俺がモテない理由

秋元智也

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第二十九話 不吉な予感

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レイネとモンドの食事が来たところで、俺と誠治
は店を出た。

目的地はこの街の裏山だった。

「昼食の分を買ってから行こうぜ」
「そうだね。陸の好きそうな店見つけたから、今
 から行こうか」
「お?いいじゃん。昼はそこのを買って行こうぜ」

俺の好みをしっかり理解しているので、きっと間
違いないだろう。
実に楽しみだ。

裏山は、結構な斜面になっており、登るのも結構
大変だった。

「こんなところで魔物と出会したら大変だな~」
「そうだね。でも……お出ましかな」
「そう…だな」

『風よ刃になりて敵を穿て、ウインドカッター』

無数のかまいたちが目の前を通り過ぎた。
木もろとも切り裂くと、魔物の残骸だけが残った。

「足場は悪いけど、僕に任せてもいいんだよ?」
「いや。こんな場所で戦うなら速攻決めるべきだ 
 ろ?それに……でかいのがこのってるみたいだ
 ぞ?」
「あぁ、そのようだな。では、次は僕に任せても
 らおうかな~」

誠治が剣を抜くと、大きな巨体が咆哮を上げた。

俺でも倒せるが、ずっと歩き通しで疲労を感じて
いた。

まぁ、誠治は元気そうなので任せてもいいかなと
思う。

なぜだろう。
ここに来てから凄く嫌な予感がしてならなかった。
出来る事なら、今すぐ引き返したいほどの何かが
ある気がする。

あっという間に倒し終えた誠治がこちらに歩いて
来る。

「やっぱりいい運動になっていいね」
「あぁ………」
「陸、どうしたの?」
「あぁ、ちょっと嫌な予感がするんだ。この奥に
 何か感じないか?」
「う~ん、僕は何も感じないけど、陸が言うなら
 行ってみようか?」

行ってもいいのだろうか?
この時の俺には、引き返すという考えはなかった。

嫌な気配のする方へと足を向けると、徐々にジメ
ジメした空気になっていく。

すると、一つの洞窟が見えてきた。

「この中だな……」
「あぁ~なんか僕も分かる気がする。中から嫌なモノ
 の気配がするよ」
「だよな……あいつら呼んでくるか?」
「大丈夫だよ、僕が陸の事護るからさ」

カッコつけて言った台詞だろうけど、言う相手が違う
気がした。

「誠治、お前なぁ~。まぁいいけどさ、そう言う台詞
 は女の前で言った方がカッコいいぜ?」
「う~ん、僕は陸の前だから言ったんだけどな……… 
 ここまで鈍感だと、ちょっと悲しいかな」
「ん?何を冗談言ってんだよ。さぁ、行くぞ」

俺は、聞き流すようにしていた。
本気で間に受けるわけはない。
だって、それを信じてしまったら、まるで誠治が俺に
告白しているみたいじゃないか?

そんな事は、万にひとつもない。
だって、ただの友人なのだから。

そんな事を思いながら奥へと歩みを進めた。

中は何か異臭が漂っている。
よく嗅ぎ慣れた臭いだ。

「これって………まさか…」
「陸も気づいたみたいだね。ここは当たりかも」

誠治は剣を握り締めると、慎重に前を見据えたの
だった。

埃と、鉄の錆びたような臭い。
それは、まるで血が溜まって数日過ぎたようなそ
んな臭いだった。

死体があるなら、腐ってもっと酷い悪臭を放つだ
ろう。
このくらいでは済まない。

となれば、考えられるのは眷属の作成中だった。

眷属を作るのに、血を全部飲み干すらしい。
そして新たに作り替え、再び血を戻す作業が必要
であるらしい。

それにまる一日近くを要するという。

眷属になれば、元の戦闘力にプラスされて全ての
数値が上がるという。

「待ち構えてたりなんてしない……よな?」
「さぁ~ね、でも、それもあり得るかもね」

誠治はそんなに深くは考えないのだろうか?
罪もない人を殺す。
アゾビエンテの眷属になってしまえば、もう自我
もないし、殺すしかないのは分かるが、それでも
俺は……割り切れていないのかもしれない。

野党なら、殺して当然と言える。
でも………彼らは………。

「大丈夫。僕が殺るから」
「誠治……いや、俺も手伝うよ」

見えてきた先には、鎖に繋がれた人間の姿があった。

奴の姿は今は…ない。

俺はホッとすると、誠治と一緒に鎖で繋がれた人に
近づいて行ったのだった。



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