imitation

優未

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偽りのミューズ

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「ミクリィ、今日のドレスも素敵ね」

「そのイヤリングはどこから?」

「フォーゼン商会で買った髪飾りとても気に入っているの」

「歌劇団に衣装提供されていたでしょう。燕尾服が最高だったわ」

「皆さんありがとう。父にも伝えておくわ」


 我がフォーゼン家は商才に恵まれて貴族の仲間入りを果たした。平民上がりだと冷たい目線をむけられるかと思いきや、ご令嬢たちが身に着けるドレスやアクセサリーを我が商会が卸していることもあってか好意的に接してもらっている。仲良くさせてもらっている子達もそこまで家格が高くないというのもあるだろう。気心の知れた友人と話をするのは楽しいけれど、正直華やかな場はあまり得意ではない。

 少し前までおそらく我が家の財産目当てであろう男性陣に夜会で声をかけられることも多かった。結婚相手が貴族である必要はない。一緒に商会を盛り立てていける人ならば多くを望まない。この場で男性との出会いを求めなくてもいいのだ。しかし、新作のお披露目も兼ねているので私は社交の場に出る必要がある。化粧を濃くしたり、癖の強い恰好をしても、男性避けにはなりそうにない。それこそ新しい商品の宣伝だと思われてしまう。

 どうしようか考えあぐねていたときに、1つ思いついたことがあった。

「いらしたわよ」

「今日も素敵ね」

「恐れ多くて話しかけられないわ」

 会場の女性陣の視線が一点に集中する。絶対に手の届かない皆に人気の侯爵令息―――アスター・メジスト

 彼に憧れているという噂を流し、同じように彼に好意を抱く令嬢たちに混ざって話すようにした。これがなかなか効果的だったようで、ほとんど男性から声をかけられなくなったのである。侯爵家の方と結婚なんてありえないし、彼に憧れている令嬢はそれこそ数えきれない。彼の迷惑になっていないことを願うが、もしそうだとしても母数が1つ増えた程度だろう。

 ただの男性避けのために利用させてもらっているだけのはずだった。

 なのにどうして

「話の途中だったのにごめんね。君と少し話がしたかったんだ」

 メジスト様に話しかけられているの!?
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