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「それで久田くんとはどうなったの」
「どうなったって…」
先日の同窓会の話をすべく、みいちゃん―――伴野美沙とお茶をしている。私と違って社交的な彼女は久田くんとも交流があったらしい。
「告白されたんじゃないの?」
「……お試しで付き合ってほしいと、言われました」
「はぁ?何それ。私にしーちゃん騙すようなことさせといて」
「巻き込んじゃってごめんね」
「いや、謝るのは私のほうだよ。本当にごめん。下心ある男と無理矢理会わせるようなことして」
「下心…」
正直まだピンときていない。人気者だった久田くんに好かれるような要素が自分にあるのだろうか。好きな子に相手にされなかったと言うけど、彼から特別な感情を向けられていた記憶が全くない。それに、好きな人間がいるのにも関わらず他の子と付き合うという感覚もよく分からない。
「未だに信じられないんだよね。委員会が一緒だったから少し話したことがある程度というか。彼女もいたし」
「クラス違うのにしょっちゅう来てたし、しーちゃんのことめっちゃ見てたんだよ」
「全然気付かなかった」
「あの頃のしーちゃんは雪を巡って争う康と蛍に夢中だったからね」
「今でも康が好きだけど、現実的に考えると蛍が最高だよね」
私にしては珍しくメインヒーローが1番好きな作品だが、当て馬も本当に魅力的なのだ。私が当て馬キャラに肩入れするきっかけになったと言っても過言ではない。
「その蛍と久田くんが結構似てるなと思ったんだよね」
「?」
「しーちゃん好きでしょ。好きな子の理想の男になろうと努力する人。いい大学出ていい会社入ってさ」
「いや、そりゃ素敵だと思うけど、現実に現れても困るというか」
「長い期間拗らせているみたいだし、1回向き合ってあげてよ」
みいちゃんがややうんざりとした顔をしている。私の知らないところで様々なやりとりがあったと思われる。流石に鈍すぎる自分が申し訳なくなってきた。
「そんなに思ってくれていたのに、今回の同窓会でようやく会おうってなったのはどうして?」
「詳しくは本人に聞いた方がいいけど……5年前のクラス会がきっかけっぽいよ。何度も会う機会は作ろうとしていたんだよ。しーちゃんが誘いを断りまくっていただけ」
「あぁ…それは本当にごめんなさい」
おそらくろくに確認もせずに、不特定多数の集まりだろうからと断ってしまっていたのだろう。事情を知っていたらそれはそれで避けただろうし、みいちゃんもどうしようもできなくて板挟みだったことがうかがえる。
久田くんのことが苦手というわけではない。彼のような人に好意を持たれたら大半の人間は喜ぶだろう。私自身嬉しくないわけではない。しかし―――
「釣り合わないと思わない?」
「思わないよ~それにあっちが好きって言ってるんだし」
「幻想みたいなものじゃないかなぁ」
「どうせ自分よりできる男にしか興味を持てないんだし、試しに付き合ってみて気持ちが本物か判断すればいいよ。主導権はしーちゃん側にあるんだから」
私が恋愛において主導権なんて握れるのだろうか。しかも相手はモテる人だ。案外あっさり気持ちも冷めて終わる気がする。同窓会での再会以降、毎日のように連絡が来ているが、お試し交際だとか彼氏候補みたいな雰囲気がまず分かっていない。
「デートとか行ってないの?」
「今度遊ぼうって約束はしている」
「しーちゃんにも彼氏ができたか~」
「いや、まだ付き合っていないし」
何となくで付き合うなんて相手に失礼だ。付き合うならお互いが好き同士でないと。いい年になって何を言っているんだと思われそうだが、人間関係は対等であるべきだ。
「何はともあれ楽しんできなね」
心配しているのか、背中を押しているのか、面白がっているのか。いたずらっ子のような笑みを浮かべるみいちゃんはとても楽しそうだった。
「どうなったって…」
先日の同窓会の話をすべく、みいちゃん―――伴野美沙とお茶をしている。私と違って社交的な彼女は久田くんとも交流があったらしい。
「告白されたんじゃないの?」
「……お試しで付き合ってほしいと、言われました」
「はぁ?何それ。私にしーちゃん騙すようなことさせといて」
「巻き込んじゃってごめんね」
「いや、謝るのは私のほうだよ。本当にごめん。下心ある男と無理矢理会わせるようなことして」
「下心…」
正直まだピンときていない。人気者だった久田くんに好かれるような要素が自分にあるのだろうか。好きな子に相手にされなかったと言うけど、彼から特別な感情を向けられていた記憶が全くない。それに、好きな人間がいるのにも関わらず他の子と付き合うという感覚もよく分からない。
「未だに信じられないんだよね。委員会が一緒だったから少し話したことがある程度というか。彼女もいたし」
「クラス違うのにしょっちゅう来てたし、しーちゃんのことめっちゃ見てたんだよ」
「全然気付かなかった」
「あの頃のしーちゃんは雪を巡って争う康と蛍に夢中だったからね」
「今でも康が好きだけど、現実的に考えると蛍が最高だよね」
私にしては珍しくメインヒーローが1番好きな作品だが、当て馬も本当に魅力的なのだ。私が当て馬キャラに肩入れするきっかけになったと言っても過言ではない。
「その蛍と久田くんが結構似てるなと思ったんだよね」
「?」
「しーちゃん好きでしょ。好きな子の理想の男になろうと努力する人。いい大学出ていい会社入ってさ」
「いや、そりゃ素敵だと思うけど、現実に現れても困るというか」
「長い期間拗らせているみたいだし、1回向き合ってあげてよ」
みいちゃんがややうんざりとした顔をしている。私の知らないところで様々なやりとりがあったと思われる。流石に鈍すぎる自分が申し訳なくなってきた。
「そんなに思ってくれていたのに、今回の同窓会でようやく会おうってなったのはどうして?」
「詳しくは本人に聞いた方がいいけど……5年前のクラス会がきっかけっぽいよ。何度も会う機会は作ろうとしていたんだよ。しーちゃんが誘いを断りまくっていただけ」
「あぁ…それは本当にごめんなさい」
おそらくろくに確認もせずに、不特定多数の集まりだろうからと断ってしまっていたのだろう。事情を知っていたらそれはそれで避けただろうし、みいちゃんもどうしようもできなくて板挟みだったことがうかがえる。
久田くんのことが苦手というわけではない。彼のような人に好意を持たれたら大半の人間は喜ぶだろう。私自身嬉しくないわけではない。しかし―――
「釣り合わないと思わない?」
「思わないよ~それにあっちが好きって言ってるんだし」
「幻想みたいなものじゃないかなぁ」
「どうせ自分よりできる男にしか興味を持てないんだし、試しに付き合ってみて気持ちが本物か判断すればいいよ。主導権はしーちゃん側にあるんだから」
私が恋愛において主導権なんて握れるのだろうか。しかも相手はモテる人だ。案外あっさり気持ちも冷めて終わる気がする。同窓会での再会以降、毎日のように連絡が来ているが、お試し交際だとか彼氏候補みたいな雰囲気がまず分かっていない。
「デートとか行ってないの?」
「今度遊ぼうって約束はしている」
「しーちゃんにも彼氏ができたか~」
「いや、まだ付き合っていないし」
何となくで付き合うなんて相手に失礼だ。付き合うならお互いが好き同士でないと。いい年になって何を言っているんだと思われそうだが、人間関係は対等であるべきだ。
「何はともあれ楽しんできなね」
心配しているのか、背中を押しているのか、面白がっているのか。いたずらっ子のような笑みを浮かべるみいちゃんはとても楽しそうだった。
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