居ないのだろう。

マスターはようやく静かになった。たまたま早起きしたから一階で食事を取ろうとしたら蜂の巣をひっくり返した様にマスターが騒ぎだしたのでビックリした。精霊とかそれ以前に出会って一日しか立っていない女の子に依存しすぎだ。私はこの先が思いやられると感じた。

酒場のご主人が話しかけてくる。
「よう!お兄さん。朝から随分熱々だったねぇ。そんなにお嬢さんがいないとダメなのかい?もう少し男ならしっかりしろよ。お嬢さんに愛想つかされるぞ。」

クソ…この親父…俺は顔をひくつかせながら応えた。
「ハハハ…家の嫁が朝起きたら消えていたんでね。ちょっと焦っただけですよ。お気になさらず!」

「まあいいか。お嬢さんと一緒に朝食を取ると良い。これもツケておいてやるよ。」

そう言うとご主人はカウンターの奥に戻って行きソーセージとパンが乗った皿を持ってきた。エクスは既に食べていたらしい。俺も黙って頂くことにした。初の異世界飯だが…
なんというか味は普通だ。別に見た目からして普通だからぶっ飛んだものを想像していた訳ではないけれど…ちょっと期待はずれだな。俺は落胆した。

「マスター。なにショボくれた顔しているのよ。何か気に入らないの?酒場のご主人に失礼でしょ。」

「いや…気に入らないわけでは無いんだけど…以外と異世界の食事にしては普通だなと思って。ほらドラゴンの卵の目玉焼きとかリザードマンのステーキとかさ…そういう夢のあるものが出てくるのかと思った。」

「何だって…お兄さん。そんな食材は一流のレストランにでも行かないと見ることはできないぞ。酒場のモーニングなんだ。これで勘弁してくれ。」

「分かりました。いつかお金を貯めて一流のレストランで味わいますよ。」

俺は朝食を食べ終わった。感想…フツー。エクスも既に食べ終わっている。

エクスが口を開く。
「ところでご主人。本題なのだけれどコボルト退治について情報をくれないかしら?」

「おお…そうだったな。あんたたちへの依頼だった。コボルトの集団が街の外れの鉱山に最近居座ってしまったらしいんだ。全部のコボルトの駆除を引き換えに報酬が与えられる。やってみるかい。」

エクスがチラリと俺を見てくる。冷酷な目線だ。屠殺される豚を哀れんでみる目線を感じる。
「ああ…気は進まないけれどやってみるよ。働かざる者食うべからずって感じだよね。イスワルドってセーフティネットとか無い感じですよね。……沈黙ありがとうございます。無いんですね。分かりました。働きます。」

「良い心がけね。マスター。戦士にとって闘いは避けられないわ。まずは酒場を出ましょう。」

俺達は朝日に照らされる酒場を出ると街の外れの鉱山に向かって歩みを進めた。

「ああメチャクチャ気分が重い。ケンカすらしたこと無いのに…コボルトって人形の獣人でしょ。それを何体も殺すなんて怖くて出来ないよ。」

エクスはプリプリと怒っている。
「あのね。聖剣を使う位になると使い手…マスターにも品格が求められるの。前世の常識は捨てなさい。屠るべき敵は屠るの!そうしないとイスワルドでは生きていけないわ。依頼でもそうだし、生活していく上でもならず者を殺す位の事はいくらでもあるわ。」

「そりゃそうだけどさ。俺、剣道部でも無いし、剣の使い方も知らないけれど大丈夫かなぁ。」

「まとまったお金が手に入ったら山に篭って剣の修行をするわ。貴方は聖剣の使い手として余りに未熟過ぎる。嫌とは言わせないわよ。」

「ひええ。勘弁してくれよ。俺は努力するのとか嫌いなんだよ。エクス…どうしても修行しなくちゃダメ?」

「今みたいに剣に使われる闘い方をしていたら咄嗟の時に死ぬわよ。聖剣の鞘は所有者にある程度の不死性を付与するけれど…流石に何度も即死するような状況はいなしきれないわ。」

