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「た、ただいま……」
「ふぃ~」
「やっと帰ってきたか。ずいぶんと遅かったな――っ、その腕の傷はどうした!」
なぜなら、リューイの腕に酷い傷がついていたからだ。
しかも服は泥だらけで、よく見ると腕以外にも細かい傷がいくつかついている。
そんなリューイにフィーは心配そうにリューイの周りを飛び回って鳴き声をあげ、ディーオは不機嫌そうに顔をしかめた。
「いや、熟した実を採ろうとしたら落ちちゃって」
「……見せてみろ」
ふたりの反応に気まずげに笑ってそう言うリューイに、ディーオはますます不機嫌そうな顔になる。
それにまずいと思ったリューイは大丈夫だと断ろうとするが──
「いいから見せろ」
「っ……はい」
ディーオは有無を言わせない声でそういい、リューイをギロリと睨んだ。
それに顔を引きつらせたリューイは、すぐに返事をして大人しくディーオに腕を見せる。
その腕には、風が傷の血を止めるように渦巻いていた。
そのままではさすがになにもできず、ディーオはリューイに一言いって風を止めてその腕の傷をじっくりと見る。
「――けっこう深いな、痛いだろう」
「ち、ちょっと」
しかし、ちょっとと言う割にその顔はきつそうに歪んでいた。
その表情から、明らかにリューイが強がっているとわかる。
「強がるな」
「ぅ……かなり痛いです」
「だろうな」
それだけ酷い怪我なのだ。
平気なほうがおかしいだろう。
ディーオは小さく息を吐いたあと、気を取り直してリューイに指示を出す。
「リューイ、腕を顔の前まで持って来い」
「え?」
「いいから」
「もう、わかったったよ」
早くしろ、とでもいうように強い視線を向けてくるディーオにリューイは渋々といったように近づいて、言われたとおりに腕をディーオの顔の前に差し出した。
けれど次の瞬間、思いもよらない出来事が起こる。
「それでいい……んっ」
「ちょっ、ディーオ! なにす――っ」
ディーオが差し出した腕の傷を舐めたのだ。
驚きや羞恥が強すぎて痛みを感じなかったのが幸いだったのか、真っ赤になって固まったままのリューイに舐めやすくなったなと思い、ふたたび傷口を舐めながらその合間にディーオはこの行為の説明をする。
「古代竜の体液には治癒能力がある。痛いだろうか我慢しろ」
「そ、そんなこと言われてもなめ──」
「逃げるな」
「逃げるなって言われても……っ、尻尾!?」
そのせいかリューイは正気に戻りすぐに逃げようとするが、ディーオにとってその抵抗を防ぐのは赤子の手をひねるよりも簡単で、逃げようとしたリューイの身体にディーオは尾を巻きつけて自分のもとへ引きよせた。
「逃げるからだ。大人しく舐められろ」
「そんな! っ……く、ぅ……」
それでも羞恥からなんとか逃げようと、ディーオの口から腕を離そうとするけれどびくともしない。
そうこうしているあいだも、傷口にはディーオの分厚い舌が這わせられる。
その舌は傷を治すための涎でぬるつき、痛みを与えないようにそろりそろりと傷口に這わせられ、リューイにピリピリとした痛みとくすぐったいような少し落ちつかない気持ちよさを与えた。
「は、ぁ……っ、んぅ……っ」
その気持ちよさがいけない部類のものだと感じたリューイは、いっそ痛くてもいいからもっと適当に舐めてくれればいいのに、と恥ずかしさに涙をにじませる。
リューイがそんなことを思っているとはつゆほどにも気づいてないディーオは、ぬちゅっ、くちゅっと音をさせつつやさしく傷口を舐め続ける。
その音にさらに羞恥心を煽られながら、リューイは舐められるたびその感触に身体を小さく震わせた。
「――終わったぞ」
「ふぃ~」
「やっと帰ってきたか。ずいぶんと遅かったな――っ、その腕の傷はどうした!」
なぜなら、リューイの腕に酷い傷がついていたからだ。
しかも服は泥だらけで、よく見ると腕以外にも細かい傷がいくつかついている。
そんなリューイにフィーは心配そうにリューイの周りを飛び回って鳴き声をあげ、ディーオは不機嫌そうに顔をしかめた。
「いや、熟した実を採ろうとしたら落ちちゃって」
「……見せてみろ」
ふたりの反応に気まずげに笑ってそう言うリューイに、ディーオはますます不機嫌そうな顔になる。
それにまずいと思ったリューイは大丈夫だと断ろうとするが──
「いいから見せろ」
「っ……はい」
ディーオは有無を言わせない声でそういい、リューイをギロリと睨んだ。
それに顔を引きつらせたリューイは、すぐに返事をして大人しくディーオに腕を見せる。
その腕には、風が傷の血を止めるように渦巻いていた。
そのままではさすがになにもできず、ディーオはリューイに一言いって風を止めてその腕の傷をじっくりと見る。
「――けっこう深いな、痛いだろう」
「ち、ちょっと」
しかし、ちょっとと言う割にその顔はきつそうに歪んでいた。
その表情から、明らかにリューイが強がっているとわかる。
「強がるな」
「ぅ……かなり痛いです」
「だろうな」
それだけ酷い怪我なのだ。
平気なほうがおかしいだろう。
ディーオは小さく息を吐いたあと、気を取り直してリューイに指示を出す。
「リューイ、腕を顔の前まで持って来い」
「え?」
「いいから」
「もう、わかったったよ」
早くしろ、とでもいうように強い視線を向けてくるディーオにリューイは渋々といったように近づいて、言われたとおりに腕をディーオの顔の前に差し出した。
けれど次の瞬間、思いもよらない出来事が起こる。
「それでいい……んっ」
「ちょっ、ディーオ! なにす――っ」
ディーオが差し出した腕の傷を舐めたのだ。
驚きや羞恥が強すぎて痛みを感じなかったのが幸いだったのか、真っ赤になって固まったままのリューイに舐めやすくなったなと思い、ふたたび傷口を舐めながらその合間にディーオはこの行為の説明をする。
「古代竜の体液には治癒能力がある。痛いだろうか我慢しろ」
「そ、そんなこと言われてもなめ──」
「逃げるな」
「逃げるなって言われても……っ、尻尾!?」
そのせいかリューイは正気に戻りすぐに逃げようとするが、ディーオにとってその抵抗を防ぐのは赤子の手をひねるよりも簡単で、逃げようとしたリューイの身体にディーオは尾を巻きつけて自分のもとへ引きよせた。
「逃げるからだ。大人しく舐められろ」
「そんな! っ……く、ぅ……」
それでも羞恥からなんとか逃げようと、ディーオの口から腕を離そうとするけれどびくともしない。
そうこうしているあいだも、傷口にはディーオの分厚い舌が這わせられる。
その舌は傷を治すための涎でぬるつき、痛みを与えないようにそろりそろりと傷口に這わせられ、リューイにピリピリとした痛みとくすぐったいような少し落ちつかない気持ちよさを与えた。
「は、ぁ……っ、んぅ……っ」
その気持ちよさがいけない部類のものだと感じたリューイは、いっそ痛くてもいいからもっと適当に舐めてくれればいいのに、と恥ずかしさに涙をにじませる。
リューイがそんなことを思っているとはつゆほどにも気づいてないディーオは、ぬちゅっ、くちゅっと音をさせつつやさしく傷口を舐め続ける。
その音にさらに羞恥心を煽られながら、リューイは舐められるたびその感触に身体を小さく震わせた。
「――終わったぞ」
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