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懸命
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冬の乾いた景色に
気の早いクリスマスのように佇む
柿の木
産業にならない柿の木がたくさん
鳥の餌場のようになっている
小学生のころに見た 柿の木には鳥避けのネットが掛かっていた
そこに幾つも鳥の死骸が絡み付いていて
僕はどうしてその全てが死ぬ前にここに来れなかったのか考えて
辛かった
光が去ったあとの闇を見ているようで
朝日を知らない子どものようで
辛かったと思う
世界は勝手だと ずっと知っていた
たとえば好意というもの
農家の掛けたネットは決して
悪意によるものではない
子どものころの僕はそれを知りつつ
それでもネットに絡み付いた死からは
狂気を感じた
好意が 僕の欲しい通りに現れる訳ではない
僕の好意が 他人に有り難られるとは限らない
それは 好意がたましいを経って
その人のあらゆる記憶の道筋の
あらゆる歓びや
あらゆる優しさを
透過して浮かびながら
同時に その道すがら
あらゆる痛み
あらゆる苦しみといった
ある動物を覆った炎の酷いに臭いを吸い取ったり
ある場所に張り詰めた氷の屈折率に歪んだり
こころの鎧の施行者が余計なものを加えたり
表出するまでに人生が行われ
その人生なりの好意に変化するからだ
それでも たましいの内にあった頃は
それは確かに澄み渡った好意で
僕はそれを信じている
目の前の腐敗したような
捻れて ぐちゃぐちゃに酷く醜い表現に感応してしまうのではなく
それのはじめはとても美しい好意であったのだと
たましいは中心ほど汚れの少ない
純粋であることを愛しみ 慈しむ
それが冒されていくこの社会を僕は憎む
たましいがたましいと感応できれば
この世に醜いもの 汚れたものなど
一切ない
溢れる惑いの言葉に騙されてはいけない
この世界を覆い尽くし
たましいを消失させんと語られる
人を支配して 道具として使おうとする
鉄の皮膚を持つ亡者の言葉に溺れてはいけない
僕は水面に浮かぶ蓮の葉
飛び立つ水鳥
天翔ける雲
大地鳴らす雨だ
想像しよう
ここより広い場所
温かい気持ち
尽きることのない歓びを
何が良いことで 悪いことなのかは
分からない
だけれど 箱の中で生きるより
広い世界を眺められれば気持ちいいだろう
そのことを知っているから藻掻きもする
抗い 戦える
訴えるし 語るのだ
僕は生きる
どんなことであれ 懸命であることこそ
ただ一つのいのちの使い方であると
僕は思うのだ
気の早いクリスマスのように佇む
柿の木
産業にならない柿の木がたくさん
鳥の餌場のようになっている
小学生のころに見た 柿の木には鳥避けのネットが掛かっていた
そこに幾つも鳥の死骸が絡み付いていて
僕はどうしてその全てが死ぬ前にここに来れなかったのか考えて
辛かった
光が去ったあとの闇を見ているようで
朝日を知らない子どものようで
辛かったと思う
世界は勝手だと ずっと知っていた
たとえば好意というもの
農家の掛けたネットは決して
悪意によるものではない
子どものころの僕はそれを知りつつ
それでもネットに絡み付いた死からは
狂気を感じた
好意が 僕の欲しい通りに現れる訳ではない
僕の好意が 他人に有り難られるとは限らない
それは 好意がたましいを経って
その人のあらゆる記憶の道筋の
あらゆる歓びや
あらゆる優しさを
透過して浮かびながら
同時に その道すがら
あらゆる痛み
あらゆる苦しみといった
ある動物を覆った炎の酷いに臭いを吸い取ったり
ある場所に張り詰めた氷の屈折率に歪んだり
こころの鎧の施行者が余計なものを加えたり
表出するまでに人生が行われ
その人生なりの好意に変化するからだ
それでも たましいの内にあった頃は
それは確かに澄み渡った好意で
僕はそれを信じている
目の前の腐敗したような
捻れて ぐちゃぐちゃに酷く醜い表現に感応してしまうのではなく
それのはじめはとても美しい好意であったのだと
たましいは中心ほど汚れの少ない
純粋であることを愛しみ 慈しむ
それが冒されていくこの社会を僕は憎む
たましいがたましいと感応できれば
この世に醜いもの 汚れたものなど
一切ない
溢れる惑いの言葉に騙されてはいけない
この世界を覆い尽くし
たましいを消失させんと語られる
人を支配して 道具として使おうとする
鉄の皮膚を持つ亡者の言葉に溺れてはいけない
僕は水面に浮かぶ蓮の葉
飛び立つ水鳥
天翔ける雲
大地鳴らす雨だ
想像しよう
ここより広い場所
温かい気持ち
尽きることのない歓びを
何が良いことで 悪いことなのかは
分からない
だけれど 箱の中で生きるより
広い世界を眺められれば気持ちいいだろう
そのことを知っているから藻掻きもする
抗い 戦える
訴えるし 語るのだ
僕は生きる
どんなことであれ 懸命であることこそ
ただ一つのいのちの使い方であると
僕は思うのだ
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