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私アマラ・カポックは経理として働き始めて約5年。そろそろ同期が結婚しだしたり、少なくともお相手がいるような子が増えてきた。強い結婚願望があるわけでもないが、逆に一生独身を貫こうなんていう意思もない。しかしぼんやり過ごしていると適齢期というものを逃しそうである為、何かしら行動に移そうと決めたのだった。
職場の福利厚生の一環で同世代が交流しやすいようパーティーが催されている。丁度いい機会だと思ってそれに参加することにしたものの、あまりいい出会いがあったとは言えなかった。誰かに紹介を頼むか、趣味の集まりで新しい友人でも作ろうかと考えている時に彼から声を掛けられたのだった。
「恋人が欲しいなら俺と付き合おうよ」
オーガスタ・ストレチア―――騎士団の若手有望株と言われるうちの1人だった。ただし彼には少し問題がある。女性関係の噂が絶えないのだ。私自身も仕事中にも関わらずよく話しかけられた。いつもにこやかでキラキラしていてまるでアイドルかのように扱っている同僚もたくさんいる。
一緒にいて楽しいのかもしれないが、不誠実な人間は恋人としては選びたくない。現にこうして軽率に交際を申し込んでくるくらいだ。真剣に交際相手を探している私とは相性が悪い。ひとまず断ろう。遊び人に効きそうな言葉を考える。
「私は結婚相手を探していますので」
「次付き合う相手と絶対結婚するなんて考えていたらなかなか先に進めなくない?」
それはそうだ。これはただの断り文句であって、別に私自身すぐに結婚したいわけではない。
「さっきのパーティーでいいやつもいなかったんでしょ」
「まぁ…そうですね」
「じゃあ今度デートしよう。美味しい店たくさん知ってるからさ」
「食事くらいなら」
この人と仲良くなれば、真面目で誠実な騎士を紹介してもらえる可能性もあるかもしれない。今は出会いの機会を増やすことに集中しよう。まずは人脈の開拓から始めるのだ。
「…あいつみたいなのが好きなの?」
誘われた食事の席で騎士団の話になった為、私が密かにファンをしている騎士の名前を挙げると彼は少し不機嫌になった。
「残念だったね。幼馴染の可愛い恋人がいるって」
「一途で素敵ですよね」
「俺も一途だよ」
何を張り合っているのだろうか。自分が1番人気じゃないとプライドが許さないのか。色んな人との関わりを増やしていこうとしていたはずなのに、誰かを紹介してもらうこともなく、ただただ彼と過ごす時間だけが増えていくのだった。
職場の福利厚生の一環で同世代が交流しやすいようパーティーが催されている。丁度いい機会だと思ってそれに参加することにしたものの、あまりいい出会いがあったとは言えなかった。誰かに紹介を頼むか、趣味の集まりで新しい友人でも作ろうかと考えている時に彼から声を掛けられたのだった。
「恋人が欲しいなら俺と付き合おうよ」
オーガスタ・ストレチア―――騎士団の若手有望株と言われるうちの1人だった。ただし彼には少し問題がある。女性関係の噂が絶えないのだ。私自身も仕事中にも関わらずよく話しかけられた。いつもにこやかでキラキラしていてまるでアイドルかのように扱っている同僚もたくさんいる。
一緒にいて楽しいのかもしれないが、不誠実な人間は恋人としては選びたくない。現にこうして軽率に交際を申し込んでくるくらいだ。真剣に交際相手を探している私とは相性が悪い。ひとまず断ろう。遊び人に効きそうな言葉を考える。
「私は結婚相手を探していますので」
「次付き合う相手と絶対結婚するなんて考えていたらなかなか先に進めなくない?」
それはそうだ。これはただの断り文句であって、別に私自身すぐに結婚したいわけではない。
「さっきのパーティーでいいやつもいなかったんでしょ」
「まぁ…そうですね」
「じゃあ今度デートしよう。美味しい店たくさん知ってるからさ」
「食事くらいなら」
この人と仲良くなれば、真面目で誠実な騎士を紹介してもらえる可能性もあるかもしれない。今は出会いの機会を増やすことに集中しよう。まずは人脈の開拓から始めるのだ。
「…あいつみたいなのが好きなの?」
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