新しいルートでご案内致します。目的地は、君の隣(きみとな)

masuta

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第1章:出会いの章 〜導きのルート設定〜

第20話 私は再びあなたに会うために、新たなルートを望み、ルートに沿って目的地に

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第20話 私は再びあなたに会うために、新たなルートを望み、ルートに沿って目的地に

花火大会。生まれて初めて、両親にわがままを言った。

わがままを言って困らせた。このまま、終わりたくなかった。

泣きながら、頼んだ。はじめてのお願いであった。

心の底からのお願い。両親は私のお願いを、涙ながらに、聞いてくれた

そう、大好きな、あの人との、花火大会。


今日は約束の日、この日はあけておいてと、念をおされていた。

念をおそうが、おさまいが、スケジュールは、美野里が掌握しているのだから

右をさせば、右を、左をさせば、左を、…。

僕自身もこのリフレッシュ休暇中、何かしたいわけでもないので、

一人で家にこもっているより、美野里が居て助かる部分が多きい

美野里といると、楽しいのである。


美野里と過ごす時間は、新鮮すぎるほどに新しい。 僕は理屈っぽい人間だ。「0」と「1」の間には無限の隔たりがあると考えている。

けれど美野里という存在は、その定義を軽々と飛び越えてくる。僕の理解の範疇を超えた何かが、彼女にはある。

スタンフォード卒、27歳、才色兼備。 そしてなぜか、僕のことをよく知っている両親からの「誕プレ」。

美野里は、僕の理解を超えている何かを持っている、あるいは、何か事情がある。

アメリカ帰り、スタンフォード卒、27歳、美人、船橋に土地勘があり、
すくなくとも、僕をどこかで知っている。両親は僕に、誕プレといって、美野里を。

新型アルファードと共に。


バン、バンと、叩く音が部屋を駆け巡る。先ほどまでの静けさを、打ち消した。「あれ、未来が居ない、あ、いた」「未来おはよう、どうしていないのよ」

潰されているパンダさんは、助けてください…と言っているように見えた。今15時であると時計を指さし

「おこしてよー未来、15時、あーもう、明け方まで未来とアニメ見てお酒飲んでいたから、スマートフォン、スマートフォンどこ!」手に持ってた。

「寝すぎた、未来、お風呂は?」済ませて、沸いている事を告げ、洗面所を指さした。

美野里はその場で、全裸になって、お風呂へ

バスタオル一枚で、出てきて、髪を指さす美野里

髪をドライヤーで乾かす。谷間を覗き込んでしまう、ん?鏡を見ると、美野里と目が合った。覗いたのがバレた瞬間である。

(ムフフ、完璧、大勝利!)ブウーーーーン、風量を強くした。

「今日、電車でいくの、そうね18時位につけば」

鏡越しに、耳をあてる。聞こえない

ドライヤーをとめて、聞こえてないと

「赤ちゃんが出来たの、責任取ってよね、と言ったの!」「エッ?」

静まり返った部屋。エアコンの音が頭を直撃する。もしかして、寝ている間に、まさか、そんな、記憶がないし、もったいない、いやそうではない、覚えていない・・・

「そんなわけないでしょう、今言ったのは、18時位に着くように出かけるの」

完全におちょくられている。

「浴衣で行くからね、着替えましょう」

「どこに?浴衣、お祭り?」

「じゃーん、これよ、これ!」「花火大会、幕張」



   ***   



二和向台を出て、海浜幕張駅に向かった。
「電車、浴衣の人多いわね、皆さん目的地一緒なのかしら」

「そうみたいだよね、スマートフォンで過去のを見ると、凄い人だね」
「花火大会か、初めてだな」

(は?この人何を言っているの?)「ぶぶー、はじめてじゃないでーす」

海浜幕張駅に着くと、凄い人であった、改札に出るまでに時間がかかった。改札を出るとさらに物凄い人。スマートフォンのマップを見て、移動した。

(手を繋ぎたい、手を、未来、わたし迷子にならないように、手を)

未来はそのまま進む、10分位でつきそうなのに、なかなか、進まない、目的地につくのに1時間位かかった。


「りんご飴、2つ、隣で、生ビール」
「こっちは、チョコバナナ、2つ」


(りんご飴に、チョコバナナ、どうして?)(手を繋ぎたいが、ビールと、りんご飴と、チョコバナナ、手が塞がってしまった)


美野里は不思議そうに、未来を見つめる。


「ビールに、甘い物、これは、これで美味しいよね」「大人の醍醐味だ」

(そうだ、大人。あの日の事を鮮明に思い出す。私の中ではつい、昨日の事なのだけれど)