俺はガックリ来た。異世界転生って楽して最強ってのがセオリーなのに修行があるのかよ。俺に剣の才能何て無いよ。女神様が剣の才能もセットでくれれば良かったのに…

何処か遠くで女神様が「それじゃあつまらないでしょ」と微笑んだ気がする。畜生め。

俺は暗澹たる気分で件の鉱山まで辿り着いた。
鉱山の近くには掘っ立て小屋がある。中を覗いてみると気難しそうな爺さんが座っていた。ボロを身に纏っている。

恐る恐る声を掛けることにした。そもそも知らない人に色々話し掛ける事態俺にとっては負担極まりないのだ。

「あのーお爺さん。貴方はこの鉱山の関係者ですか?」

「ああ…何だ?兄ちゃん?鉱山はオオカミヤローに占拠されて商売上がったりだ。帰りな。」

エクスが助太刀してくれた。
「お爺様。私達はそのオオカミヤローを退治しに来ました。オオカミヤローを駆除する許可を頂きたいのですが。」

俺も頑張って口を開く。
「そう言うことです。ハイ。オオカミヤローを倒しに来ました。」

爺さんはニタリと笑った。気味の悪い爺だ。
「ヒーヒッヒ。なんだい。そう言う事は早く言っておくれよ。鉱山の冷やかしに来たバカヤローかと思っちまったよ。オオカミヤローは中に沢山いる。何体いたかは数えていないね。全部駆除してくんな。そうしたら酒場の親父から報酬を払おう。」

「分かりました。ハイ。エクス…行こう。コボルトを全部退治するんだ。」

「フム…その気になったようね。心構えは誉めてあげましょう。剣の腕は気にしなくて良いわ。私が貴方の体を使ってあげる。」

ムフムフ…勝手に体を使ってあげるって何かエロいな…ウフフウフフ

「はい!いやらしい妄想をしない!これから鉄火場よ!コボルト相手でも油断が命取りになるわ。行くわよ!」

エクスにそう音頭を取られると俺は鉱山の中に入っていった。
奥へと足を進めていく。鉱山は松明で明かりが灯っていた。薄暗いが仕方ないだろう。

五十メートルほど進んだだろうか…コボルト…狼の獣人が居た。槍を持っている。
これから殺すのか…化けてでないでくれよ。ナンマンダブ…

エクスはエクスカリバーの中に戻った。そして俺の体をまるで自分の手足のように操る。

上段からの一撃!袈裟斬り!コボルトは槍を構えてガードしようとしたがガードの上から叩ききられた。即死だ。死体は残るかと思ったが…だんだん薄くなり光に変わって消えていった。

「死体が消えた?エクスどうしてか分かる?」

エクスカリバーの刀身のまま話に乗ってくるエクス。
「私は辞書ではないわ。何でも分かると思って聞かない事。私にも分からない事だってあるわ。きっとこの世界の物理法則では死んだ後は消えて太極に向かうんでしょう。」

「なんだい?その太極っていうのは?」

「剣士には関係ない情報よ。まあそれじゃあ納得しないか。私達の転生にも関わっているシステムよ。平行世界を超えて存在すると言われているこの世の全てが詰まっていると言われている場所。それが太極。様々な宗教で存在が暗示されているわ。システム側になったからこそ語ることが許されているの。普通の一般人には決して開示されない情報よ。」

うっわー死体が消えるってネタから随分マニアックというか電波が含まれる情報が出てきたな。あれだろ?ゲームとかでもあるデバックルーム見たいな場所でしょ。世界にはそんな場所もあるのか…勉強にはなるけど…本当に知っていても一切得しない知識だな。むしろコズミックホラー的な物を感じるよ!ここから狂気の淵にダイブするとか無いですよね。大場ユウ…これ以上干渉しませんから逃がしてください!

「大丈夫かしら…顔色が悪いけど。」

「いやーちょっと重たすぎるネタが出てきたので消化に手こずっているんだ。大丈夫。エクス。君のせいじゃない。あくまで消化しきれない俺が悪い。」

「そう。あんたも忙しいわね。マスター。でもコボルトは待ってくれないわ。先に進みましょう。」

謎の電波ネタは置いておいて今はコボルト退治に専念するとしよう。いくらエクスの手助けがあっても死ぬ可能性も否定できない。
エクスは再びただのエクスカリバーに戻った。

随分と洞窟の奥まで進んできた。三百メートルは進んだと思う。洞窟は三叉路になって居た。この先全てにコボルトがいると思うとゾッとした。

マスターはまたびびっているようだ。正直コボルトごときでこれでは先が思いやられる。そのうち私の計算では神の加護を受けた神話級の強さの剣士やドラゴンとやりあったりする予定だ。ヤレヤレ…マスターはセクハラをするし弱いしでとても聖剣や魔剣の同期には見せられないわね。さあそろそろ次のコボルトを倒しましょう。

俺は三叉路の左の通路を恐る恐る進んでいった。何かが何かを食っている音がする。
クチャクチャグチャグチュバキッグチャ…
俺は見てしまった。コボルトが人間の死体を食べているところを!

