imitation

優未

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お城の住人が増えました

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 その存在に引きつけられて、胸が鷲掴みされたようだった。もう他のものは目に入らないくらい―――

「ミクリィ、どうかしたの?」

 不意に現実に引き戻された。

「いえ、少しぼーっとしておりました」

「あの雑貨屋、気になるなら入ってみようか」

「よろしいのですか」

「ずっと心ここにあらずだと僕が寂しくなっちゃうからね」

 この人には色々とお見通しらしい。このまま順調に結婚するとしたらいつまでも隠してもおけないことだしいいだろう。いっそ開き直ることにした。お目当てのものにまっすぐ向かうとなんとアスター様が代金を払ってくれた。

「可愛い~アスター様ありがとうございます」

「喜んでくれて何よりだよ」

「ずっとこの子と目が合っていたんです。これはもう運命!しばらく一緒に寝ます」

 ふわふわで抱き心地も最高である。

「ライバルはピンクのウサギかぁ」

「…あの」

「うん?」

「私、昔から可愛いものに目がなくて。部屋中がお気に入りのぬいぐるみや小物であふれているんです。いい加減卒業しなくてはいけないと分かってはいるのですが…」

「好きなままでいいんじゃない。誰にも迷惑をかけてもいないんだし」

「そうでしょうか」

「僕は君が好きなものを知れて嬉しいよ。フォーゼン商会のお嬢さんが欲しいものなんてなかなか思いつかないからね。この子を見るたびに僕のことも思い出してね」

 その夜、私の部屋素敵なお城に迎えた住人を抱きしめて寝ようとしたがドキドキしてなかなか寝付けなかった。
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