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第8章 反逆の狼煙
cys:195 ルミ、涙の挨拶
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「お二人とも、そろそろいいかしら」
アネーシャが軽く溜息混じりで問いかけると、ノーティスとルミはヤバッ! と、いう顔をして、互いにバッと離れた。
そして、恥ずかしそうに顔を火照らせてる二人を、アネーシャは軽くニヒルな表情で見つめている。
「感動の再会が出来たようで何よりだわ。まぁ、私からしたら驚きの連続だけど。色々とね」
色々と。
その言葉に、ノーティスは思わずウッ! と、なってしまった。
いくら女心が、れ~点とはいえ、アネーシャが何を言いたいのか一瞬で分かってしまったから。
戦いとは、また別の意味での汗をかいてしまう。
───アネーシャ、俺は……
記憶を失くしていた時の自分と、それを取り戻した後の自分。
どちらの時もただ本気で生きてきたが故に、今の気持ちに整理がつかない。
───くっ、俺はどうしたら……
アネーシャは、そんなノーティスを見つめながら、軽く微笑んだ。
愛と切なさの交叉する瞳が、光に揺れる。
そして、アネーシャは敢えてルミの方を向き、復活の方の話題から切り出す。
「ねぇ、貴女ルミって言ったわよね」
「は、はいっ!」
火照りが残る顔で元気に答えたルミを、アネーシャは少し謎めいた顔で見つめた。
実際、ルミの復活を不思議に思っているのだ。
今までこんなのを目の当たりにした事は、一度もなかったから。
「貴女……」
ただ、どう尋ねたらいいのかと一瞬悩んだが、アネーシャはルミを見つめたまま言葉を続ける。
途轍もなく重要な事だから、回りくどく尋いても仕方ないと思ったからだ。
「どうやって復活したの?」
「そ、それは……」
ストレートな問いかけをされたルミは、一瞬言葉に詰まってしまった。
言った所で、信じてもらえるか分からないと思っているからだ。
ルミ自身、さっき自分に起こった事に、まだ頭の整理が追いついていない。
───何て言ったら分かってもらえるかな……
そんなルミの心情を察したアネーシャは、凛とした眼差しで見つめながらも少し表情を和らげた。
「出会ったばかりなのに、ぶしつけでごめんね。でも、凄く大事な事だからハッキリ聞いておきたいの」
「アネーシャさん……」
互いに見つめ合う、ルミとアネーシャ。
側でそれを見ているノーティスにも緊張が走る。
実は、ノーティスにはある程度察しはついているのだが、それを目の当たりにすると胸がざわめくのだ。
───恐らくルミは……
そんな中、ルミはアネーシャを強く見つめながら口を開く。
「私、さっき倒れてた時……女神様に会ったんです!」
「女神様に?!」
「はい。レティシアっていう女神様です」
「えっ、レティシア?! それって……」
アネーシャは驚きに目を丸くしノーティスの方を向いた。
けれど、ノーティスは敢えて静かにルミを見つめたまま動じない。
予想通りではあったし、ここでアネーシャと視線を合わせたら、ルミが話をしずらくなると思ったから。
なので、フラットな姿勢で静かに問いかける。
「ルミ、そのレティシアって女神様、ルミにどんな事を言ってきたんだ?」
ノーティスからそう問われたルミは、その時の事を振り返った。
精神世界での出来事だが、ハッキリと覚えている。
「女神様から『貴女はここで死んではいけない。貴女は三神器の触媒、クナーティアなのです』って、言われたんです。そしたら目が覚めて、ノーティス様達が戦っているのが分かって、何か不思議な力が沸いてきたから手を翳したらああなって……」
聡明なルミらしくない事実の羅列。
