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突然の箱詰めシチュエーション(5)
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再びエレベーターっぽい浮遊感とともに、すーっと箱が上昇していく。
ぐんぐん昇って、カコンと止まる。
(わー……カルガディウムの街が一望できる……)
まさに高層ビルのエレベーター。その再現率たるや素晴らしい。しかし、何せシャフトもワイヤーもないので、どうしても『浮かぶ箱』感は拭えない。エレベーターネタより、前世で流行っていた『箱詰めシチュエーション』を彷彿とさせる。
「――ああ。この空間は、キスをするまで出られません」
とか考えていたら、レフィーが本当に『箱詰めシチュエーション』を絡めてきた。
しかも今、思いついた感じだった。随分と私の漫画に感化されて来ている様子。仕掛け人として喜ぶべきか、冗談の通じない相手に吹き込んでしまったと青褪めるべきか。
実際、こんな高度から私一人で脱出は無理なわけですし。まさに『キスしないと出られないエレベーター』に閉じ込められているわけですし。
「どうぞ」
ご丁寧に、レフィーがその場に座ってくれる。ちょっと考える素振りを見せてからそうした彼の頭の中で、私が慣れない靴で背伸びして転んだのかもしれない。そしてその予想図は、否定できない。
私はレフィーの目の前まで行って、膝をついた。
先程の玄関での構図と、お互いの位置が逆だ。折角なので、壁ドンもしてみた。前世から今世にかけて、人生初の壁ドンである。
(うっ……良い顔が近過ぎる……っ)
同じ構図になっても、身長差という違いがあるわけで。何故やる前に思い至らなかった、私。
迫っている私がドキドキバクバクしていて、迫られているレフィーがウキウキワクワクしているなんて。
いやほんと、何珍しく目に見えるレベルで微笑んでいるの。実は迫られるのが好きなMなの? それとも私が困っているから嬉しいSなの?
この対峙から逃げ出したい。が、壁ドンしておいてそれはどうなのと思う、テンプレ好きの私がいる。
よし、ここはそう、勢いをつけて――
チュッ
っと、ね。……ほっぺたに。
「……ミア」
「んー?」
これまた珍しく呆けた顔になっているレフィーに、私は素知らぬ顔で返事をした。
だって、どこにキスするとまでは指定されていませんし?
にっこりしながら、まだいつもの無表情に戻っていない彼を見る。
ふふふ。してやったり。
――なんて思ったのも束の間、
「今のようなキスも、これはこれでありですね」
「……」
そう来たか。そう来なさったか。レフィーのキスに傾ける情熱は、私が想像している以上に守備範囲が広かったらしい。
「うひゃっ」
そして覚えたなら試す主義のレフィー。狙われたのは、至近距離にあった二の腕だった。柔らかな内側をチュッとされた。想定外の攻撃に、壁をドンしていた私の腕が、いとも簡単にへにょっと曲がる。
それをいいことに、レフィーは私の後頭部をぐっと自身の方へと引き寄せた。それから彼は私の頬へも、きっちりとキスをした。
ぐんぐん昇って、カコンと止まる。
(わー……カルガディウムの街が一望できる……)
まさに高層ビルのエレベーター。その再現率たるや素晴らしい。しかし、何せシャフトもワイヤーもないので、どうしても『浮かぶ箱』感は拭えない。エレベーターネタより、前世で流行っていた『箱詰めシチュエーション』を彷彿とさせる。
「――ああ。この空間は、キスをするまで出られません」
とか考えていたら、レフィーが本当に『箱詰めシチュエーション』を絡めてきた。
しかも今、思いついた感じだった。随分と私の漫画に感化されて来ている様子。仕掛け人として喜ぶべきか、冗談の通じない相手に吹き込んでしまったと青褪めるべきか。
実際、こんな高度から私一人で脱出は無理なわけですし。まさに『キスしないと出られないエレベーター』に閉じ込められているわけですし。
「どうぞ」
ご丁寧に、レフィーがその場に座ってくれる。ちょっと考える素振りを見せてからそうした彼の頭の中で、私が慣れない靴で背伸びして転んだのかもしれない。そしてその予想図は、否定できない。
私はレフィーの目の前まで行って、膝をついた。
先程の玄関での構図と、お互いの位置が逆だ。折角なので、壁ドンもしてみた。前世から今世にかけて、人生初の壁ドンである。
(うっ……良い顔が近過ぎる……っ)
同じ構図になっても、身長差という違いがあるわけで。何故やる前に思い至らなかった、私。
迫っている私がドキドキバクバクしていて、迫られているレフィーがウキウキワクワクしているなんて。
いやほんと、何珍しく目に見えるレベルで微笑んでいるの。実は迫られるのが好きなMなの? それとも私が困っているから嬉しいSなの?
この対峙から逃げ出したい。が、壁ドンしておいてそれはどうなのと思う、テンプレ好きの私がいる。
よし、ここはそう、勢いをつけて――
チュッ
っと、ね。……ほっぺたに。
「……ミア」
「んー?」
これまた珍しく呆けた顔になっているレフィーに、私は素知らぬ顔で返事をした。
だって、どこにキスするとまでは指定されていませんし?
にっこりしながら、まだいつもの無表情に戻っていない彼を見る。
ふふふ。してやったり。
――なんて思ったのも束の間、
「今のようなキスも、これはこれでありですね」
「……」
そう来たか。そう来なさったか。レフィーのキスに傾ける情熱は、私が想像している以上に守備範囲が広かったらしい。
「うひゃっ」
そして覚えたなら試す主義のレフィー。狙われたのは、至近距離にあった二の腕だった。柔らかな内側をチュッとされた。想定外の攻撃に、壁をドンしていた私の腕が、いとも簡単にへにょっと曲がる。
それをいいことに、レフィーは私の後頭部をぐっと自身の方へと引き寄せた。それから彼は私の頬へも、きっちりとキスをした。
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