のろし

けろけろ

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この部屋が僕の世界ではない
部屋の外は拓けており
僕はその世界のことを想像することができる
そして そこでは世界は僕のものだ

花が開いていく
光の玉が 閉じ込めていた壁を剥がしていくように

世界は僕のもの
あらゆる場所 あらゆる自分を
好きに想像することができる
それはいのちの夢
そこには妨げなどない
あるがままの調和と調律

それはいのちの夢
世界とともに呼吸する
ヒトが自らを
人工物で壊した自然に縛りつける前からの
ありきたりな夢
月の見る夢
太陽も昴も あらゆる星々が沈んでいる
永遠の夢

空気 水 森 葉
土 虫 獣 鳥
海 魚
あらゆるところにあって
あらゆるところを充たす

僕らが紛い物だと信じ込まされて
夢と思わされている真実

本当は逆さま
夢が真実
僕らを縛る現実は偽りの
言葉や 車や お金や 家の形をした鎖 
バッグや 財布
服や 靴
コンピュータや 機械の姿をした
それらはみな 同じ意味をなす鎖

鉄道 電線 道路 空港
ビルに 鉄塔 マーケットにコンビニ
この街は鎖である
国境とは 人間であることとは 鎖である

とても馬鹿馬鹿しいものに思う
囚われるためにいのちを使い
捕らえるために生きようとすることは

世界はますます重苦しく
自らを縛り付けていくのだろう
そして潰される
いつになるかは分からないけど
必ずそうなることは分かっている
僕らがこの鎖を解こうと
立ち上がらない限り
いつかは人間みんなが潰される
自ら作り出した
この部屋や 社会の活動のすべてと
それぞれひとつひとつの
加速していく重さによって
必ず潰れる
それはもう すでに始まっているから
誰にだって分かるのだ

潰れていく
誰かのこころ 良心 希望
夢 いのち
潰れて その後は闇が広がる
輝かしいものは闇と闇の間に引き摺り込まれて
社会の上に空虚な闇が迫る
あともう少し あともう少し
闇は降り
その分の距離の光が闇に消える
完全に闇が降りれば そのとき人の世に
一切の光はなく
社会は空っぽな闇とひとつになる
あとは蘇生は不可能
誰もそれを思考できない
それは社会が何かの言いなりになる
人間が別の生き物に変わる時でもある
世界に本物の地獄が降りる

もう始まっていて
加速しているある事象への憂慮
人間のある宗教的 民族説話的な
敵対者への敗北への
僕らのまだ知らぬ数字での秒読み
世界が終わることへの耐え難い寂しさ

それでも僕は信じ だから
こうして綴る
ヒトへのちいさなちいさな希望を
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