けれど、それが逆にこの話が真実である事を物語っていた。
ルミが自分の理解を越えた事を、ありのままに話してるのが伝わってくる。
ノーティスはそんなルミを優しく見つめた。
「ルミ、話してくれてありがとう。その女神様の言った事は本当だ」
「ノーティス様、今の話信じて下さるのですか?!」
「あぁ、もちろんだよ。ルミが嘘を言わないのは知ってるし、ティコ・バローズに隠されていた記憶とも符合するしさ」
「隠された記憶?」
ルミが不思議そうな顔を浮かべると、アネーシャが真剣な顔で問いかけてくる。
「ノーティス、それってあの記憶の続きなの?」
アネーシャもずっと気になっていたのだ。
あの古の祠の中で、ノーティスはどんな事を知ったのかを。
そんなルミとアネーシャから見つめられるノーティスは、凛とした瞳に光を宿した。
「そうさ、アネーシャ。今時間は無いから結論だけ言うけど、俺とアネーシャは神器の力を宿してるんだ」
「神器の力?」
「そう。五大悪魔王達が目覚めさせようとしてる存在に、対抗出来る力の事さ」
ノーティスは端的にそう告げると、ルミの肩をサッと両手で掴んだ。
「そしてルミ。キミが俺達の力の触媒、クナーティアとしての力を持つ存在なんだ!」
「わ、私がですか?!」
「そう、さっきの光と復活が何よりの証さ」
「と、突然そんな事言われても……」
ルミは顔を軽く火照らせながら、戸惑いの表情を浮かべている。
ノーティスから見つめられているのもあるが、突然背負ってしまった余りにも大きな責任に、どうしていいかが分からない。
「ルミ……」
ノーティスはそんなルミの気持ちを察し、優しく見つめた。
女心については相変わらず、れ~点のままだが、人としての気持ちは分かるから。
「今までと何も変わりはしない」
「えっ?」
どういう意味か分からず不思議そうな顔で見上げたルミに、ノーティスはニコッと笑った。
「だって、今までもずっと支えてきてくれたろ。それが、ちょっと力が強くなっただけさ」
「そ、それは……」
あまりにサラッと言われ戸惑うルミに、ノーティスはその雰囲気のまま軽く首をかしげた。
「違ったっけ?」
「違……わないんですかね」
「あぁ、違わないよ。一緒一緒♪」
「そう……ですか」
「うんうん♪ 理解してもらえてよかった」
「はい……」
ルミは何か上手く言いくるめられた感じがして、ちょっと斜め上を向いて軽く唸っている。
そんな二人を見たアネーシャは、込み上げてくる笑いが抑えられない。
凄く重大でシリアスな話なのに、二人が話しているとまるでそんな風に感じなくなってしまうから。
「アーッハッハッハッ! 面白いわね♪ 貴方達」
「アネーシャ……」
「あーーホント面白い。貴方達って、いつもこんな感じなわけ?」
アネーシャが笑いながら尋ねてくると、ノーティスはちょっと気まずそうに斜め上を見ながら、片手で頭を掻いた。
「まぁ、そうかもな……」
「フフッ、そうなんだ」
そう言ってアネーシャが微笑むと、ルミがノーティスに向かいグイッと身を乗り出した。
ちょっと心外だという顔を浮かべて。
「そんな事ありませんよ! 私はいつも、もっとちゃんとしてます!」
「そっか?」
「そーですよ。何と言っても私は……」
そこまで言いかけて、急に言葉を詰まらせたルミ。
今から言おうとしてる言葉が、ノーティスとの再会を心の底から実感させ、嬉しい想いが涙と共にグッと込み上げてくるから。
そんなルミの様子を不思議そうな顔で見つめるアネーシャの側で、ノーティスは何も言わず優しく見つめている。
それが、ルミの涙をより溢れさせてゆく。
「うぐっ……私は……私は……ノーティス様の執事ですから!」
ずっと本人に言いたかった言葉。
それをルミが涙を零しながら絞り出すと、ノーティスはニコッと微笑みながら涙を滲ませた。
