50 / 82
第五十話 取り引き
しおりを挟む
和平を約束してからでは、魔族を殺せない。
平和を脅かすような重大な犯罪を犯してからやっ
と動く事が出来るようになる。
だが、それでは遅いのだ。
逃げ足が早く、人の多いところに潜伏されたら、
こちらも手が出せないのだった。
だから、まだ魔王に会う前に決着をつける必要が
あったのだった。
「ナオ、あんたの会ったバンパイアはアゾビエン
テって言って魔王軍の配下で俺はちょっと私怨
があるんだ。魔王に会いに行く前に始末だけし
ておきたいんでね。手伝ってくれるか?」
「どうして私が?」
「だって、奴の心臓の位置が見えるだろ?」
「………」
どうして知っている?
という表情を浮かべたが、すぐに誠治に捕まった
ままなのを思い出し、諦めるようにため息を吐いた。
「わかったわよ。手伝えばいいんでしょう?魔王様
に会いに行く時に私も連れて行くっていうのは、
本当なんでしょうね?」
「もちろんだ。勇者は嘘は言わないからな」
「それは僕から約束しよう」
陸の言葉に誠治が頷いたのだった。
ナオの意見は、この街では絶対なのだそうだ。
その理由が、ナオの母はこの街を治めるサキュバ
スの長なのだという。
それなら、納得がいく。
ナオが護られた存在なのは、力だけじゃなく身分
も関係しているという事だった。
「嘘を見抜けるついでに、大事な人はいるか?」
「何を言ってるのよ?この街の仲間全員に決まっ
てるじゃない。人にはわからないでしょうね」
「いや、それならこの街の人の魅了を解いて逃げ
るように言ってくれないか?せめて、魔王と会
うまででいい。それまで身を隠すように説得し
てくれ。」
「どうしてそんな……」
「この街はお前らの食事場だろ?だが、あまりに
目立ちすぎるんだ。もっと見つからない場所に
行って、魔族と人間の同盟が成るまで身を隠し
て欲しい。そうしないと無駄な戦いに駆り出さ
れることになる」
もし、今生き残っても、後で戦いに出されれば意
味がないのだ。
前世はここで皆殺しにしたが、もし生きていれば
次の帝国軍との小競り合いに駆り出されるだろう。
「それは……戦うなって事?」
「あぁ、そういう事だ。先頭に立たされて戦える
のか?魔眼を使うのに前に立たされて、使い捨
てられるんだぞ?それでもいいのか?」
「………」
一通り起こりうる事を説明すると、ナオは俺の言
葉を信じたみたいだった。
嘘を見抜く魔眼のせいだろう。
全く嘘ではないのだから、信じるしかなかっただ
けなのかもしれないが、それでもこの街を捨てて
逃げる事を選んでくれたようだった。
「分かったわ。私以外はここを離れるわ」
「魅了の影響は?」
「1日もすれば切れるわ。常にかけ続ける必要が
あったから……もう、離して貰える?」
誠治がずっとつかんでいたせいか腕が真っ赤に
なっていた。
「陸、本当に信じていいの?」
「あぁ。構わない。魔王に会えばこの旅も終わ
るんだ」
「……陸が言う通り魔王が戦いを嫌っていても
幹部も同じとは限らなくないか?」
「あぁ、そうだ。だから、そいつらも話して分
かってくれるならそれでいい。だが、通じな
いなら………」
殺すしかない。
と付け加えずとも理解した事だろう。
数日を要したが、街を奪還する事に成功したの
だった。
それから、サキュバス達はどこか安全な場所へ
と拠点を移したのだった。
そして、サキュバスという種族が魔王軍として
召喚されたと言って来た魔王軍の幹部であるバン
パイア、アゾビエンテに会う日が来たのだった。
ナオに直接会ってもらって心臓が本人の元にあ
るのかを見て貰う事になった。
こんな早く雪辱を晴らす時が来るとは思わなか
った。
俺が死んだ原因を殺せるとは……。
俺たちの顔がバレているので静かに物陰に隠れ
る事になった。
こうして俺たちは隠れて待機したのだった。
平和を脅かすような重大な犯罪を犯してからやっ
と動く事が出来るようになる。
だが、それでは遅いのだ。
逃げ足が早く、人の多いところに潜伏されたら、
こちらも手が出せないのだった。
だから、まだ魔王に会う前に決着をつける必要が
あったのだった。
「ナオ、あんたの会ったバンパイアはアゾビエン
テって言って魔王軍の配下で俺はちょっと私怨
があるんだ。魔王に会いに行く前に始末だけし
ておきたいんでね。手伝ってくれるか?」
「どうして私が?」
「だって、奴の心臓の位置が見えるだろ?」
「………」
どうして知っている?
