4 / 61
第四話 召喚された当初
しおりを挟む
屋敷はさほど汚れてはいなかったが、やっぱり
日本人としては清潔な方がいいに決まっている。
この世界に来て初めて覚えた魔法がクリーンだ
った。
まだ魔法も使えなかった時に、攻撃魔法よりも
失敗しても問題のない魔法という事で、初めに
教えてもらったのだった。
修行の後でも、汗だくだった服や身体が一瞬で
綺麗になるのだから便利だと思う。
暖かい時期なら水浴びも気持ちいいが、寒い時
期はこの魔法が重宝していた。
「さぁーて、行くか!『クリーン』」
部屋毎に魔法をかけると、埃一つない清潔な部
屋になっていく。
ここでは女性は聖女であるレイネしかいないが、
食事はもっぱら外で外食が多かった。
「そういえばキッチンも綺麗にしたけど、レイネ
って食事作れるのか?」
俺はあまり深く考えずに聞いてみた。
「食事?なんで私が作るのよ?下々の者が作れば
いいでしょ?平民なら私の為に働くのは苦じゃ
ないはずよ?」
「それって何もできねーってことじゃん」
「まぁまぁ、レイネは聖女様だったんだから、キ
ッチンに立つなんてなかったんだね?」
「そうよ。でも、勇者様が言ってくれれば、頑張
ちゃうわ」
「大丈夫だよ、レイネ。無理はしないで」
「そう?なら、今日は勇者様のベッドに行って…」
「さぁ、陸、僕らで作ってみようか?」
「はぁ?なんで俺まで?」
「まぁ、いいからいいから」
こうして、誠治と一緒に街で買い物に来たわけだが
料理などやった事がないので、何を買っていいかわ
からないのだった。
「なぁ~、これってトマトに似てね?」
「わぁーほんとだ!陸、よく見つけたね。買って行
こうか!」
「調理済みの買っちゃダメなのか?」
「それじゃー味気ないでしょ?それに……僕は自分
の作った料理を好きな人に食べてほしいけどな~」
「はいはい、じゃーこれを買って、それからあとは?」
誠治は時折り意味不明な事をいう。
それがなにを意味しているかなど俺は考えた事など
なかった。
それは友人でなくなるのが怖かったからでもあった。
今でも誠治と同じ部屋で寝起きしている。
それにはちょっとした事情があった。
♦︎
この世界に召喚されて、騎士たちに城に迎え入れら
れ勇者として誠治が崇められた時に、役立たずの俺
は、その場から引き離されそうになったのだ。
「なっ、なんだよっ!離せって……」
「陸を連れていくなら僕は勇者なんてお断りします。
僕が勇者になるなら陸も一緒でなければ嫌です」
皇帝に啖呵を切った誠治はかっこよかった。
「この者のステータスはあまりにも低い。勇者パー
ティーとしては役不足じゃろう。代わりになる者
をつけよう」
「では、僕は勇者じゃなくていい。今すぐに陸を返
してください。」
そう言って渡された装備から剣を選ぶと、皇帝に突
きつけたのだった。
それからは、用心するように同じ部屋で寝起きする
生活が始まったのだった。
「陸、大丈夫だった?……これって、あいつらに?」
「大丈夫だって……誠治はあんな事言ってよかった
のかよ?」
掴まれた腕が赤くなっているのを見つけると誠治は
心配そうにしてきた。
俺だって男だ。
多少力強く掴まれたくらい、平気だった。
だが、誠治はそれさえも心配そうにしていた。
誠治に護られなくてもいいくらい強くならなくては
と、思った瞬間だった。
「俺も早く強くなるからさ、そしたら一緒に旅に出
ようぜ。こんなところにずっといるなんて苦行だ
ろ?」
笑って見せると、誠治もほっとしたのか微笑んで見
せた。
それからは、宮廷魔法師から色々な魔法を教わった。
簡単な生活魔法から、攻撃魔法。
仕舞いには、最上級魔法までを一年という速さで
習得したのだった。
それを成す為の魔力が無限にあったからだ。
尽きない魔力があるという事は、休みなく練習で
きるという事だった。
食事と睡眠以外を全て魔法の練習に使ってきた。
そして、最初馬鹿にしていた魔法師達を見返す事
に成功したのだった。
そこまで来れば、皇帝も文句は言えなくなった。
そして、魔王討伐に旅立つ事になったのだった。
日本人としては清潔な方がいいに決まっている。
この世界に来て初めて覚えた魔法がクリーンだ
った。
まだ魔法も使えなかった時に、攻撃魔法よりも
失敗しても問題のない魔法という事で、初めに