「ただいま、ルミ」
「お帰りなさい……! ノーティス様っ♪」
アネーシャが軽く溜息混じりで問いかけると、ノーティスとルミはヤバッ! と、いう顔をして、互いにバッと離れた。
そして、恥ずかしそうに顔を火照らせてる二人を、アネーシャは軽くニヒルな表情で見つめている。
「感動の再会が出来たようで何よりだわ。まぁ、私からしたら驚きの連続だけど。色々とね」
色々と。
その言葉に、ノーティスは思わずウッ! と、なってしまった。
いくら女心が、れ~点とはいえ、アネーシャが何を言いたいのか一瞬で分かってしまったから。
戦いとは、また別の意味での汗をかいてしまう。
───アネーシャ、俺は……
記憶を失くしていた時の自分と、それを取り戻した後の自分。
どちらの時もただ本気で生きてきたが故に、今の気持ちに整理がつかない。
───くっ、俺はどうしたら……
アネーシャは、そんなノーティスを見つめながら、軽く微笑んだ。
愛と切なさの交叉する瞳が、光に揺れる。
そして、アネーシャは敢えてルミの方を向き、復活の方の話題から切り出す。
「ねぇ、貴女ルミって言ったわよね」
「は、はいっ!」
火照りが残る顔で元気に答えたルミを、アネーシャは少し謎めいた顔で見つめた。
実際、ルミの復活を不思議に思っているのだ。
今までこんなのを目の当たりにした事は、一度もなかったから。
「貴女……」
ただ、どう尋ねたらいいのかと一瞬悩んだが、アネーシャはルミを見つめたまま言葉を続ける。
途轍もなく重要な事だから、回りくどく尋いても仕方ないと思ったからだ。
「どうやって復活したの?」
「そ、それは……」
ストレートな問いかけをされたルミは、一瞬言葉に詰まってしまった。
言った所で、信じてもらえるか分からないと思っているからだ。
ルミ自身、さっき自分に起こった事に、まだ頭の整理が追いついていない。
───何て言ったら分かってもらえるかな……
そんなルミの心情を察したアネーシャは、凛とした眼差しで見つめながらも少し表情を和らげた。
「出会ったばかりなのに、ぶしつけでごめんね。でも、凄く大事な事だからハッキリ聞いておきたいの」
「アネーシャさん……」
互いに見つめ合う、ルミとアネーシャ。
側でそれを見ているノーティスにも緊張が走る。
実は、ノーティスにはある程度察しはついているのだが、それを目の当たりにすると胸がざわめくのだ。
───恐らくルミは……
そんな中、ルミはアネーシャを強く見つめながら口を開く。
「私、さっき倒れてた時……女神様に会ったんです!」
「女神様に?!」
「はい。レティシアっていう女神様です」
「えっ、レティシア?! それって……」
アネーシャは驚きに目を丸くしノーティスの方を向いた。
けれど、ノーティスは敢えて静かにルミを見つめたまま動じない。
予想通りではあったし、ここでアネーシャと視線を合わせたら、ルミが話をしずらくなると思ったから。
なので、フラットな姿勢で静かに問いかける。
「ルミ、そのレティシアって女神様、ルミにどんな事を言ってきたんだ?」
ノーティスからそう問われたルミは、その時の事を振り返った。
精神世界での出来事だが、ハッキリと覚えている。
「女神様から『貴女はここで死んではいけない。貴女は三神器の触媒、クナーティアなのです』って、言われたんです。そしたら目が覚めて、ノーティス様達が戦っているのが分かって、何か不思議な力が沸いてきたから手を翳したらああなって……」
聡明なルミらしくない事実の羅列。
けれど、それが逆にこの話が真実である事を物語っていた。
ルミが自分の理解を越えた事を、ありのままに話してるのが伝わってくる。
ノーティスはそんなルミを優しく見つめた。