という表情を浮かべたが、すぐに誠治に捕まった
ままなのを思い出し、諦めるようにため息を吐いた。
「わかったわよ。手伝えばいいんでしょう?魔王様
に会いに行く時に私も連れて行くっていうのは、
本当なんでしょうね?」
「もちろんだ。勇者は嘘は言わないからな」
「それは僕から約束しよう」
陸の言葉に誠治が頷いたのだった。
ナオの意見は、この街では絶対なのだそうだ。
その理由が、ナオの母はこの街を治めるサキュバ
スの長なのだという。
それなら、納得がいく。
ナオが護られた存在なのは、力だけじゃなく身分
も関係しているという事だった。
「嘘を見抜けるついでに、大事な人はいるか?」
「何を言ってるのよ?この街の仲間全員に決まっ
てるじゃない。人にはわからないでしょうね」
「いや、それならこの街の人の魅了を解いて逃げ
るように言ってくれないか?せめて、魔王と会
うまででいい。それまで身を隠すように説得し
てくれ。」
「どうしてそんな……」
「この街はお前らの食事場だろ?だが、あまりに
目立ちすぎるんだ。もっと見つからない場所に
行って、魔族と人間の同盟が成るまで身を隠し
て欲しい。そうしないと無駄な戦いに駆り出さ
れることになる」
もし、今生き残っても、後で戦いに出されれば意
味がないのだ。
前世はここで皆殺しにしたが、もし生きていれば
次の帝国軍との小競り合いに駆り出されるだろう。
「それは……戦うなって事?」
「あぁ、そういう事だ。先頭に立たされて戦える
のか?魔眼を使うのに前に立たされて、使い捨
てられるんだぞ?それでもいいのか?」
「………」
一通り起こりうる事を説明すると、ナオは俺の言
葉を信じたみたいだった。
嘘を見抜く魔眼のせいだろう。
全く嘘ではないのだから、信じるしかなかっただ
けなのかもしれないが、それでもこの街を捨てて
逃げる事を選んでくれたようだった。
「分かったわ。私以外はここを離れるわ」
「魅了の影響は?」
「1日もすれば切れるわ。常にかけ続ける必要が
あったから……もう、離して貰える?」
誠治がずっとつかんでいたせいか腕が真っ赤に
なっていた。
「陸、本当に信じていいの?」
「あぁ。構わない。魔王に会えばこの旅も終わ
るんだ」
「……陸が言う通り魔王が戦いを嫌っていても
幹部も同じとは限らなくないか?」
「あぁ、そうだ。だから、そいつらも話して分
かってくれるならそれでいい。だが、通じな
いなら………」
殺すしかない。
と付け加えずとも理解した事だろう。
数日を要したが、街を奪還する事に成功したの
だった。
それから、サキュバス達はどこか安全な場所へ
と拠点を移したのだった。
そして、サキュバスという種族が魔王軍として
召喚されたと言って来た魔王軍の幹部であるバン
パイア、アゾビエンテに会う日が来たのだった。
ナオに直接会ってもらって心臓が本人の元にあ
るのかを見て貰う事になった。
こんな早く雪辱を晴らす時が来るとは思わなか
った。
俺が死んだ原因を殺せるとは……。
俺たちの顔がバレているので静かに物陰に隠れ
る事になった。
こうして俺たちは隠れて待機したのだった。
32
あなたにおすすめの小説
事なかれ主義の回廊
由紀菜
BL
大学生の藤咲啓嗣は通学中に事故に遭い、知らない世界で転生する。大貴族の次男ランバート=アルフレイドとして初等部入学前から人生をやり直し、学園で出会う無愛想で大人顔負けの魔法の実力者であるヨアゼルン=フィアラルドと親友になるが、彼に隠された力に翻弄され次々と襲ってくる災難に巻き込まれる。終いには、国家の存続を揺るがす大事件にまで発展することに・・・
多分嫌いで大好きで
ooo
BL
オメガの受けが消防士の攻めと出会って幸せになったり苦しくなったり、普通の幸せを掴むまでのお話。
消防士×短大生のち社会人
(攻め)
成瀬廉(31)
身長180cm
一見もさっとしているがいかにも沼って感じの見た目。
(受け)
崎野咲久(19)
身長169cm
黒髪で特に目立った容姿でもないが、顔はいい方だと思う。存在感は薄いと思う。
オメガバースの世界線。メジャーなオメガバなので特に説明なしに始まります( . .)"
