最後の魔法使いはただ幸せになりたい

Hkei

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第1章 幼少期

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少し前、王宮奥深くにある館、王族のみ入ることが許されたその不気味な館。

「おや…やはり間違いなく感じるね」

「それは真か!!場所までわかるか?エヴァ」

どれほどの歳を重ねているのか分からない老婆がゆっくりと答える

「…ここより東としか…まだかなり弱い…」

「東だな!!よしすぐに探させよう」

バタバタと国王は出ていき、外で待機してた者たちに指示を出す。ほんの数時間後には計画は練られ、実働する部隊の編成もほぼ調整でき細かな準備を入れても2日後には出発できそうだ。


──これくらいではたいした時間も稼げないがね…


エヴァははっきりと見えたその子を思い、逃げておくれ…と目を閉じる。




◇◆◇


急いで家に戻ってきた2人を見てハンナは驚く。

「まだ先なんじゃなかったの?」

「先発隊がいた!!用意はできてるかハンナ」

部屋を見ると元より物が少ない家ではあったが小さく荷物はまとめられていた。両親がバタバタと用意してる間リルは部屋の隅で小さくなるしかなかった。以前住んでた街でも何故か王都からの追手がやってきて寸前で逃げて…を何度か繰り返している。今回も隣国との交渉ではないと確信していた。



──ルークさっき何か言ってた…


「さあ行こう!」

ジャンが荷物を持ちハンナがリルを抱き抱える。その時扉をドンドンと叩く音がして

「リル!!リル!!」

「ルークだ」

ジャンが扉を開けるが中には入れずそのまま外に出る。ハンナも出る。

「ルーク悪いが時間が無い。街に戻りなさい。そしてこの事は誰にも言わないでくれ」

ジャンもハンナも動きを決して止めることなく荷物を荷車にのせリルもそこに降ろされる。

「ルーク!!」

降りようとするリルをハンナがとめる。

「おじさんお願い!!僕も一緒に連れてって」

「それはできない!君がいなくなると怪しまれるだろ。ルーク街に戻りなさい」

「でも…じゃあコレ…」

ルークは荷車のとこまで行き手に持っていたブレスレットをリルに渡そうとする。先程店で糸を2人で選び編んでもらったブレスレット。

「ルーク…」

受け取ろうと手を出した時、馬の走ってくる音が聞こえる。ハンナがリルに布を被せる。

「こんなところにも家があるとは…」

馬から降りた騎士がジャンたちを見ながらたずねる。

「何か用でも?」

金髪・・金色の眼・・・・をした子供を探してる。ここにはいないか?」

「知らないな。うちの子は・・・・青い髪だから」

ルークを片手で自分の側に寄せジャンは答える。その手に力が入ってるのをルークは感じる。

「…そうか。ではその荷物は?どこかに出るのか」

「野菜を買ってもらうための準備ですよ」

ジャンの声に緊張が混じる。

「野菜ね…見せてもらえるか?」

騎士が荷車に近づく。咄嗟にジャンが前に出てこれは廃棄分で…と声を出した瞬間鈍い音がしてうっと唸りその場に崩れる。

「おじさん!!」
「ジャン!!」

──何?何が起こってるの?

動こうとするリルをハンナが必死で押さえている。


「おじさん…父親ではないのか」

騎士はニヤリと笑い荷車にさらに足をすすめる。

「ま…待って!!」

ルークが騎士の足にしがみつく。

「何をする!邪魔だ」

手でルークを払い持っていた剣を振りおろす。
ハンナの悲鳴が響く。

「子供になんて事を!!」

叫んだ瞬間騎士がハンナを荷車から離し押さえつけ、被せてある布をはがす。

自分を押さえていた力が緩み起き上がるリル。
目に飛び込んできた光景を処理しきれない。倒れてる父親、押さえつけられてる母親、そして…

「もう1人いたか…なんだこれも関係ないガキか」

血まみれで倒れてるルーク。








「あっ…………!!」









身体の中から溢れる物を止めることが出来なかった。








瞬間辺り一面、光で見えなくなる。




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