俺がモテない理由

秋元智也

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第五十二話 敵の弱点

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眷属を前にすると、先ほどまで大口を叩いていた
男は後ろに下がっていった。

誠治が先頭を切って前に出ると、大きな背中に背
負った剣を振り回したのだった。
身体に似合わない大きさだったが、軽々と振り回
していた。

後ろで見ているこっちは、あまりにも人離れして
いるように見える。

俺は木に登ると、全員が見える位置につく。
魔法で足止めをする為だった。

後方で逃げようとしている男を見つけると氷の礫
を精製すると、一気に降らせた。

退路を断つ為だった。

だが、それを器用に避けると、アゾビエンテはそ
のまま、消えていった。

「くそっ……そう簡単じゃないか……」

もし倒せていても、心臓がここに無いので、どこ
かで復活してしまう。

眷属の中の誰かか、もしくは安全な場所にいる誰
かに心臓を預けたのだろう。

それにしても、あの男の顔に俺は見覚えがある。
きっとどこかで会っていると思う……。

でも。どこで?

後方にいた眷属達を壁で囲うと、逃げられないよ
うにして、誠治とモンドに加勢したのだった。

レイネは怪我人が出ない限りはただいるだけだ。


俺はレイネの治療を受けた事がない。
前に出て戦う職業では無いし、後方での援護がメ
インではあるが、怪我をしないわけではない。

だが、頑なに俺には回復をかけたがらない。

それが、回復阻害の効果なのだとしたら、なぜ
俺に呪術がかかっていた事を言わなかったのだ
ろうか?

確かに大怪我しなかったから、自分で錬金術を
勉強してポーションくらいは作れるようになっ
た。

それは、自分の為でもあるし、各個人で持って
いればレイネのところに戻って回復を待つ必要
がないからだった。

記憶はある。
だから今回も材料さえあれば、簡単な回復ポー
ションくらいは自分で作れるのだった。

「陸、奴はいたかい?」
「悪い、逃した……、奴の心臓はなかったんだ
 よな?」

誠治が戻って来ると、話しかけてきた。
ナオは残念そうに首を振った。

「ないわ。あの身体も、操っているだけね」
「だろうな……でも、どこかで見た覚えがある
 人間だったんだよな……」
「そうかな?僕は知らないけど…」
「俺も見た覚えはないな」

誠治もモンドも見た記憶がないとなると、前世
で会ったと言う事だろう。

となると、もう少し後となる。
このあとは、確かこの街の報告をしにギルドへ
向かって、それから……。

「あっ………!」
「陸、どうしたの?」
「そうだ!あいつの顔、どこかで見た事があった
 と思ったんだ!ツィーゲオの領主だ!」

そうだった。
このあと立ち寄る街の領主に似ていたのだ。

あそこは魔族側に肩入れしており、ギルドからも
色々と探って欲しいと依頼される予定なのだ。

だが実際は、領主邸にいた人間はほとんどがバン
パイアの眷属にされており、手遅れだったのだ。

だが、その時に全員始末したのだが、アゾビエン
テの心臓はそこにはなかった。

後に妻と子供はどさくさに紛れて逃げていたと聞
いた。
まさか子供か妻に?
とは考えたが、結局分からず仕舞いで終わった。

だが、今度は違う。
ナオがいる。

そう言えば、ツィーゲオい行く前に途中で通る南
の街では、もうすぐユニコーンの番が見られる時
期だった。

人里に降りて来て、姿を見られる唯一の時期なの
だ。

この時期になると、一目見ようと集まった観光客
で賑わうという。
その街の名をエクサレルという。

「もうすぐユニコーンが見られるよな……」

ポツリと言葉を漏らした俺のに誠治は嬉しそうに
聞いて来たのだった。

「なら、一緒に観に行こうか?」
「別に俺は興味ねーぞ?」
「そんな事言わずにさ、ギルドへの報告もあるし
 丁度いいんじゃない?」

確かにタイミング的にはいい。
それに、バンパイアの弱点でもある。

ユニコーンは聖なる乙女を好み。
処女しか触れる事を許さなかった。

穢れを嫌い、バンパイアの血を嫌う。
その為、バンパイアを見ると攻撃的になるのだ。




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