49 / 67
王都での出会い
謁見の間
しおりを挟む
ガタガタと揺れる馬車の中、物珍しそうにあちこちを見ているとヘンリーが、申し訳なさそうにフローレンスへ話しかけてきた。
「もう、フローレンスは11歳になったんだね。・・・こんな事がなければお祝いをしたのだが・・・」
そう、この1ヶ月の間にフローレンスは誕生日を迎え11歳となっていた。母が倒れてからは、プレゼントだけが届くだけになり祝う事は無くなっていたため、今年も無意識にそうなのだとフローレンスは思っていた。
そこへ父の言葉に少し動揺してしまった。
「い、いえ、いいのです。お誕生日はお母様とケーキを食べられたので、それだけでいいのです。今年はお母様とはもう、過ごせないのではないかと、諦めかけていたので・・・お母様が元気になられたことが何よりの誕生日プレゼントでしたわ!」
「・・・そうか。だが、わたしからは、まだプレゼントを渡していなかったな。ちゃんと用意はしているんだが、その、フローレンスの趣味に合うか・・・これなんだが・・・」
ポケットからそっと取り出したのは小さな箱だった。
フローレンスが受け取り蓋を開くとそこには赤いルビーが煌めくブレスレットだった。
「これは・・・」
「フローレンス。これは魔石だよ。この魔石には守りの魔法が込められている。わたしが付いていてあげられない時はこのブレスレットが守ってくれる。だから、いつも着けていて欲しい。あまり頼りない父だが、これくらいはさせてくれ。」
「お父様・・・ありがとうございます。」
初めての父からの誕生日プレゼント。
今までは一度も父から祝ってもらった事がなかったフローレンスは、戸惑いながらも嬉しそうに左腕に着けた。
その瞳にはうっすら涙が滲んでいた。
そんなやり取りをしている内に王城が見えてきた。
王城に着くとそこは、某テーマパークにある有名なお城のような建物が荘厳に立っていた。
門からお城までの道が遠いため、馬車での移動な事にも驚いたヒナだった。
(こんなとこ、手入れが大変そう・・・草刈り機なんて無さそうだものね。はぁ~!お城の人って凄い!)
そんな感想を抱きながら、ただただフローレンスの肩に乗ったまま進んでいく。
城の前に着くと馬車が止まる。扉が開いたところに案内役であろう文官の姿があった。
「お待ちしておりました。ノースポール公爵様。裏口からで申し訳ありません。」
「いや、構わない。その方がこちらとしても有難い。では、案内をお願いする。」
「かしこまりました。」
その文官は頭を下げ、「では、こちらです。」と、促してくれた。
そのうちに一際大きく、荘厳な扉の前に着いた。ここが謁見の間なのだろう。
扉の両脇には騎士が槍を手に控えている。その騎士に文官が何か声をかけると一礼をして、扉の方を向き、ノックし中に声をかける。
少しの間が空くと、中から声が聞こえると騎士がこちらを向き扉を開いてくれた。
「どうぞ、お通りください。」
その声にヘンリーは、頷くとフローレンスと並んで中へと入った。
目の前には何段が上になった壇上に玉座があり、1人の男性が座っていた。
この人こそ、クレセン王国の陛下だった。
(おお~、王様だ!なんか、映画の中みたいだなぁ。あはっ!って、・・・・・・あ・・れ、?)
なんだか映画の中っぽいと、感動していたヒナタだったが、陛下の横に視線をずらしたところである人が目についた。
見間違いかと何度か目をぱちぱちさせたが、いる。
(え?どういう事??なんで・・・なんであの人がここにいるの?!え?え?見間違いじゃないよね??なんでいるの~~!??・・・ライ!!)