教えてもらったのだった。
修行の後でも、汗だくだった服や身体が一瞬で
綺麗になるのだから便利だと思う。
暖かい時期なら水浴びも気持ちいいが、寒い時
期はこの魔法が重宝していた。
「さぁーて、行くか!『クリーン』」
部屋毎に魔法をかけると、埃一つない清潔な部
屋になっていく。
ここでは女性は聖女であるレイネしかいないが、
食事はもっぱら外で外食が多かった。
「そういえばキッチンも綺麗にしたけど、レイネ
って食事作れるのか?」
俺はあまり深く考えずに聞いてみた。
「食事?なんで私が作るのよ?下々の者が作れば
いいでしょ?平民なら私の為に働くのは苦じゃ
ないはずよ?」
「それって何もできねーってことじゃん」
「まぁまぁ、レイネは聖女様だったんだから、キ
ッチンに立つなんてなかったんだね?」
「そうよ。でも、勇者様が言ってくれれば、頑張
ちゃうわ」
「大丈夫だよ、レイネ。無理はしないで」
「そう?なら、今日は勇者様のベッドに行って…」
「さぁ、陸、僕らで作ってみようか?」
「はぁ?なんで俺まで?」
「まぁ、いいからいいから」
こうして、誠治と一緒に街で買い物に来たわけだが
料理などやった事がないので、何を買っていいかわ
からないのだった。
「なぁ~、これってトマトに似てね?」
「わぁーほんとだ!陸、よく見つけたね。買って行
こうか!」
「調理済みの買っちゃダメなのか?」
「それじゃー味気ないでしょ?それに……僕は自分
の作った料理を好きな人に食べてほしいけどな~」
「はいはい、じゃーこれを買って、それからあとは?」
誠治は時折り意味不明な事をいう。
それがなにを意味しているかなど俺は考えた事など
なかった。
それは友人でなくなるのが怖かったからでもあった。
今でも誠治と同じ部屋で寝起きしている。
それにはちょっとした事情があった。
♦︎
この世界に召喚されて、騎士たちに城に迎え入れら
れ勇者として誠治が崇められた時に、役立たずの俺
は、その場から引き離されそうになったのだ。
「なっ、なんだよっ!離せって……」
「陸を連れていくなら僕は勇者なんてお断りします。
僕が勇者になるなら陸も一緒でなければ嫌です」
皇帝に啖呵を切った誠治はかっこよかった。
「この者のステータスはあまりにも低い。勇者パー
ティーとしては役不足じゃろう。代わりになる者
をつけよう」
「では、僕は勇者じゃなくていい。今すぐに陸を返
してください。」
そう言って渡された装備から剣を選ぶと、皇帝に突
きつけたのだった。
それからは、用心するように同じ部屋で寝起きする
生活が始まったのだった。
「陸、大丈夫だった?……これって、あいつらに?」
「大丈夫だって……誠治はあんな事言ってよかった
のかよ?」
掴まれた腕が赤くなっているのを見つけると誠治は
心配そうにしてきた。
俺だって男だ。
多少力強く掴まれたくらい、平気だった。
だが、誠治はそれさえも心配そうにしていた。
誠治に護られなくてもいいくらい強くならなくては
と、思った瞬間だった。
「俺も早く強くなるからさ、そしたら一緒に旅に出
ようぜ。こんなところにずっといるなんて苦行だ
ろ?」
笑って見せると、誠治もほっとしたのか微笑んで見
せた。
それからは、宮廷魔法師から色々な魔法を教わった。
簡単な生活魔法から、攻撃魔法。
仕舞いには、最上級魔法までを一年という速さで
習得したのだった。
それを成す為の魔力が無限にあったからだ。
尽きない魔力があるという事は、休みなく練習で
きるという事だった。
食事と睡眠以外を全て魔法の練習に使ってきた。
そして、最初馬鹿にしていた魔法師達を見返す事
に成功したのだった。
そこまで来れば、皇帝も文句は言えなくなった。
そして、魔王討伐に旅立つ事になったのだった。
12
あなたにおすすめの小説
流れる星、どうかお願い
ハル
BL
羽水 結弦(うすい ゆずる)
オメガで高校中退の彼は国内の財閥の一つ、羽水本家の次男、羽水要と番になって約8年
高層マンションに住み、気兼ねなくスーパーで買い物をして好きな料理を食べられる。同じ性の人からすれば恵まれた生活をしている彼
そんな彼が夜、空を眺めて流れ星に祈る願いはただ一つ
”要が幸せになりますように”
オメガバースの世界を舞台にしたアルファ×オメガ
王道な関係の二人が織りなすラブストーリーをお楽しみに!
