レオちゃん

８話 らいおん屋

１．
村にさしかかった、三匹。

ぴー、ひゃらら。
笛の音がきこえてきます。

「おお、秋の祭りをやっているようじゃのう。」

村人をつかまえて尋ねる、そとねこ。
「おい、お前。
　ここの祭りは、ずいぶんと盛大じゃのう。」

「ずいぶん、おうへいな猫じゃな。
　ここのお宮は、古いから、
　近くの村が、みんな集まってくるんだよ。」

「ほう、それは都合がよい。
　おまえ、ムシロを貸してくれんか。
　お礼はするぞ」

「いいけど、なんに使うんだい？」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

２．
「さあさ、寄ってらっしゃい、らいおん屋だよ。
　らいおんの尻っぽを、握れるよ。
　一握り、たった３文だ。
　獅子の尻尾を握れば、無病息災。
　子ども達も、丈夫に育つよ。」

「おい、獅子だぜ。はじめて見たよ。」
「まあ、珍しいわね。
　でも、ずいぶんと、ちいさな獅子だわ」
「まだ、子どもなんじゃろう。」

レオの周りは、黒山の人だかりになりました。

「わたしの尻っぽって、
　そんな、ご利益があったのね。
　知らなかったわ。」

「おお、わしも、さっき気づいたのじゃ。
　ありがたい事じゃ、ありがたい事じゃ。」
ずいぶんと虫のいい、そとねこ。

このとき、天罰が近づいていることに、
そとねこは、まだ気づいていませんでした。