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第三十話 パンパイアの王再び
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俺と誠治は、嫌な予感のする方へ導かれるように向
かって行ったのだった。
そこには埃と鉄分の臭いが充満した場所に辿り着い
た。
中に入ると、そこは広めの牢獄のような場所だった。
中に鎖で繋がれた人間を見つけ近づいていくのだっ
た。
「大丈夫ですか?」
「陸っ……待って…」
「え?どうかしたのか?」
「その人……どこかで……」
ボロボロだったが、体格は良さそうだった。
そばにはゴツい鎧が落ちている。
「ま……まさか攫われた人の中で、この鎧って」
「あぁ、それならもう眷属になっていてもおかし
くはない」
誠治の言葉に、俺は少し離れようとした。
が、その瞬間。
いきなり力強い力で引っ張られる。
気絶しているかと思われたその男が目を覚ました
のだった。
鎖で繋がれているように見えたが、すぐに鎖ごと
引きちぎると腕を大きく振り抜いたのだった。
「うっ……」
一気に掴まれると壁に叩きつけられていた。
一瞬、心臓が止まるかと思うほどの衝撃が身体に
走る。
正気ではないその男は、俺には目もくれず誠治の
方へと走り出したのだった。
「けほっ……げほっ…」
「大丈夫か?陸っ!」
「あぁ、俺は平気……そいつ力強すぎっ……」
「だろうね。でも、僕の敵じゃないよ」
そうだろう。
勇者という称号を受けてから誠治はあの細い腕で
どうしてそこまでと思うほどの怪力の持ち主とな
ったのだ。
誠治も強い。
だが、さすがA級パーティーの剣士。
剣士のスキルを使われるとどうしても防戦一方
になってしまう。
「くそっ……俺もなんとかしなきゃな……」
杖を取り出すと言葉を放つ前に地面に頭を擦り
つけることになった。
「うわっ……くっ……そこにいたのかよっ……」
油断したっ。
後ろにあるはずの気配に全く気づかなかったの
だ。
そう、さっきまで生きた気配はなかったのだ。
攫われて眷属となった他の住民だろう。
俺の詠唱を邪魔した挙句に、地面に押さえつける
とは。
汚れるじゃねーか!まじ許せねー!
だがそんな事を考える間もなく口の中に布が押し
込められた。
「んんっ……」
「お前は黙って見ていろ……それに今からもっと
面白いものが見られるぞ?」
俺たちを嘲笑うかのようにアゾビエンテはスッと
影から出てくると姿を現したのだった。
目の前では冒険者と誠治が一騎打ちをしている。
声を出せない俺は、ただの足手纏いだ。
こうなるのが嫌で、魔法の練習を人一倍してきた。
なのに……。
悔しい……俺が勇者じゃなかったことも。
あいつに……親友に迷惑をかけることも。
ギリっと奥歯を噛むと、必死で考える。
杖はそばに落ちている。
手を伸ばせば届く距離にあるのだ。
詠唱は口の中に詰め込まれたモノのせいで無理だ。
なら……無詠唱。
出来た試しはないが、今やらなくていつやるんだ
よっ!
ちくしょー、頼むから動いてくれ!
強く願うと、魔法の発動を想像する。
何度も無詠唱は練習してきた。
でも、まだ一度も使えてはいなかった。
ここで使えなかったら……ただのクソだろっ!
俺がこのクソッタレな世界に来て、唯一出来るの
が魔法だけなら、尚更やらなきゃだろっ!
集中しろ、俺!
目の前で苦戦している友人にこんな情けない姿を
晒すなんて冗談じゃねーつぅーのっ!!
血が熱くなる。
身体中の血液が沸騰していく気がする。
爆発が起きると、陸を押さえつけていた男の上半
身が吹き飛んだのだった。
「バカなっ……まぁいい。どうせ我は殺せまい」
「ぺっ……余裕ぶってんじゃねーよっ!」
俺は前に立つアゾビエンテを睨みつけた。
「陸っ!すぐにそっちに加勢するから、待ってて
くれ」
「あぁ、でも……俺にもプライドがあるんでね」
さっきの無詠唱での魔法は普通に使った時よりも
火力があった。
もしかすると、もう一度出来か?
