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本当に仕事を調整してもらっているのかと疑わしいくらいシオンは忙しそうだ。やはり父のことを探っているのだろうか。そんな彼が今日は1日休みということで街に買い物にきている。
「いつも私の予定に合わせてもらってすまない」
「私も丁度買いたいものがあったので気にしないで」
「どこの店?」
何故かついてくる気満々の彼に、1人で見たいものがあると言ってこっそり買い物をすませる。無事に目当てのものを手に入れ、彼の待つ場所へ戻ろうとした時、目の前に見覚えのある男女が現れる。
「リナリア嬢っ」
「あなたたちは…」
元婚約者いや元婚約者候補のエル・リンジームとその恋人ガーネットだった。2人もどうやらデート中らしい。そういえば、彼との婚約が解消となるきっかけもこうして街中で2人が会っているのを見かけたからだった。もう彼と関わることなどないと考えていたが、この機会に伝えておきたいことがある。
「先日の婚約の件ではご迷惑をおかけしました。思い合う2人が理不尽に引き離されるなど、私は望みません。こうして仲睦まじくしている姿を見られて安心しました」
彼のことが本当に大切なのだろう。ガーネット様の目には涙が浮かんでいた。
「私、婚約者ができたんです。彼を待たせていますので、失礼します」
少し時間が掛かってしまったので焦って戻ると、シオンは少し機嫌が悪そうだった。
「あの男に会うために別行動を?」
「そうではなくて。これをあなたに渡したくて」
「ありがとう。お守り?」
「母の故郷の伝統的なお守りで。まぁ優秀なあなたには必要ないかも」
「大切にする」
「ありがとう。母は幼い頃に亡くなってしまってあまり覚えてはいないけど、今でももらったお守りは大切にしていて」
「お父上も?」
「そうです」
「似たデザインのものを持っているなと思った」
「父と会ったことが?」
やはり父のことを調べている?まさか直接接触しているとは想像していなかった。
「…婚約の手続きと挨拶に」
至極当然の理由だった。
「父は何か言っていた?」
「リナリアをよろしく頼む、と」
「じゃああなたから見た父の印象は?」
「穏やかで思慮深く…娘思いな人だと」
父は争いごとを望まない。大それたことなどできない人だと信じている。彼から見た父の印象を聞いて少しだけ安心できた。
「婚約と言えば」
シオンは私の左手を取り、薬指に指輪をはめた。少し大きい気がしたが、私の指に合わせてサイズが変わる。
「ルドベキアが代々婚約者に贈る指輪だ」
「これ、魔法が?」
「あぁ。ただデザインが少し古いだろう?君の好みのものも贈りたいから今から見に行こう」
どうやら今日の出かける理由はこれだったらしい。
―――リナリア、指輪を見に行こう
―――君を絶対に幸せにするから
そういえば、サフィールと出かけた時も指輪を贈ってもらった。もちろんシオンが向かったお店も、私が選んだ指輪もその時とは違うものだ。なのにどうしても同じことを繰り返しているのではないかと疑ってしまう。私が行動を変えても、多少の形を変えて巻き戻り前と同じことは起きるのかもしれない。
シオン、あなたはカルミエ殿下の指示でここにいる?
「いつも私の予定に合わせてもらってすまない」
「私も丁度買いたいものがあったので気にしないで」
「どこの店?」
何故かついてくる気満々の彼に、1人で見たいものがあると言ってこっそり買い物をすませる。無事に目当てのものを手に入れ、彼の待つ場所へ戻ろうとした時、目の前に見覚えのある男女が現れる。
「リナリア嬢っ」
「あなたたちは…」
元婚約者いや元婚約者候補のエル・リンジームとその恋人ガーネットだった。2人もどうやらデート中らしい。そういえば、彼との婚約が解消となるきっかけもこうして街中で2人が会っているのを見かけたからだった。もう彼と関わることなどないと考えていたが、この機会に伝えておきたいことがある。
「先日の婚約の件ではご迷惑をおかけしました。思い合う2人が理不尽に引き離されるなど、私は望みません。こうして仲睦まじくしている姿を見られて安心しました」
彼のことが本当に大切なのだろう。ガーネット様の目には涙が浮かんでいた。
「私、婚約者ができたんです。彼を待たせていますので、失礼します」
少し時間が掛かってしまったので焦って戻ると、シオンは少し機嫌が悪そうだった。
「あの男に会うために別行動を?」
「そうではなくて。これをあなたに渡したくて」
「ありがとう。お守り?」
「母の故郷の伝統的なお守りで。まぁ優秀なあなたには必要ないかも」
「大切にする」
「ありがとう。母は幼い頃に亡くなってしまってあまり覚えてはいないけど、今でももらったお守りは大切にしていて」
「お父上も?」
「そうです」
「似たデザインのものを持っているなと思った」
「父と会ったことが?」
やはり父のことを調べている?まさか直接接触しているとは想像していなかった。
「…婚約の手続きと挨拶に」
至極当然の理由だった。
「父は何か言っていた?」
「リナリアをよろしく頼む、と」
「じゃああなたから見た父の印象は?」
「穏やかで思慮深く…娘思いな人だと」
父は争いごとを望まない。大それたことなどできない人だと信じている。彼から見た父の印象を聞いて少しだけ安心できた。
「婚約と言えば」
シオンは私の左手を取り、薬指に指輪をはめた。少し大きい気がしたが、私の指に合わせてサイズが変わる。
「ルドベキアが代々婚約者に贈る指輪だ」
「これ、魔法が?」
「あぁ。ただデザインが少し古いだろう?君の好みのものも贈りたいから今から見に行こう」
どうやら今日の出かける理由はこれだったらしい。
―――リナリア、指輪を見に行こう
―――君を絶対に幸せにするから
そういえば、サフィールと出かけた時も指輪を贈ってもらった。もちろんシオンが向かったお店も、私が選んだ指輪もその時とは違うものだ。なのにどうしても同じことを繰り返しているのではないかと疑ってしまう。私が行動を変えても、多少の形を変えて巻き戻り前と同じことは起きるのかもしれない。
シオン、あなたはカルミエ殿下の指示でここにいる?
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