最後の魔法使いはただ幸せになりたい

Hkei

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第3章 テコーダール国

3

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目が覚めるとベッドに寝ているのが分かる。側にルークがいて起きたのに気づいてくれた。

「大丈夫?長旅だったし本当に無理させたね。ごめん」

「…大丈夫」

「フレッドはあれでも王子なんだ。体調大丈夫なら後で城に行こう」

「お城に…気軽に行けるの?」

「この国は城解放してるから。王様も気さくな人だしね」


──それでも…



トントンと扉を叩く音がして父親が顔を出す

「もう大丈夫か?」

「うん」

部屋に入ってきてベッドの横に椅子を寄せ座りながら

「リリーナにはちゃんと言っといたから。我儘ですまんな」

「そうだよ。リリーナは昔から自分が1番じゃないと機嫌悪くなるしな」

「そう言うなよ」

ハハハと笑いあってる2人を見てるとザワっとする。でもその感情を持つのが悪い事のようで目を閉じた。




昼すぎには動けるようなっていたので、城に行くことになった。

「まだ動くの辛くない?」

ハンナは心配してくれたが大丈夫と笑って答えた。そのハンナの足にしがみつくようにリリーナがいて、リルを睨んでいた。お留守番を言われて拗ねているのと、みんながリルを心配するのが許せないようだ。

「無理はさせないから」

ルークはそう言うとリルの背中に手を当て膝からヒョイと持ち上げた。

「ルーク!大丈夫私歩けるから」

真っ赤になりながら言ってみたが全く聞いてもらえなかった。城までの徒歩区間は全てそうされて恥ずかしすぎてずっと手で顔を覆っていた。

城は本当に解放されてて、誰でも中にすぐ入れる状態だった。さすがに王族に会うには申請が必要だったが、国王がいるかいないかの確認の為だけですぐに応接間に行くことができた。

ほどなくして国王とフレッドが出てくる。一応高い位置に椅子があるがそちらには座らずリル達の前まで普通に出てきた。

「ジャン。よかったな娘さん帰ってきて。君がリルだねよろしく」

「はい。リルと申します。お初にお目にかかり…」

「あー堅苦しい挨拶は不要だ!」

しっかりと頭を下げ挨拶仕掛けたリルは途中でやめるわけにも行かず形はきちんと挨拶して顔をあげた。

「最後の魔法使い…か…我が国の為にいてくれると思って良いのか」

「王様、私は娘をそんな存在にするつもりはないです」

「ハハッ冗談だ!許せジャン」

誤魔化してはいるがリルには分かる。今認識したぞと静かに、確実に圧をかけられる。


──無駄だけど…ね


「朝は体調悪そうだったけどもう大丈夫?」

フレッドが手を出して肩に手を置こうとするのをルークが跳ね除ける。

「はい。朝は申し訳ございませんでした」

「大丈夫ならよかった。そうだ今夜みんなで簡単なパーティーでもどうかな?君の歓迎パーティーを」

「え?」

「いいなやろうやろう!」

突然の発言のはずがどこか用意されたセリフの様で…。キョロキョロと周りを見ると、リル以外はそれを知ってる感じなので既に予定されてる事のようだ。

いかに開けた王室とはいえ昨日きた1人に対してそんな事はしないだろう。リルが魔法使いなのはもちろんだが、ジャンは今や国の大臣になっている。狭い土地でも育つ作物を作り、その作り方を広げ、魚介以外の収入源を作った功績かららしい。
ルークは剣の腕前から騎士団団長を務めているので、王族からの信頼もある上、フレッドの親友である。

華やかな世界は苦手だが断れない状況なので、ありがとうございますと答えるしかない。

リルの準備は王宮でとズラっと並んだメイドたちに連れて行かれ、自分で指1本動かすことなく身支度が終わっていく。

──倒れそう…

コルセットのせいなのか締め付けられるように全身に痛みが伴う。




「綺麗だ…」

迎えにきたルークは完璧に仕上がったリルを見て思わず声が出る。
今まで着たことない薄いピンクの肩を出したドレス。顔周りはっきり見えるようサイドは編み込みされ後は真っ直ぐ腰まで伸ばされた金色の髪。派手すぎない上品なピンクのメイクが真っ白な肌に合って神々しさをかもしだす。

「ルークもかっこいいよ」

騎士団の正装だろうか、黒の詰襟に装飾が金色でルークにとても似合っていた。

エスコートされ会場まで向かう。王宮内にある小さなホールで、普段はプライベートで使う場所のようだ。少人数ではあるが招待された人もいて規模は決して小さいものではなかった。
中に入ると家族はいてすぐに寄ってきてくれた。

「リル…綺麗ね」

ハンナが涙ぐむのでジャンが嫁に出す訳じゃないしと言いかけ、その言葉に自分で泣きそうになっていた。

「何よ!私の方がいいでしょ!!ルークもなんで私の側にいてくれないの!!」

「リリーナ、今日はリルのパーティーだから我慢しなさい」

父親から我慢しろと言われみるみる頬を膨らましフンッと拗ねてお菓子を食べに行ってしまった。

国王、フレッドが入ってきてガヤガヤしてた会場が一瞬静まり返る。

「リル嬢が帰ってきて本当によかった。みんなで歓迎しよう!」

国王の言葉を聞いてまた盛り上がる。フレッドがリルの前に来て 

「リルさん、綺麗です。僕と踊ってもらえますか?」

と手を出す。受けようか迷っているとルークが俺が先と手を引っ張って真ん中まで連れていかれる。

「ルーク踊れるの?」

「一応は…リルは?」

「教えてもらったから…」

「チッあいつか…」

ばっと腰に手が周り引き寄せられる。そのまま音楽に合わせダンスがはじめる。1曲終わっても解放してもらえず2・3曲連続で踊らされさすがに疲れたと言うと、また抱き抱えられ壁際の椅子に座らされた。

「おいおい、自分のモノ扱いがすぎるぞ」

「その通りだからいいんだ」

ルークは少し不機嫌だったが、リルの為に飲み物と軽く食べるものも持ってきてくれた。
踊りすぎたのか、別の理由か…少しぐらつく身体を必死に保ち、飲み物を口に含む。
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