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貴女は私の番(2)
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「今考えれば、私の目的を達成するためにも、ミアの『結婚する前にデートをする』という提案は有効ですね。理に適っています」
「うん?」
名(迷)探偵レフィーが、一人納得顔で言葉を続ける。
「女を性的に興奮させ体液の分泌を促せば、通常は酸性の体内が中性に寄る。中性に寄ればアルカリ性の種は死ににくくなります。受胎率を上げるのに効果的です」
「うんん?」
あれ? 何の話してたっけ? 生物? 保健体育?
「ただ、興奮の種類に少し疑問が残りますね。デートが始まってから貴女が楽しそうなのは伝わってくるのですが……キスをしてもいいですか?」
「ムードもへったくれもないね!?」
即ツッコミを入れている私も、人のこと言えないけどね!
あと話がまったく見えない。どこからどう来てそこへ着地した!?
「話の展開について行けてないけど、とりあえずキスは『良い感じにデートを進めた最後にする』って書いてあったと思う」
「それは覚えていますが、仕立屋と雑貨屋、家具屋。そのどれにおいても、貴女の性的興奮を促せる気がしません」
「まず性的興奮の物差しから離れよう!?」
寧ろ仕立屋や雑貨屋でそうなったら困る。そしてやっぱりここまでの話が見えない。
わかるのは、レフィーがデートの手応えに不安を感じているということだろうか。
「場所はそこまで関係ないのよ」
私はもうわからない『ここまでのお話』は放っておいて、彼の不安の払拭に集中することにした。
「大切なのは、色んな場所に一緒に行って。色んな話をして。そうして二人で長い時間を過ごしてみて。それで、この先それよりも長い時間をともにして行けるのかを判断するの」
「判断といっても、貴女は私の番です。人間同士のように、より自分を興奮させる男を選別する必要はありませんが」
デートは相手の選別ときましたか。いやまあ、そういう面がないとは言わないけれども。
「前半はレフィーにも必要でしょう? 私もだけど、レフィーは私が何を好きで何が嫌いかをまったく知らないわけだし。その、性的……興奮のためにも、私が好きなものが何かを把握しておいた方が、都合がいいんじゃない?」
「……ふむ、そういうことですか。確かに、言われてみればそうですね」
ようやく納得したらしいレフィーが、また顎を一撫でする。
それからその手で彼は、私の髪を飾る花に触れてきた。
「でも、ミア。私が「まったく知らない」というのは間違っていますよ。先程のイベリスの花、貴女はとても喜んでいたように見えました。貴女の好きな花の一つを私は覚えた。だからもう私は、貴女をまったく知らないわけではありません」
「……っ」
得意気――に見えるような見えないような顔で微笑むレフィーに、ドキリとする。
イベリスは彼がいうような、特別好きという花ではなかったけれど――
「……そうね」
今日から特別になったのだから、合っている。私はレースの手袋に咲く花を見下ろしながら、レフィーにそう返した。
「うん?」
名(迷)探偵レフィーが、一人納得顔で言葉を続ける。
「女を性的に興奮させ体液の分泌を促せば、通常は酸性の体内が中性に寄る。中性に寄ればアルカリ性の種は死ににくくなります。受胎率を上げるのに効果的です」
「うんん?」
あれ? 何の話してたっけ? 生物? 保健体育?
「ただ、興奮の種類に少し疑問が残りますね。デートが始まってから貴女が楽しそうなのは伝わってくるのですが……キスをしてもいいですか?」
「ムードもへったくれもないね!?」
即ツッコミを入れている私も、人のこと言えないけどね!
あと話がまったく見えない。どこからどう来てそこへ着地した!?
「話の展開について行けてないけど、とりあえずキスは『良い感じにデートを進めた最後にする』って書いてあったと思う」
「それは覚えていますが、仕立屋と雑貨屋、家具屋。そのどれにおいても、貴女の性的興奮を促せる気がしません」
「まず性的興奮の物差しから離れよう!?」
寧ろ仕立屋や雑貨屋でそうなったら困る。そしてやっぱりここまでの話が見えない。
わかるのは、レフィーがデートの手応えに不安を感じているということだろうか。
「場所はそこまで関係ないのよ」
私はもうわからない『ここまでのお話』は放っておいて、彼の不安の払拭に集中することにした。
「大切なのは、色んな場所に一緒に行って。色んな話をして。そうして二人で長い時間を過ごしてみて。それで、この先それよりも長い時間をともにして行けるのかを判断するの」
「判断といっても、貴女は私の番です。人間同士のように、より自分を興奮させる男を選別する必要はありませんが」
デートは相手の選別ときましたか。いやまあ、そういう面がないとは言わないけれども。
「前半はレフィーにも必要でしょう? 私もだけど、レフィーは私が何を好きで何が嫌いかをまったく知らないわけだし。その、性的……興奮のためにも、私が好きなものが何かを把握しておいた方が、都合がいいんじゃない?」
「……ふむ、そういうことですか。確かに、言われてみればそうですね」
ようやく納得したらしいレフィーが、また顎を一撫でする。
それからその手で彼は、私の髪を飾る花に触れてきた。
「でも、ミア。私が「まったく知らない」というのは間違っていますよ。先程のイベリスの花、貴女はとても喜んでいたように見えました。貴女の好きな花の一つを私は覚えた。だからもう私は、貴女をまったく知らないわけではありません」
「……っ」
得意気――に見えるような見えないような顔で微笑むレフィーに、ドキリとする。
イベリスは彼がいうような、特別好きという花ではなかったけれど――
「……そうね」
今日から特別になったのだから、合っている。私はレースの手袋に咲く花を見下ろしながら、レフィーにそう返した。
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