一応、更新していきますが、修正が入ることは多いので
ちょっと読みづらくなったら申し訳ないですが
お付き合いください!
黒獅子の愛でる花
なこ
BL
レノアール伯爵家次男のサフィアは、伯爵家の中でもとりわけ浮いた存在だ。
中性的で神秘的なその美しさには、誰しもが息を呑んだ。
深い碧眼はどこか憂いを帯びており、見る者を惑わすと言う。
サフィアは密かに、幼馴染の侯爵家三男リヒトと将来を誓い合っていた。
しかし、その誓いを信じて疑うこともなかったサフィアとは裏腹に、リヒトは公爵家へ婿入りしてしまう。
毎日のように愛を囁き続けてきたリヒトの裏切り行為に、サフィアは困惑する。
そんなある日、複雑な想いを抱えて過ごすサフィアの元に、幼い王太子の世話係を打診する知らせが届く。
王太子は、黒獅子と呼ばれ、前国王を王座から引きずり降ろした現王と、その幼馴染である王妃との一人息子だ。
王妃は現在、病で療養中だという。
幼い王太子と、黒獅子の王、王妃の住まう王城で、サフィアはこれまで知ることのなかった様々な感情と直面する。
サフィアと黒獅子の王ライは、二人を取り巻く愛憎の渦に巻き込まれながらも、密かにゆっくりと心を通わせていくが…
【8話完結】僕の大切な人はBLゲームの主人公でした。〜モブは主人公の幸せのためなら、この恋も諦められます〜
キノア9g
BL
転生先は、まさかのBLゲームの世界。
モブであるリセルは、恋を自覚した瞬間、幼馴染・セスがこの世界の“主人公”だと気づいてしまう。
このまま一緒にいても、いつか彼は攻略対象に惹かれていく運命——それでも、今だけは傍にいたい。
「諦める覚悟をしたのに、どうしてこんなにも君が愛おしいんだろう」
恋の終わりを知っているモブと、想いを自覚していく主人公。
甘さと切なさが胸を締めつける、すれ違いから始まる運命の物語。
全8話。
唇を隠して,それでも君に恋したい。
初恋
BL
同性で親友の敦に恋をする主人公は,性別だけでなく,生まれながらの特殊な体質にも悩まされ,けれどその恋心はなくならない。
大きな弊害に様々な苦難を強いられながらも,たった1人に恋し続ける男の子のお話。
拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件
碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。
状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。
「これ…俺、なのか?」
何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。
《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て『運命の相手』を見つけるまでの物語である──。》
────────────
~お知らせ~
※第3話を少し修正しました。
※第5話を少し修正しました。
※第6話を少し修正しました。
※第11話を少し修正しました。
※第19話を少し修正しました。
※第22話を少し修正しました。
※第24話を少し修正しました。
※第25話を少し修正しました。
※第26話を少し修正しました。
※第31話を少し修正しました。
※第32話を少し修正しました。
────────────
※感想(一言だけでも構いません!)、いいね、お気に入り、近況ボードへのコメント、大歓迎です!!
※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる