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第1章

その時、確かに視線があった。(レオルドさん視点)

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俺はリオ嬢にダリオス団長と話したことを伝えるためリオ嬢を探していた。

「あっ!レオルドさんっ!」

「リオ嬢!・・・と、サジャールか。二人で何を?」

食堂に行けば何故かサジャールとリオ嬢が向かい合うように座っていた。

いつの間に仲良くなったんだ?

と疑問に思いつつ、二人に近づいていく。

「おぉ!レオルドっ!いい所に来たな!丁度、リオ嬢?とお前の話をしてたんだよ。」

「えっ。」

俺の・・・話??

なんの、話をしてたんだ?

俺はリオ嬢を見る。

しかし、何故かリオ嬢も驚いた顔をしていた。

俺はこれはサジャールがまた余計な事をしようとしてるのだと察したが、リオ嬢がなんて言うのか気になってじっとリオを見た。

「なっ?」

サジャールがリオ嬢に同意を求めるようにそう言った。

「いえ、えっと、サ、サジャールさんからレオルドさんの良い話を聞いてたんですっ!・・・ねっ?」

一体、いい話とは何なのか。俺はリオ嬢の下手な嘘にバレないように少しだけ笑った。

「サジャールさん?」

「いや、すみません。あまりにも、予想外すぎて・・・。」

「サジャール、どういう事だ?」

はぁ。やっぱり、わざと言ったのか・・・。

俺は何を考えているのか分からないサジャールに説明しろと声に不機嫌さを混じえて問いかける。

「いや、ただ、噂の美女が、ラナちゃんとレオルドの事を話していたから、何の話か聞きたかっただけなんだけど、まさか、押し付けられるなんてっ、あははっ!」

サジャールはそう言って面白そうに笑うが、今の俺は笑っている場合じゃなかった。

は?・・・リオ嬢がラナちゃんと俺の話を?

せっかく、リオ嬢が俺の話をしていたのがサジャールの嘘だと分かった所にまさかの、本当にしていたというサジャールの言葉に俺の心臓は嫌な音を立てる。

と、その時、小さな体で大きめのトレイに乗ったグラタンとお水を持ってきたラナちゃんがニコニコしながらやってきた。

「あれ?何だか、皆さん楽しそうですね。はい、サジャールさん、どうぞ。」

「ありがとう、ラナちゃん。」

「いえ、別に。・・・ところでなんの話をしてたんですか?」

「んー。ラナちゃんが俺がここに来る前、リオ嬢となんの話をしていたのかなーって、思って。」

サジャールが俺も気になっていたところを直球で聞いた。

・・・これは俺が聞いても良いのだろうか。

とそう思いながらも、気になって耳を傾ける。

すると、ラナちゃんは嬉しそうに、自分が作った料理を食べてもらったと言って笑った。

何を言われるか緊張していた俺は少しだけ肩の力を抜いた。

その後はサジャールが今度食べてみたい。と、俺が言ったなら悲鳴があげられそうなセリフを吐いた。

こういうところが、こいつのモテるポイントなのかもしれないな・・・。と思いながらも真似は出来ないなと参考には絶対にしないように心に決める。

意中の相手以外に今度、俺のために料理作ってよ。なんて言われても迷惑以外のなんでもないだろう。

と、少し死んだような目でラナちゃんとサジャールの会話を聞いていると、サジャールがつっこむ。

「・・・後、レオルドの話もしてなかった?」

そのサジャールの言葉にラナちゃんはハッとしてリオに近づいてなにやら耳打ちをし始めた。

その様子にどうやら俺の話をしていたのは本当だったのだと、何の話をしていたのだろうと俺の心に不安が広がる。

しばらくしてラナちゃんがリオ嬢から離れたので、サジャールがワクワクした様子でラナちゃんに聞いたが、ラナちゃんは教えるつもりがないのか内緒です!と言いニコリと笑った。

「レオルドさん、となり、座って下さい。」

「え?」

「あっ!すみません!レオルドさんのもすぐに持って来ますねっ!」

リオ嬢の言葉でようやくこの場に俺が居ることに気づいたのかラナちゃんは謝りながら、厨房へ向かった。

俺はリオ嬢に言われた通りリオ嬢の隣に座った。

だが、隣にいるリオ嬢がもしかしたら、女神かも知れない、と思うと俺が近くにいても良いのかと不安になる。

「レオルドさん、あの、ダリオス団長は何と?」

「えっ、あぁ、その事なら、明日、直接話がしたいと、言っていました。」

「そうですか。・・・あの、レオルドさん。」

「はい・・・」

「何かありましたか?」

「いえ、何も・・・」

この時、俺は緊張と不安でリオ嬢の顔が見れなかった。

はぁ。こんなんじゃ、リオ嬢に嫌われるよな・・・。

俺は自分がリオ嬢に対して失礼な態度をとっている事も
、自分勝手な想いを抱いていることも知っていたが、やっぱり、リオ嬢の顔は見れなかった。

と、その時、サジャールさんが吹きだし、笑いながら言った。

「プッ!アハハッ!お前、フッ、いや、ククッ、レオルドもリオ嬢も、なんで二人して同じような顔してるんだよっ、ハハッ、」

「「え?」」

サジャールの言葉に俺達は、お互いが見つめ合うように首を動かした。

そして俺達の視線はあった。

そう、視線が・・・。
リオ嬢の黒い瞳に俺の瞳が映し出される。

距離が近かったからだろう。

いつもは隠秘の魔法で一定の距離からは影がかかったように見えるして、絶対に見えないように徹底していたが、それもこれだけ距離が近ければ意味をなさない。

「っ、!?」

(見られたっ!?)

俺ははすかさず、フードを引っ張ったが、リオ嬢がその手を掴んで、止めた。

今までにないほど、バクバクと心臓が嫌な音を立てる。

「レオルドさん、間違えだったら、ごめんなさい。昨日、井戸で、会ったのって、レオルドさん、ですか?」

リオ嬢は、俺の醜い青い瞳を見ながら、確かにそう言った。

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