「うわーっ!あーあーあーっ!人間を食ってやがる!このコボルト人間を食ってるぞ!」

「言わなくても分かる!落ち着けマスター。私の操る通りに踊って見せろ。」

エクスカリバーが独りでに動く。中段から突きの構えに入った。
「この構えは龍閃の構えだ。横一文字の神速の斬撃よ。覚えておきなさい。」

コボルトがこちらに気づいて飛び掛かってきた。殺される!
龍閃!強制的に体が動かされて横に薙ぐ一撃が放たれた。コボルトの首が跳ねられる。
地面にコボルトは倒れるとそれきり動かなくなった。

まだこれで終わりでは無いらしい。第六感が敵の気配をビンビンに感じ取ってる。
俺達は左の通路を更に奥に入っていった。人間の死体はなるべく見ないようにする。

居た。コボルトの集団だ。六体いる。

「エクス!操作を頼んだぞ!任せる。」

「マスター。了解だ。言われなくても…こんなところでマスターは死なせないからな!」

コボルトに向かって意思とは別に走り出す俺の体。まず一体目。袈裟斬り!頭から断裂!即死!
二体目!龍閃!胴体切断!即死!
三体目!下段からの一閃!燕返し!股から頭部まで切断!即死!
四体目!目にも止まらぬ一閃!無明突!胸部破砕!即死!
体が千切れそうだ。舞え!俺の体!限界なんて誰が決めたんだ!舞って舞って躍り狂え!
五体目!三連突!三連続の剣閃を一撃で叩き込む!頭部爆砕!即死!
六体目!マナのオーラを放出…!霊気の刃を伸ばす!霊刃袈裟斬り!頭部から両断!即死!
全コボルトの死亡確認!戦闘終了!

「私に操られているとは言え、見事な闘いぶりだったわ。ユウ。やるじゃない。この調子で残りのコボルトも倒しましょう。」

「ああ…良い意味で武者震いしてきた。次はどいつだ。」

俺達は三叉路の入り口に戻った。今度は右の通路に進んでいく。最奥に到着した。十体近くのコボルトが固まっている。一斉に襲い掛かってくるコボルト。

エクスが導いてくれる。頭に情報が流れ込んでくる。霊気…マナのオーラをエクスカリバーに集中させ圧縮していく。それを剣閃として一気に放出して放つ!その名を究極霊閃!マナの奔流に巻き込まれてコボルト達は全員即死した。

「こんな技まであるのか…やはりエクスカリバーは伊達じゃないな。」

「大軍用のアーティファクトとしての機能よ。何れ貴方も好きな時に発動できるようになるわ。さあ残りの通路を進みましょう。」

右の通路の来た道を戻る。特に敵は見当たらない。まあコボルトも地面から生えてくるわけでは無いという事だ。残るは真ん中の通路だ。

用心しながら進んでいく…開けた場所に出た。濃厚な血の匂いと嫌な肉の焼ける様な匂いがする。それはそこにいた。人間の肉を焼いて喰らう悪魔…のようなコボルトだ。

ガタイが良い。コボルトキングとでも呼ぶべきだろうか。部屋に入ってきた俺達に気付き槍を投擲してきた。

エクスカリバーが自動で動き、投げつけられた槍をはたき落した。

「こんな程度の小細工通用しないわよ。連撃で行くわよ。準備は良い?マスター。」

「俺の準備はいつでも万全だ。デカいからって調子に乗るなよ。オオカミヤロー行くぞ!」

コボルトキングは槍を叩き落されて動揺しているようだった。一本しかない槍なら投げなければ良いのに…と俺は思った。

コボルトキングの前まで俺の足は強制的に動きジャンプさせられた。飛び込みながら剣撃を舞う。
袈裟斬り!龍閃!無明突!三連突!霊刃袈裟斬り!燕返し!
エクスの導きで流れる様な剣撃を叩き込む俺。全身が軋み悲鳴を上げる。

コボルトキングの肉体は耐えきれずに爆散した。流石聖剣の一撃と言った所だろうか。いとも簡単にデカいコボルト…コボルトキングを倒してしまった。

「これで全部のコボルトを倒したわね。私も顕現しましょう。」

エクスがエクスカリバーからにゅるっと出てきた。よくよく考えるとかなり不気味だが突っ込むと怒られそうなので黙っておく。

「いやー。怖かったけど案外何とかなるもんだね。途中からは何か楽しくなってきたし。」

「戦闘に快楽を覚えるのは良い兆候ね。マスター。後はあの剣舞を自分自身の意志で舞えるようになったら一人前だわ。今回の報酬が入ったら食料を買い込んで山に籠って修行しましょう。良いわね。」