陛下の横に控えていたのは、街で出会ったライだった。
髪色こそ違って夜空のような黒だったが、あの紫に耀く瞳に目元の黒子があれはライだと確信できた。
「もう、フローレンスは11歳になったんだね。・・・こんな事がなければお祝いをしたのだが・・・」
そう、この1ヶ月の間にフローレンスは誕生日を迎え11歳となっていた。母が倒れてからは、プレゼントだけが届くだけになり祝う事は無くなっていたため、今年も無意識にそうなのだとフローレンスは思っていた。
そこへ父の言葉に少し動揺してしまった。
「い、いえ、いいのです。お誕生日はお母様とケーキを食べられたので、それだけでいいのです。今年はお母様とはもう、過ごせないのではないかと、諦めかけていたので・・・お母様が元気になられたことが何よりの誕生日プレゼントでしたわ!」
「・・・そうか。だが、わたしからは、まだプレゼントを渡していなかったな。ちゃんと用意はしているんだが、その、フローレンスの趣味に合うか・・・これなんだが・・・」
ポケットからそっと取り出したのは小さな箱だった。
フローレンスが受け取り蓋を開くとそこには赤いルビーが煌めくブレスレットだった。
「これは・・・」
「フローレンス。これは魔石だよ。この魔石には守りの魔法が込められている。わたしが付いていてあげられない時はこのブレスレットが守ってくれる。だから、いつも着けていて欲しい。あまり頼りない父だが、これくらいはさせてくれ。」
「お父様・・・ありがとうございます。」
初めての父からの誕生日プレゼント。
今までは一度も父から祝ってもらった事がなかったフローレンスは、戸惑いながらも嬉しそうに左腕に着けた。
その瞳にはうっすら涙が滲んでいた。
そんなやり取りをしている内に王城が見えてきた。
王城に着くとそこは、某テーマパークにある有名なお城のような建物が荘厳に立っていた。
門からお城までの道が遠いため、馬車での移動な事にも驚いたヒナだった。
(こんなとこ、手入れが大変そう・・・草刈り機なんて無さそうだものね。はぁ~!お城の人って凄い!)
そんな感想を抱きながら、ただただフローレンスの肩に乗ったまま進んでいく。
城の前に着くと馬車が止まる。扉が開いたところに案内役であろう文官の姿があった。
「お待ちしておりました。ノースポール公爵様。裏口からで申し訳ありません。」
「いや、構わない。その方がこちらとしても有難い。では、案内をお願いする。」
「かしこまりました。」
その文官は頭を下げ、「では、こちらです。」と、促してくれた。
そのうちに一際大きく、荘厳な扉の前に着いた。ここが謁見の間なのだろう。
扉の両脇には騎士が槍を手に控えている。その騎士に文官が何か声をかけると一礼をして、扉の方を向き、ノックし中に声をかける。
少しの間が空くと、中から声が聞こえると騎士がこちらを向き扉を開いてくれた。
「どうぞ、お通りください。」
その声にヘンリーは、頷くとフローレンスと並んで中へと入った。
目の前には何段が上になった壇上に玉座があり、1人の男性が座っていた。
この人こそ、クレセン王国の陛下だった。
(おお~、王様だ!なんか、映画の中みたいだなぁ。あはっ!って、・・・・・・あ・・れ、?)
なんだか映画の中っぽいと、感動していたヒナタだったが、陛下の横に視線をずらしたところである人が目についた。
見間違いかと何度か目をぱちぱちさせたが、いる。
(え?どういう事??なんで・・・なんであの人がここにいるの?!え?え?見間違いじゃないよね??なんでいるの~~!??・・・ライ!!)
陛下の横に控えていたのは、街で出会ったライだった。
髪色こそ違って夜空のような黒だったが、あの紫に耀く瞳に目元の黒子があれはライだと確信できた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
転生したら悪役令嬢になりかけてました!〜まだ5歳だからやり直せる!〜
具なっしー
恋愛
5歳のベアトリーチェは、苦いピーマンを食べて気絶した拍子に、
前世の記憶を取り戻す。
前世は日本の女子学生。
家でも学校でも「空気を読む」ことばかりで、誰にも本音を言えず、
息苦しい毎日を過ごしていた。
ただ、本を読んでいるときだけは心が自由になれた――。
転生したこの世界は、女性が希少で、男性しか魔法を使えない世界。
女性は「守られるだけの存在」とされ、社会の中で特別に甘やかされている。
だがそのせいで、女性たちはみな我儘で傲慢になり、
横暴さを誇るのが「普通」だった。
けれどベアトリーチェは違う。
前世で身につけた「空気を読む力」と、
本を愛する静かな心を持っていた。
そんな彼女には二人の婚約者がいる。
――父違いの、血を分けた兄たち。
彼らは溺愛どころではなく、
「彼女のためなら国を滅ぼしても構わない」とまで思っている危険な兄たちだった。
ベアトリーチェは戸惑いながらも、
この異世界で「ただ愛されるだけの人生」を歩んでいくことになる。
※表紙はAI画像です
婚約破棄された悪役令嬢の心の声が面白かったので求婚してみた
夕景あき
恋愛
人の心の声が聞こえるカイルは、孤独の闇に閉じこもっていた。唯一の救いは、心の声まで真摯で温かい異母兄、第一王子の存在だけだった。
そんなカイルが、外交(婚約者探し)という名目で三国交流会へ向かうと、目の前で隣国の第二王子による公開婚約破棄が発生する。
婚約破棄された令嬢グレースは、表情一つ変えない高潔な令嬢。しかし、カイルがその心の声を聞き取ると、思いも寄らない内容が聞こえてきたのだった。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!
クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。
ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。
しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。
ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。
そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。
国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。
樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる