僕が立派な忠犬になるまで。

まぐろ

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5日目:効果切れ

 こんこん、とドアをノックする音がする。僕がドアに寄りかかっているからドアは開かない。

「ごめんってー、風音ーっ…でも風音可愛かったよ……」

「うぅ……わんわん。」

 昨日はあの後、僕は酔っ払った状態のまま、わんわん言いながらお兄さんに甘えていたらしい。絶頂したあとの記憶が飛んでいるから、恐怖でしかない。

「風音ぇ、仲良くしようよー…もういいや…開けるからね?」

 ぱこっ…と音がして、部屋の壁が開いた。そこ扉だったんだ…と思いながら堂々と部屋に入ってくるお兄さんを眺める。
 お兄さんは僕と目が合うと、少し不思議そうな顔をした。

「そこで座ってたのか…だから開かないわけだ。……で、なんで下脱いでるの?」

「……わう。ぐるるる。」

 お兄さんは苦笑いを浮かべた。お兄さんが想定していたよりも僕は媚薬に耐性がなかったらしい。まだ下腹部はじんじんするし、身体は熱いままだった。だから、服を脱げば涼しくなると思ったのだが…

「まだ媚薬効いてるのかな?…そんなわけないか。」

「わん。」

 この部屋では犬語を話さなくてはいけない。だから楽だ。下手にコミュニケーションを取る必要がない。
 のそのそとクッションの上に乗り、横を向いて寝始めると、お兄さんは少し悲しそうな表情をした。

「寝ちゃうの?…構ってよ…」

 寝てしまえば、この熱も取れるはずだ。今は下半身が丸見えだがもうどうでもいい。お兄さんには見られたし触られたし、これからきっとそれ以上の事もされるのだろう。

「……ッんぴゃぁっ!!」

「あ…ごめん…むにむにしてそうだっからつい…」

 僕の…玉を触られた。びっくりして飛び起きると、お兄さんは何となく申し訳なさそうな顔をしていた。なんで誘拐した側がそんな顔をするんだ。

「っはぁ…っ…はぁっ…!ゔぅ…わんわん!!」

「風音、怖くないよ。ほら…ね、よしよし。」

 お兄さんに威嚇するつもりで睨みつけたが、抱きしめられてしまった。自分の身体がよく分からなくて混乱していたのもあって、抱きしめられると落ち着いてしまう。

「きゅぅ………」

「大丈夫大丈夫…風音は意外と幼いんだね、でもとってもいい子だよ。俺がちゃんと面倒見るから…わかんないこと全部教えてあげるから…俺に任せて。」

 …こんなことを言われたのは初めてだった。頼っていい人がいるという、今まで感じたことのない安心感。だがそれでも僕は、お兄さんを信じられないから無抵抗のまま目を見開いていることしかできなかった。

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