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彼と関わるようになり、最初に持っていた印象はかなり薄れていた。遊び人の噂もあるが、それは元々の親しみやすい性格と、職場の人間との円滑なコミュニケーションを取るための行動からきたもののように思う。そもそも素行の悪い人間が若手有望株と呼ばれるほど我が騎士団は甘くないはずだ。
そうなると「恋人が欲しいなら俺と付き合おうよ」というあの発言は何を意味するのか。私のことを好き?だが今の私たちの関係は付き合っているとは言えない。一番よく食事をしている異性の域を出ていないだろう。結婚相手を探すという目的を考えるとそろそろ彼との付き合いをどうするか考える時期かもしれない。
「アマラ?」
「すみません、少しぼーっとしていました」
私が上の空なことに気が付いて、こちらを心配そうに見つめてくる。私たちの関係について考えていましたなんて伝えたら、彼はどう答えるだろうか。そんなことを言えるわけもなく、話は流れていく。
「来週からしばらく遠征で会えなくなる。1か月くらいかな」
「お気を付けて」
経理の仕事をしていると、自ずと騎士団のスケジュールも把握できている。危険な任務というわけではなく、定期的に行われる訓練のはずだ。
「帰ってきたら伝えたいことがある」
「今じゃダメなんですか」
「うん」
何やら珍しく真剣な顔で頷かれたのでそれ以上は何も言えなかった。彼と会わない1か月間をどうやって過ごそうか。すっかり休止状態の交友関係の開拓を再開しようか。特にこれといったことは思いつかないまま過ごしていたが、彼が遠征に行く数日前、偶然女性といるところを見かけてしまった。
遠くから見ても分かる華やかな美人で、彼と並んで歩く姿もとても似合っていた。もしかしたら私に好意を抱いているのではないかなんて一瞬でも考えた自分が恥ずかしかった。決まった相手のいる人を思うなんて不毛だ。これから1か月もう会うこともない。遠征から戻ってきたら、ただの事務員として仕事でしか関わらないようにしよう。私は私に合った人と出会うのだ。
そうなると「恋人が欲しいなら俺と付き合おうよ」というあの発言は何を意味するのか。私のことを好き?だが今の私たちの関係は付き合っているとは言えない。一番よく食事をしている異性の域を出ていないだろう。結婚相手を探すという目的を考えるとそろそろ彼との付き合いをどうするか考える時期かもしれない。
「アマラ?」
「すみません、少しぼーっとしていました」
私が上の空なことに気が付いて、こちらを心配そうに見つめてくる。私たちの関係について考えていましたなんて伝えたら、彼はどう答えるだろうか。そんなことを言えるわけもなく、話は流れていく。
「来週からしばらく遠征で会えなくなる。1か月くらいかな」
「お気を付けて」
経理の仕事をしていると、自ずと騎士団のスケジュールも把握できている。危険な任務というわけではなく、定期的に行われる訓練のはずだ。
「帰ってきたら伝えたいことがある」
「今じゃダメなんですか」
「うん」
何やら珍しく真剣な顔で頷かれたのでそれ以上は何も言えなかった。彼と会わない1か月間をどうやって過ごそうか。すっかり休止状態の交友関係の開拓を再開しようか。特にこれといったことは思いつかないまま過ごしていたが、彼が遠征に行く数日前、偶然女性といるところを見かけてしまった。
遠くから見ても分かる華やかな美人で、彼と並んで歩く姿もとても似合っていた。もしかしたら私に好意を抱いているのではないかなんて一瞬でも考えた自分が恥ずかしかった。決まった相手のいる人を思うなんて不毛だ。これから1か月もう会うこともない。遠征から戻ってきたら、ただの事務員として仕事でしか関わらないようにしよう。私は私に合った人と出会うのだ。
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