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異世界へ
1話 今日も世界は平和
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「ま、魔王様!無茶です!異世界から勇者を呼び出すなんて!」
「だが、こうするしか我等の野望を果たすことは出来ないのだ!」
場所は魔王城、召喚の間。
召喚の儀を行う為だけの広い部屋いっぱいに魔法陣が広がっている。
魔王は、その魔法陣に手を伸ばし、魔力を送り続けている。
魔界最強の名を持つ魔王を持ってしても、この儀式にはそうとうな魔力と精神力を消費するようで、魔王の額には玉の汗が浮かんでいる。
*同日同時刻 私達の住む世界にて*
「今日も世界は平和らしい。」
と呟く少年がいた。
少年の名は、苑田実琴。10歳の不登校児だ。
不登校の原因はいじめだ。少年の容姿は、日本人では有り得ないようなものだったから。銀髪、赤目の少年は、その作り物のように整った、それでいて日本人離れした容姿を不気味がられ、周りの子どもは少年を、いじめることでその不気味さを紛らわせることを選んだ。結果少年は学校に来なくなったのだ。
さて、少年の紹介をしている間に、物語が少し進んだようだ。
「は?」
少年は、思いの外冷静だった。
目の前のトラックが少年に向かって来ていたにも関わらず。
少年とトラックがぶつかり、鈍い音と共に少年の瞳の色の様な赤い血液が散乱する。
(あぁ、俺はここで死ぬのかな)
真っ赤な世界をぼんやりと見つめながら、死にゆく少年は考える。
(こんな俺でも、死んだら誰か悲しむかな)
少年が、二度と戻ることが無いであろう意識を手放そうとした時、少年の目の前が真っ白になった。
そして、伝説は動き出す。
突如、魔法陣が眩く光りだした。
「おお!ついに来たか!我が魔王軍の勇者が!」
「魔王様!やりましたね!」
魔法陣の光が収まると、そこには銀髪、赤目の少年がいた。
「ここ、何処だ?俺は死んだんじゃないのか?」
「よく来てくれた勇者よ!早速だが、我等魔王軍の危機を救ってほしいのだ」
「………ハイ?」
少年は興奮気味の魔王達からおおよその説明を受け、自らの身に起こった事を理解し、呟いた。
「訂正。今日の世界は平和じゃなかったようだ」
「だが、こうするしか我等の野望を果たすことは出来ないのだ!」
場所は魔王城、召喚の間。
召喚の儀を行う為だけの広い部屋いっぱいに魔法陣が広がっている。
魔王は、その魔法陣に手を伸ばし、魔力を送り続けている。
魔界最強の名を持つ魔王を持ってしても、この儀式にはそうとうな魔力と精神力を消費するようで、魔王の額には玉の汗が浮かんでいる。
*同日同時刻 私達の住む世界にて*
「今日も世界は平和らしい。」
と呟く少年がいた。
少年の名は、苑田実琴。10歳の不登校児だ。
不登校の原因はいじめだ。少年の容姿は、日本人では有り得ないようなものだったから。銀髪、赤目の少年は、その作り物のように整った、それでいて日本人離れした容姿を不気味がられ、周りの子どもは少年を、いじめることでその不気味さを紛らわせることを選んだ。結果少年は学校に来なくなったのだ。
さて、少年の紹介をしている間に、物語が少し進んだようだ。
「は?」
少年は、思いの外冷静だった。
目の前のトラックが少年に向かって来ていたにも関わらず。
少年とトラックがぶつかり、鈍い音と共に少年の瞳の色の様な赤い血液が散乱する。
(あぁ、俺はここで死ぬのかな)
真っ赤な世界をぼんやりと見つめながら、死にゆく少年は考える。
(こんな俺でも、死んだら誰か悲しむかな)
少年が、二度と戻ることが無いであろう意識を手放そうとした時、少年の目の前が真っ白になった。
そして、伝説は動き出す。
突如、魔法陣が眩く光りだした。
「おお!ついに来たか!我が魔王軍の勇者が!」
「魔王様!やりましたね!」
魔法陣の光が収まると、そこには銀髪、赤目の少年がいた。
「ここ、何処だ?俺は死んだんじゃないのか?」
「よく来てくれた勇者よ!早速だが、我等魔王軍の危機を救ってほしいのだ」
「………ハイ?」
少年は興奮気味の魔王達からおおよその説明を受け、自らの身に起こった事を理解し、呟いた。
「訂正。今日の世界は平和じゃなかったようだ」
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