「そう言えば修行が待ってる事を忘れてたよ。まああれほどの剣技を使いこなせるようになるなら我慢しかないかね。」

俺達は来た道を戻っていた。鉱山からそろそろ出る所だ。外の明かりが差している。ようやく鉱山を出られる。いやーコボルトが一杯居てたまげたなあ。俺達は外に出た。掘立小屋に居る爺さんに報告する。

「お爺さん。コボルトは俺達が全部倒しましたので報告です。」

「何だって!本当に兄ちゃんがオオカミヤローを倒したっていうのかい。証拠は…まあ若いのを鉱山に入らせれば分かるか。オイ。おめえら仕事を再開しろ。オオカミヤローが居なくなったとよ。」

爺さんは鉱山の外に屯していた若い衆に声を掛けた。恐らく鉱山で働いている人達なんだろう。俺達がコボルトを倒したからもう安心して働けるはずだ。

爺さんが口を開く。
「おし。おめえらへの報酬は酒場から払わせてもらうぞ。ご苦労だったな。もう用は無いだろう。じゃあな兄ちゃん達。」

「さようなら。お爺さん。もうコボルトに苦しめられることは無いでしょう。私達に出来る事がまたあったらいつでも言ってくださいね。」

と、エクスの営業トークが炸裂していた。爺さんはデレデレしながら、そういう事態になったらそりゃ困るけどよ…また御嬢ちゃんに会えるんだよな…と鼻の下を伸ばしていた。

「オイ!爺さん。家の嫁に手を出すなよ。シッシ!帰るぞ。エクス。」

「私はあんたのお嫁さんになったつもりは毛頭ないわよ。嫁と呼ぶならまずは剣技をまともに使えるようになって見せなさい。」

「ング…痛い所を突くねえ。エクスさん…酒場に帰ろう。報酬が待っているぞ。」

俺達は町の外れの鉱山から歩いて酒場まで戻った。もうご主人に話は行っているようだった。

ご主人が口を開く。
「よう!御二人さん。コボルト退治は上手くいったようだな。これが報酬だ。受け取ってくれ。」

ご主人は金貨の山を取り出して渡してきた。結構量があるみたいだけれど、こっちの世界の金銭感覚はまるでない。どのくらいの大金なんだろうか?

「ご主人。これはいくらの金貨何だい?」

「五十金貨だな。これだけあれば色んな事に使えるぞ…。」

「俺は金銭感覚に乏しくてね。五十金貨で何が出来るんだい?」

「この街の宿屋に一ヶ月泊り続けても十金貨位で済むな。まあその位の価値があるってこった。」

エクスが口を開く。
「一ヶ月分の食料を買うとどのくらいお金がかかるの?ご主人?」

「そうだな。多めに買い込んだとして六金貨が関の山だろうな。」

「分かったわ。ありがとう。ご主人。」

「えーと。エクス?もしかして…もしかして修行ですかァ?」

「イエス!勿論修行よ。貴方には一流の剣士になってもらわないとならないもの。まあ今日が街で眠れる最後の日ね。」

「お前さん達夕食はどうするんだ?宿もウチで取るんだったら代金負けておくよ。」

「お言葉に甘えて晩飯も頂くとするか。エクス。修行の話はまた後でな。」

「そうしましょう。ご主人。夕食を用意して頂戴。」

俺達は出された夕食を食べると二階のベットに戻り就寝した。まだ夕刻に差し掛かった所だったが、コボルトとの闘いで予想以上に疲労していたようだ。

明日からはつらく厳しい修行が始まる…正直こちらの世界に来てまで修行とかしたく無いんだけど…いや漫画とかだと修行シーンって大事じゃん?と思うけれど、俺は闘いの中で進歩していくパターンの方が好きなんだ。あーきつくて無理がある修行をさせられるんだろうな。

同じベットで寝ているエクスだけが俺の癒しであり、また恐怖を生み出している。こんだけ可愛いんだから後は物言いがお淑やかなら俺からは何も言う事は無い。早く聖剣の使い手として相応しいぐらいに成長しないとな。俺はそんな事を考えながら夢枕に旅立っていった。。
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