No seek, no find.

優未

文字の大きさ
2 / 6

2

しおりを挟む
 私アマラ・カポックは経理として働き始めて約5年。そろそろ同期が結婚しだしたり、少なくともお相手がいるような子が増えてきた。強い結婚願望があるわけでもないが、逆に一生独身を貫こうなんていう意思もない。しかしぼんやり過ごしていると適齢期というものを逃しそうである為、何かしら行動に移そうと決めたのだった。

 職場の福利厚生の一環で同世代が交流しやすいようパーティーが催されている。丁度いい機会だと思ってそれに参加することにしたものの、あまりいい出会いがあったとは言えなかった。誰かに紹介を頼むか、趣味の集まりで新しい友人でも作ろうかと考えている時に彼から声を掛けられたのだった。

「恋人が欲しいなら俺と付き合おうよ」

 オーガスタ・ストレチア―――騎士団の若手有望株と言われるうちの1人だった。ただし彼には少し問題がある。女性関係の噂が絶えないのだ。私自身も仕事中にも関わらずよく話しかけられた。いつもにこやかでキラキラしていてまるでアイドルかのように扱っている同僚もたくさんいる。

 一緒にいて楽しいのかもしれないが、不誠実な人間は恋人としては選びたくない。現にこうして軽率に交際を申し込んでくるくらいだ。真剣に交際相手を探している私とは相性が悪い。ひとまず断ろう。遊び人に効きそうな言葉を考える。

「私は結婚相手を探していますので」
「次付き合う相手と絶対結婚するなんて考えていたらなかなか先に進めなくない?」

 それはそうだ。これはただの断り文句であって、別に私自身すぐに結婚したいわけではない。

「さっきのパーティーでいいやつもいなかったんでしょ」
「まぁ…そうですね」
「じゃあ今度デートしよう。美味しい店たくさん知ってるからさ」
「食事くらいなら」

 この人と仲良くなれば、真面目で誠実な騎士を紹介してもらえる可能性もあるかもしれない。今は出会いの機会を増やすことに集中しよう。まずは人脈の開拓から始めるのだ。

「…あいつみたいなのが好きなの?」

 誘われた食事の席で騎士団の話になった為、私が密かにファンをしている騎士の名前を挙げると彼は少し不機嫌になった。

「残念だったね。幼馴染の可愛い恋人がいるって」
「一途で素敵ですよね」
「俺も一途だよ」

 何を張り合っているのだろうか。自分が1番人気じゃないとプライドが許さないのか。色んな人との関わりを増やしていこうとしていたはずなのに、誰かを紹介してもらうこともなく、ただただ彼と過ごす時間だけが増えていくのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

カモフラージュの恋

湖月もか
恋愛
容姿端麗、文武両道、しかも性格までよし。まるで少女漫画の王子様のような幼馴染な彼。 当たり前だが、彼は今年も囲まれている。 そんな集団を早く終わらないかなと、影から見ている私の話。 ※あさぎかな様に素敵な表紙を作成していただきました!

【完結】私の愛する人は、あなただけなのだから

よどら文鳥
恋愛
 私ヒマリ=ファールドとレン=ジェイムスは、小さい頃から仲が良かった。  五年前からは恋仲になり、その後両親をなんとか説得して婚約まで発展した。  私たちは相思相愛で理想のカップルと言えるほど良い関係だと思っていた。  だが、レンからいきなり婚約破棄して欲しいと言われてしまう。 「俺には最愛の女性がいる。その人の幸せを第一に考えている」  この言葉を聞いて涙を流しながらその場を去る。  あれほど酷いことを言われってしまったのに、私はそれでもレンのことばかり考えてしまっている。  婚約破棄された当日、ギャレット=メルトラ第二王子殿下から縁談の話が来ていることをお父様から聞く。  両親は恋人ごっこなど終わりにして王子と結婚しろと強く言われてしまう。  だが、それでも私の心の中には……。 ※冒頭はざまぁっぽいですが、ざまぁがメインではありません。 ※第一話投稿の段階で完結まで全て書き終えていますので、途中で更新が止まることはありませんのでご安心ください。

恋を質に入れた日

トム
恋愛
路地裏の地下にある質屋では、 “記憶”を売ることができる。 恋人の手術費を工面するため、 俺は彼女と出会った日の幸福を手放した。 愛の熱を失ったまま、 それでも共に生きることはできるのか。

この別れは、きっと。

はるきりょう
恋愛
瑛士の背中を見ていられることが、どれほど幸せだったのか、きっと瑛士は知らないままだ。 ※小説家になろうサイト様にも掲載しています。

さようなら、初恋

芙月みひろ
恋愛
彼が選んだのは姉だった *表紙写真はガーリードロップ様からお借りしています

最愛のあなたへ

夕香里
恋愛
最愛の人から送られ続けていた手紙の最後の一通。それは受取人にとって、複雑な心境になる手紙。意を決して封を開けるとそこには愛が溢れていた。

一途な恋

凛子
恋愛
貴方だけ見つめてる……

おにょれ王子め!

こもろう
恋愛
レティジアは公爵令嬢で、王子フリードの婚約者。しかし現在、フリードとの関係はこじれまくっている。 見た目は気が強そうだが実は泣き虫なレティジアは人知れず毎日涙を流し、フリードはなんだかイライラしている。 そんな二人の前に現れるのは……!

処理中です...