観客の多さが圧倒的だった。所狭しと人、人、人。


定刻になり


ひゅーーーーーーーーーーーーーーーーーーん
ばーーーーーーーーーーーーーーーーん

花火大会が始まった。


二人で初めてみた、花火大会

泣きながら、わがままを言って、

連れてきてもらった、花火大会


それが、今、再び


空を見上げる未来、その顔を見る美野里、水面に映る花火。


あの時と同じだ。
「すごいね、大きい!こんなに大きい花火見たの、初めてだよ」

(ちがうよ、未来、未来、思い出して、初めてじゃないのよ)


次々に打ち上げられる花火。鮮やかで、形も様々で

人は多かった。浴衣の女の子たち一行が横切る。誰かに手を振りながら、その一行に、美野里がぶつかってしまい、「すいませーん、ごめんねー」

(ばった、あ、倒れる。うわ、ぶつかって)
その場に、倒れそうになる美野里(そっと、手を差し出し)「あぶないよ、美野里」

未来は、美野里の手をそっと、握る

未来 (笑顔で)「こうしていれば、安心でしょ」


美野里は、ついに、ついに、手をつなげた、つないでくれた、わたしからではなく、未来から

そう思うと、涙、が、頬を一筋、流れて行った。


どれくらいこの時を願ったのだろう、わがままを言って、連れてきてもらった

花火大会、入院中で、絶対安静と言われても、最後のお願いと言って

お父さん、お母さんと困らせた、花火大会。


手を繋ぎたかった、未来と手を継ぎたかった。それが、未来から、手を繋いでくれたのだ。わたし、生きていて、良いのだ。良い、良いのだ。

花火は綺麗に次々と打ち上げる


ひゅーーーーーーーーーーーーーーん、ばん、ばん、ばん、ばーーーーーーーーーーん
ばんーー、ぱらぱらぱらぱらぱらーーーーぁ。


(言おう、もう止められない、必ず言う、想いをつげる)
(その為に、私は新たなルートを得て)

(未来の元に、戻ってきたのだから)
(未来に思いを伝えるために)


「私はずっと、未来が好き」
「好きー」

ひゅーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん
ばーーーーーーーーーーーーーーーーーーん

(いままで、一番大きい花火だ、飲み込まれるようだ)

「え?なに?なんだって、聞こえないよ」

(もう、もうー!!!、私の、決意をどうしてくれるのよ)

もう1度…

「あのねーー」
「私は未来が、好き」

ひゅーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん
ばーーーーーーん、ばーーーーーーん、ばーーーーーーーーん

(これも、でかい、凄いな、幕張の花火、え?えええ?)

「え?何?未来、凄いね花火綺麗だね」

(もう、なんなの、天然記念物、お決まりの、あるある、展開じゃない)


私は、ぐいっと未来の、腕をひっぱって


ひゅーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん
ばーーーーーん、ばん、ばん、ばん、ばん、ばん、ざぁざざざあーーーーーーーーー


美野里は言葉では伝わらないと、未来と唇を重ねた。首に、腕を、強く抱き着いて

美野里は、涙が…すーと、一筋

(え、どうして、うわ、初キス、そうか、そうだよね)未来は、美野里を見つめ、一度唇を放して、美野里を見て、もう1度


ひゅーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん
ばーーん、ばーーーん

美野里の肩を抱き寄せて、観客たちは大きな、大きな、大きな、花火を見上げていた。


未来は、美野里と、もう1度、未来から、キスをした。

美野里の気持ち、俺の気持ち
言葉には、出ていないが、想いは伝わったし、伝えられた。

長い時間、唇を重ね合っていった。人の視線は気にしない

ずっと、唇を重ねていた。美野里の頬に、零れ落ちる涙。

(俺ここ、着た事がある。)
(そうだ、中学生の頃、1度だけ、花火大会に来た事がある)
(そう、ここに、女の子と)

(それが、美野里だ。二宮 美野里)


まてよ、あれ、学校を休んでいると、俺は東京にいってしまい
風の噂、同窓会と成人式の案内に、同窓会幹事から連絡があり、亡くなったと
俺は成人式も同窓会もいかず


そうだ、亡くなったと聞いていた。
どうして、そういえば、アメリカから帰ってきたと
父さん母さんからの誕プレ。美野里

頭の中で、一瞬にして、色々な事が蘇った

美野里と、初めてのキス。未来の頬にも、一筋の涙が、すーと、流れたのであった。


どこからか聞こえる

「目的地が変更されました。新しいルートでご案内します。」
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