君の中に入りたい
下井理佐
BL
【完結しました!】
霊媒体質のせいで病弱になってしまった高校生・氷室翠(ひむろすい)は、ある日街中で霊を取り込んでしまい苦しんでいるところを隣のクラスの神原春渡(かんばらはると)に助けられる。神原の特殊な力に気付いた氷室は、神原に友達になってほしいと願う。
冷酷なミューズ
キザキ ケイ
BL
画家を夢見て都会へやってきた青年シムは、「体液が絵の具に変わる」という特殊な体質を生かし、貧乏暮らしながらも毎日絵を描いて過ごしている。
誰かに知られれば気持ち悪いと言われ、絵を売ることもできなくなる。そう考えるシムは体質を誰にも明かさなかった。
しかしある日、シムの絵を見出した画商・ブレイズに体質のことがばれてしまい、二人の関係は大きく変化していく。
あなたの家族にしてください
秋月真鳥
BL
ヒート事故で番ってしまったサイモンとティエリー。
情報部所属のサイモン・ジュネはアルファで、優秀な警察官だ。
闇オークションでオメガが売りに出されるという情報を得たサイモンは、チームの一員としてオークション会場に潜入捜査に行く。
そこで出会った長身で逞しくも美しいオメガ、ティエリー・クルーゾーのヒートにあてられて、サイモンはティエリーと番ってしまう。
サイモンはオメガのフェロモンに強い体質で、強い抑制剤も服用していたし、緊急用の抑制剤も打っていた。
対するティエリーはフェロモンがほとんど感じられないくらいフェロモンの薄いオメガだった。
それなのに、なぜ。
番にしてしまった責任を取ってサイモンはティエリーと結婚する。
一緒に過ごすうちにサイモンはティエリーの物静かで寂しげな様子に惹かれて愛してしまう。
ティエリーの方も誠実で優しいサイモンを愛してしまう。しかし、サイモンは責任感だけで自分と結婚したとティエリーは思い込んで苦悩する。
すれ違う運命の番が家族になるまでの海外ドラマ風オメガバースBLストーリー。
※奇数話が攻め視点で、偶数話が受け視点です。
※エブリスタ、ムーンライトノベルズ、ネオページにも掲載しています。
黒獅子の愛でる花
なこ
BL
レノアール伯爵家次男のサフィアは、伯爵家の中でもとりわけ浮いた存在だ。
中性的で神秘的なその美しさには、誰しもが息を呑んだ。
深い碧眼はどこか憂いを帯びており、見る者を惑わすと言う。
サフィアは密かに、幼馴染の侯爵家三男リヒトと将来を誓い合っていた。
しかし、その誓いを信じて疑うこともなかったサフィアとは裏腹に、リヒトは公爵家へ婿入りしてしまう。
毎日のように愛を囁き続けてきたリヒトの裏切り行為に、サフィアは困惑する。
そんなある日、複雑な想いを抱えて過ごすサフィアの元に、幼い王太子の世話係を打診する知らせが届く。
王太子は、黒獅子と呼ばれ、前国王を王座から引きずり降ろした現王と、その幼馴染である王妃との一人息子だ。
王妃は現在、病で療養中だという。
幼い王太子と、黒獅子の王、王妃の住まう王城で、サフィアはこれまで知ることのなかった様々な感情と直面する。
サフィアと黒獅子の王ライは、二人を取り巻く愛憎の渦に巻き込まれながらも、密かにゆっくりと心を通わせていくが…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる