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第4章 仲間達との絆

cys:66 王宮魔道士vsトゥーラ・レヴォルト

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「うらぁっ! 喰らいやがれ『ギガント・アックス』!!」

 ドゴォォォン!!

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」

 ジークの必殺技で、敵の軍勢が何十人も一気に吹き飛んだ。

「うっしゃ! どんなもだい!」

 ジークは戦斧ハルバードをガシャッと肩に乗せ、ニカッと笑った。

 今、ジーク達は戦っているのだ。
 スマート・ミレニアムに攻め込んできている敵国『トゥーラ・レヴォルト』と。

「くっ……なんて破壊力だ。たった一振りでこの威力とは!」

 敵が戦慄して声を漏らした時、彼らの周りに甘い薫りのする薔薇バラが漂ってきた。

「何だこれは? クリスタルで出来た薔薇の花びら?」

 彼らが不思議そうな顔を浮かべる中、レイは高い場所から彼らを見下ろし妖しい笑みを浮かべる。
 そして、スラっとした美しい両足を交差させて立ったまま、両手をスッと天に掲げた。

「フフッ♪ アナタ達が戦慄するのはここからよ。悪夢に断罪されなさい!『エファルディス・コーディネーション』!!」

 無数のクリスタルの青薔薇が舞い、敵兵達を覆い隠していく。

「あっ……あぁっ…………」

 レイの必殺技にかかった敵兵達は、悪夢の世界に堕とされその場に立ち尽くした。
 醒めない悪夢に涙を零し、精神こころを壊されたまま……

「フフッ♪ 醒めない悪夢に断罪されなさい」

 妖しげな笑みを浮かべたレイ。

 それを見たアンリは、ニヤッと笑う。

「さすが最華の王宮魔道士レイにゃ♪ 敵には回したくないのぉ」

 アンリは嬉しそうにそう呟くと魔導の杖を天に掲げ、敵兵達の上空に巨大な3つのピンク色の魔法陣を作り出した。
 その魔法陣が、ゆっくり点滅しながら回転を始める。

「それじゃー一気にいくかの♪ 光でキレイキレイにするニャ♪ 『ライトニング・キロシーーース』!!」

 すると、巨大な光の魔法陣から数多の光線が敵兵達にドドドドドッ!!! と、降注いだ。
 それはまるで、神の降臨の姿のようなまばゆい光。
 その光が多くの敵兵達を、声を上げる間もなく消し飛ばしていった。

「う~~~む。我ながら綺麗な光じゃの♪ いい感じだニャ♪」
「つ、強すぎる……だが!」

 敵はアンリ達に押されながらも、反撃を試みる。
 まずは、石に炎が着くように仕組まれている巨大な投石器を設置し、そこからスマート・ミレニアム軍に目がけて発射させた。

「おいおいノーティス、ありゃヤバくねーか?!」
「フッ。ジーク、問題ない」

 ノーティスがジークにそう告げた瞬間、黄色に黄金色が僅かに入った煌めきを纏ったメティアが、斜め前にサッと両腕をかざす。

「ボク達のスマート・ミレニアムは、破壊させないよ! 『パーメガス・クリスタルアミナーーー』!!」

 その瞬間、スマート・ミレニアム軍と城の周りが巨大なクリスタルの障壁で覆われ、飛んできた燃え盛る巨大な岩はその障壁に当たるとバラバラに砕け散った。

「ヒュウッ♪ やるじゃねぇかメティア! なぁノーティス」
「あぁ、メティアは特級ヒーラーだからな」

 ノーティスが嬉しそうに零すと、レイ達も凛とした瞳でメティアを遠くから見つめる。

「フフッ♪ 妬いちゃいそうなぐらい美しいわ」
「まるで守護天使のようなヤツにゃ♪」
「全く。初めての戦場とは思えないな」

 皆からその想いを受けたメティアは、初めての戦場にドキドキしながらも、心には温かいモノが込み上げてきた。

───みんな、ボクの方こそありがとう。ノーティス、ボク……命に変えてもキミとみんなの事を守るから!

 メティアが心の中で誓いを新たにしている中、トゥーラ・レヴォルト軍は歯をグッと食いしばり次なる反撃に出る。

「ティターンの名の下に! 囚われし巨大なる者を解放せよ! 神聖罰解『ギガント・マキア』!!」

 敵の魔道士は、その詠唱と共に巨大な巨人を召喚した。
 身の丈はゆうに30mは越える高さだ。

「グオーーーーーーーンッ!!」

 地の底から上げたような雄叫びを上げる巨人。
 それを目の前にした、ジークとノーティスの事を巨人の大きな影が黒く覆う。

「ノーティス、やっこさん俺よりちょっとデカいよな」
「まあ、かなりな」
「だなーーーーさて、どーすっかねー」

 ノーティス達がそう言って見上げていると、巨人がズドンズドンズドンと大きな足音を立てて、勢いよく迫ってきた。

「ヤバいぜ、ノーティス。やっこさん、結構お足も早いぜ」
「あぁ、そうみたいだな」

 冷静にそう答えながら、巨人を見上げているノーティス。
 すると、遙か後方からエメラルド色の矢が勢いよく飛来し、巨人の身体にズドンと突き刺さった。

 矢はその直後、大きな光を放ちドガァァァァァン!! と、大爆発を起こし巨人を爆炎で覆う。

「ロウだ!」

 ノーティスはそう声を上げ、身に纏う白輝の煌めきをより輝かせた。

 これは作戦の1つだからだ。
 万が一動きの素早い巨人が現れた時は、ロウが遠方から魔法弓で動きを止めるというモノ。

 その作戦通り巨人の動きを止めた時、ノーティスは巨人の体をササッと軽快に駆け上がり、巨人の頭上まで飛び上がった。

 そして巨人の頭上で剣を大きく振りかぶり、必殺技の体制に入る。
 より輝きを増していく白輝の煌めきと共に。

「お前達にスマート・ミレニアムは潰させない! 冥府へ還れ!『エクス・ギル・スラッシュ』!!」

 ノーティスは巨大な光の剣を振り下ろし、巨人を頭上から真っ二つに切り裂いた!

「グォォォォォォォッ!!!」

 ズジャャャャッ! という音と共に体を切り裂かれ、左右に倒れていく巨人の体。
 それを見たトゥーラ・レヴォルトの敵兵達は、まるでレイに悪夢を見せられたように立ち尽くしたままだ。

 その静まり返った軍勢に、総大将の声が響き渡る。

「退けーーーーーっ!!」

 その号令と共に撤退していくトゥーラ・レヴォルトの軍勢達を見て、ジークはノーティスに流し目を向けた。

「どーするノーティス? やっこさん達、このまま逃がしちまっていいのかい?」
「あぁ、無駄な戦いはしなくていい。それに、決めるのは俺じゃない」

 ノーティスがそう答えると、ロウが皆に高らかに宣言する。

「この戦、我らの勝ちだ! 勝利はクリスタルと共に!!」

 ロウの勝鬨かちどきが戦場に響き渡ると、ノーティス達もそれに続く。

「勝利はクリスタルと共に!!」

 ノーティス達も勝鬨かちどきを上げると、皆凛とした表情を浮かべ互いを見つめ合っていた。
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