いや、やる!俺なら出来る!
心の中で喝を入れると、向き直った。
「俺に出来ないとでも?」
「お前には、我は倒せない。なぜなら×××××だか
らな。残念だが、死ぬことも許さん」
「…?」
俺は眉を歪めた。
今、なんと言った?
思いっきり魔力を練り上げて放つ。
無詠唱で放つと、残った眷属の身体をバラバラに
切り裂いたのだった。
その先にいるアゾビエンテの肉体をも切り裂いた
はず……だった。
バランラになった肉片は蝙蝠の姿になって飛び交
うと、再び人の姿に戻っていた。
「無駄だと言ったはずだが?まぁいい。次の眷属
はお前にしよう……」
「ふざけんなっ……誰がお前なんかのっ……」
俺の言葉がいい終わる前に後ろから剣が貫いてい
た。
「悪いけど、陸は俺のだから。下手な勧誘しない
で欲しいかな?」
眷属にされた冒険者を倒してこちらに参戦した誠
治がアゾビエンテの胸を貫いたのだった。
聖剣で斬られた場所は簡単には回復しない。
闇を生きる者には、弱点と言える聖魔法。
それを存分に受けて作られた聖剣は天敵とも言え
るのだった。
「くっ……我を貫く聖剣とは……だが、それで勝っ
たと思うなよっ……」
バラバラと崩れるように蝙蝠になると、散り散り
になって飛んでいったのだった。
「う~ん、逃しちゃったかな」
「あぁ………そうだな……」
「陸、大丈夫だった?」
「大丈夫に決まってるだろ?俺を誰だと思ってん
だよ。勇者の片腕だろ?」
「うん、そうだね。さぁ、戻ろうか」
「だな………」
いつしか日も落ちていた。
さっきまでの戦いが嘘のように静まり返っていた。
かって行ったのだった。
そこには埃と鉄分の臭いが充満した場所に辿り着い
た。
中に入ると、そこは広めの牢獄のような場所だった。
中に鎖で繋がれた人間を見つけ近づいていくのだっ
た。
「大丈夫ですか?」
「陸っ……待って…」
「え?どうかしたのか?」
「その人……どこかで……」
ボロボロだったが、体格は良さそうだった。
そばにはゴツい鎧が落ちている。
「ま……まさか攫われた人の中で、この鎧って」
「あぁ、それならもう眷属になっていてもおかし
くはない」
誠治の言葉に、俺は少し離れようとした。
が、その瞬間。
いきなり力強い力で引っ張られる。
気絶しているかと思われたその男が目を覚ました
のだった。
鎖で繋がれているように見えたが、すぐに鎖ごと
引きちぎると腕を大きく振り抜いたのだった。
「うっ……」
一気に掴まれると壁に叩きつけられていた。
一瞬、心臓が止まるかと思うほどの衝撃が身体に
走る。
正気ではないその男は、俺には目もくれず誠治の
方へと走り出したのだった。
「けほっ……げほっ…」
「大丈夫か?陸っ!」
「あぁ、俺は平気……そいつ力強すぎっ……」
「だろうね。でも、僕の敵じゃないよ」
そうだろう。
勇者という称号を受けてから誠治はあの細い腕で
どうしてそこまでと思うほどの怪力の持ち主とな
ったのだ。
誠治も強い。
だが、さすがA級パーティーの剣士。
剣士のスキルを使われるとどうしても防戦一方
になってしまう。
「くそっ……俺もなんとかしなきゃな……」
杖を取り出すと言葉を放つ前に地面に頭を擦り
つけることになった。
「うわっ……くっ……そこにいたのかよっ……」
油断したっ。
後ろにあるはずの気配に全く気づかなかったの
だ。
そう、さっきまで生きた気配はなかったのだ。
攫われて眷属となった他の住民だろう。
俺の詠唱を邪魔した挙句に、地面に押さえつける
とは。
汚れるじゃねーか!まじ許せねー!