「ルミ、話してくれてありがとう。その女神様の言った事は本当だ」
「ノーティス様、今の話信じて下さるのですか?!」
「あぁ、もちろんだよ。ルミが嘘を言わないのは知ってるし、ティコ・バローズに隠されていた記憶とも符合するしさ」
「隠された記憶?」
ルミが不思議そうな顔を浮かべると、アネーシャが真剣な顔で問いかけてくる。
「ノーティス、それってあの記憶の続きなの?」
アネーシャもずっと気になっていたのだ。
あの古の祠の中で、ノーティスはどんな事を知ったのかを。
そんなルミとアネーシャから見つめられるノーティスは、凛とした瞳に光を宿した。
「そうさ、アネーシャ。今時間は無いから結論だけ言うけど、俺とアネーシャは神器の力を宿してるんだ」
「神器の力?」
「そう。五大悪魔王達が目覚めさせようとしてる存在に、対抗出来る力の事さ」
ノーティスは端的にそう告げると、ルミの肩をサッと両手で掴んだ。
「そしてルミ。キミが俺達の力の触媒、クナーティアとしての力を持つ存在なんだ!」
「わ、私がですか?!」
「そう、さっきの光と復活が何よりの証さ」
「と、突然そんな事言われても……」
ルミは顔を軽く火照らせながら、戸惑いの表情を浮かべている。
ノーティスから見つめられているのもあるが、突然背負ってしまった余りにも大きな責任に、どうしていいかが分からない。
「ルミ……」
ノーティスはそんなルミの気持ちを察し、優しく見つめた。
女心については相変わらず、れ~点のままだが、人としての気持ちは分かるから。
「今までと何も変わりはしない」
「えっ?」
どういう意味か分からず不思議そうな顔で見上げたルミに、ノーティスはニコッと笑った。
「だって、今までもずっと支えてきてくれたろ。それが、ちょっと力が強くなっただけさ」
「そ、それは……」
あまりにサラッと言われ戸惑うルミに、ノーティスはその雰囲気のまま軽く首をかしげた。
「違ったっけ?」
「違……わないんですかね」
「あぁ、違わないよ。一緒一緒♪」
「そう……ですか」
「うんうん♪ 理解してもらえてよかった」
「はい……」
ルミは何か上手く言いくるめられた感じがして、ちょっと斜め上を向いて軽く唸っている。
そんな二人を見たアネーシャは、込み上げてくる笑いが抑えられない。
凄く重大でシリアスな話なのに、二人が話しているとまるでそんな風に感じなくなってしまうから。
「アーッハッハッハッ! 面白いわね♪ 貴方達」
「アネーシャ……」
「あーーホント面白い。貴方達って、いつもこんな感じなわけ?」
アネーシャが笑いながら尋ねてくると、ノーティスはちょっと気まずそうに斜め上を見ながら、片手で頭を掻いた。
「まぁ、そうかもな……」
「フフッ、そうなんだ」
そう言ってアネーシャが微笑むと、ルミがノーティスに向かいグイッと身を乗り出した。
ちょっと心外だという顔を浮かべて。
「そんな事ありませんよ! 私はいつも、もっとちゃんとしてます!」
「そっか?」
「そーですよ。何と言っても私は……」
そこまで言いかけて、急に言葉を詰まらせたルミ。
今から言おうとしてる言葉が、ノーティスとの再会を心の底から実感させ、嬉しい想いが涙と共にグッと込み上げてくるから。
そんなルミの様子を不思議そうな顔で見つめるアネーシャの側で、ノーティスは何も言わず優しく見つめている。
それが、ルミの涙をより溢れさせてゆく。
「うぐっ……私は……私は……ノーティス様の執事ですから!」
ずっと本人に言いたかった言葉。
それをルミが涙を零しながら絞り出すと、ノーティスはニコッと微笑みながら涙を滲ませた。
「ただいま、ルミ」
「お帰りなさい……! ノーティス様っ♪」
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