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山と花火と恋模様!
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しおりを挟むさっきから打ちあげられてる花火はおわりに近づいてきたのか、つぎつぎと夜空でキレイな大輪の花を咲かせてる。
この感動を分けあいたくて隣にいる会長に視線を向けたら、会長はなぜか目を閉じてた。
「あれ? 会長、花火見ないんですか?」
「揚羽…」
どうしたんだろ?
見あげてて、首でも疲れたのかな?
「いや、ちょっとな。なんでもないから気にするな」
「そう、ですか?…あ、会長。花火もうちょっとでおわりそうですよ!」
「そうだな…綺麗だ」
「はい、キレイです…」
重なるようにいくつも上げられた花火はキレイに咲きほこってまわりを明るく照らしてる。
そのおかげで花火を見あげる会長の顔がはっきり見えて、すこし眩しそうにしているその表情が可愛く思えて小さく笑うと、会長がチラッとコッチを見てきた。
「なんだ?」
「なんでもありませーん♪」
「なんでもないって、気になるだ──」
──ドン…ッ!!──
それをはぐらかして会長が食いついてきたそのとき、ひときわ大きな花火が打ちあがって、その形をほろほろと崩してく。
「今ので最後、ですね」
「あぁ…」
夜空を見あげて余韻に浸るけど、同時に楽しい時間もおわりなんだって寂しくなる。
会長も同じ気持ちなのか、夜空を見あげたまま動くそぶりを見せない。
それが嬉しくて、もうちょっとだけこのままで…なんて思ってたんだけど──
「よーし、つぎは花火をやるぞー! みんな集まれー!」
ドコから出してきたのか、光先輩率いる風紀の何人かが大量の花火を運んできた。
「光のやつ、いつの間に花火なんて…」
「会長、知らなかったんですか?」
「あぁ、予定を組んだときにはなにも言ってなかった。…あいつ、やってくれたな」
言葉のわりに、そう言う会長の顔には楽しそうな笑みが浮かんでる。
きっと俺も同じような顔をしてるんだろうな。
「会長、行きましょう!」
「っ…あぁ」
俺はいても立ってもいられなくて、会長の手を引っぱって花火を配る光先輩のトコへ走りだした。
後ろを振りかえれば、しょうがないなとでもいうようにやさしく笑う会長と目が合って、照れまじりの笑顔を向ける。
「今度は花火するの、一緒にたのしみましょうね!」
もうすこし、この楽しい時間を味わっていたいから…
最後までつきあってよね、会長♪
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