だがそんな事を考える間もなく口の中に布が押し
込められた。
「んんっ……」
「お前は黙って見ていろ……それに今からもっと
面白いものが見られるぞ?」
俺たちを嘲笑うかのようにアゾビエンテはスッと
影から出てくると姿を現したのだった。
目の前では冒険者と誠治が一騎打ちをしている。
声を出せない俺は、ただの足手纏いだ。
こうなるのが嫌で、魔法の練習を人一倍してきた。
なのに……。
悔しい……俺が勇者じゃなかったことも。
あいつに……親友に迷惑をかけることも。
ギリっと奥歯を噛むと、必死で考える。
杖はそばに落ちている。
手を伸ばせば届く距離にあるのだ。
詠唱は口の中に詰め込まれたモノのせいで無理だ。
なら……無詠唱。
出来た試しはないが、今やらなくていつやるんだ
よっ!
ちくしょー、頼むから動いてくれ!
強く願うと、魔法の発動を想像する。
何度も無詠唱は練習してきた。
でも、まだ一度も使えてはいなかった。
ここで使えなかったら……ただのクソだろっ!
俺がこのクソッタレな世界に来て、唯一出来るの
が魔法だけなら、尚更やらなきゃだろっ!
集中しろ、俺!
目の前で苦戦している友人にこんな情けない姿を
晒すなんて冗談じゃねーつぅーのっ!!
血が熱くなる。
身体中の血液が沸騰していく気がする。
爆発が起きると、陸を押さえつけていた男の上半
身が吹き飛んだのだった。
「バカなっ……まぁいい。どうせ我は殺せまい」
「ぺっ……余裕ぶってんじゃねーよっ!」
俺は前に立つアゾビエンテを睨みつけた。
「陸っ!すぐにそっちに加勢するから、待ってて
くれ」
「あぁ、でも……俺にもプライドがあるんでね」
さっきの無詠唱での魔法は普通に使った時よりも
火力があった。
もしかすると、もう一度出来か?
いや、やる!俺なら出来る!
心の中で喝を入れると、向き直った。
「俺に出来ないとでも?」
「お前には、我は倒せない。なぜなら×××××だか
らな。残念だが、死ぬことも許さん」
「…?」
俺は眉を歪めた。
今、なんと言った?
思いっきり魔力を練り上げて放つ。
無詠唱で放つと、残った眷属の身体をバラバラに
切り裂いたのだった。
その先にいるアゾビエンテの肉体をも切り裂いた
はず……だった。
バランラになった肉片は蝙蝠の姿になって飛び交
うと、再び人の姿に戻っていた。
「無駄だと言ったはずだが?まぁいい。次の眷属
はお前にしよう……」
「ふざけんなっ……誰がお前なんかのっ……」
俺の言葉がいい終わる前に後ろから剣が貫いてい
た。
「悪いけど、陸は俺のだから。下手な勧誘しない
で欲しいかな?」
眷属にされた冒険者を倒してこちらに参戦した誠
治がアゾビエンテの胸を貫いたのだった。
聖剣で斬られた場所は簡単には回復しない。
闇を生きる者には、弱点と言える聖魔法。
それを存分に受けて作られた聖剣は天敵とも言え
るのだった。
「くっ……我を貫く聖剣とは……だが、それで勝っ
たと思うなよっ……」
バラバラと崩れるように蝙蝠になると、散り散り
になって飛んでいったのだった。
「う~ん、逃しちゃったかな」
「あぁ………そうだな……」
「陸、大丈夫だった?」
「大丈夫に決まってるだろ?俺を誰だと思ってん
だよ。勇者の片腕だろ?」
「うん、そうだね。さぁ、戻ろうか」
「だな………」
いつしか日も落ちていた。
さっきまでの戦いが嘘のように静まり返っていた。
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