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第七十九話 水の変化と魔族の不安
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魔王城では、忙しなく走り回る影があった。
「魔王様、魔王様!もうすでに麓まで勇者どもが
きております」
「そうか………意外と早かったな…」
「何を呑気に……このままでは、いずれここに辿
り着くでしょう。早く次の手を打たねば……」
この城の主人を補佐している魔族であろう者は忙
しなく羽をバタバタと動かしていた。
身長が小さいせいで話す時は飛びながらでないと
目線を合わせられないから忙しなく飛んでいるの
だ。
今までの襲撃の報告をしながらも、慌てる様子で
魔王を急かしていた。
「先ほど、オークの隊を向かわせましたが、全滅
との事。ウルフ部隊は到着前に殲滅させられた
との事。サキュバスどもは未だ消息不明。街ぐ
るみで攻略するはずが、傷一つ付けれぬとは……」
「そういえば、バンパイアの生き残りがいただろ
う?あやつはどうした?」
「その者なら、先日討伐されたと聞いております」
「くっくっく……やはりな……」
魔王と呼ばれた者はゆっくりと城の最上階から眼
下を見下ろしたのだった。
何もない、ただの荒地を眺めながら思う。
この不毛な戦いはいつ終わるのかと……ーーー。
♦︎
その頃、日が昇ってやっと出発する事にした勇者
一行はそのまま進路を急遽北へと向けた。
目的地は魔王城の裏手にあるという泉だった。
ここでの生活用水といえば、裏手にあるという泉
一択だと思われていた。
生きていく上でどうしても水は不可欠だからだ。
勿論魔王とて例外ではない。
そこで、一番簡単な交渉方法を思いついたのだ。
泉の側にはリザードマンの集落があったはずだ。
彼らは、水がなければ生活できない。
そして、水こそが彼らの生きる理由でもあった。
彼らを無力化するには、泉の水を汚染してやれば
いいのだ。
そして、あとは交渉次第というわけだった。
多分、今回も魔王は交渉を提案してくるだろう。
もし、違っていた時の保険の為に、ここを占拠す
るのだ。
魔王城を迂回すると、裏手まで回り込んだ。
魔族領にしては綺麗な泉だった。
「さぁ、あとは彼らには邪魔されない為に…っと。
水の精霊よ、今一度ここに力を貸せ、水質変化!」
さっきまで無色透明だった泉の色が急に真っ赤にな
っていく。
ドス黒い赤へと変化すると、誰もが顔を顰めた。
「陸、これはいつ戻るの?」
「3日間だ。それに色は変わっても飲めるぞ?」
「うん……そうなんだろうけど…ちょっと見た目
がね……」
誠治もモンドも泉に手を入れるのを躊躇った。
俺は普通に手を入れるとバシャバシャと手を洗っ
た。
ついでに少し救って飲んでみる。
味には問題なかった。
ただ色が変わっただけなのだ。
だが、それを知らない人からしたら、これは一大
事だろう。
今頃、慌てている事だろう。
「さぁ~、交渉に行こうか」
「そうだね。」
勇者パーティーは、魔王城へと堂々と乗り込む事
にしたのだった。
魔王城では、水の色が赤黒く変色した事で、水の
使用を規制した。
そして、これが唯一の水源だったので、大混乱に
なっていたのだった。
「魔王様、魔王様!もうすでに麓まで勇者どもが
きております」
「そうか………意外と早かったな…」
「何を呑気に……このままでは、いずれここに辿
り着くでしょう。早く次の手を打たねば……」
この城の主人を補佐している魔族であろう者は忙
しなく羽をバタバタと動かしていた。
身長が小さいせいで話す時は飛びながらでないと
目線を合わせられないから忙しなく飛んでいるの
だ。
今までの襲撃の報告をしながらも、慌てる様子で
魔王を急かしていた。
「先ほど、オークの隊を向かわせましたが、全滅
との事。ウルフ部隊は到着前に殲滅させられた
との事。サキュバスどもは未だ消息不明。街ぐ
るみで攻略するはずが、傷一つ付けれぬとは……」
「そういえば、バンパイアの生き残りがいただろ
う?あやつはどうした?」
「その者なら、先日討伐されたと聞いております」
「くっくっく……やはりな……」
魔王と呼ばれた者はゆっくりと城の最上階から眼
下を見下ろしたのだった。
何もない、ただの荒地を眺めながら思う。
この不毛な戦いはいつ終わるのかと……ーーー。
♦︎
その頃、日が昇ってやっと出発する事にした勇者
一行はそのまま進路を急遽北へと向けた。
目的地は魔王城の裏手にあるという泉だった。
ここでの生活用水といえば、裏手にあるという泉
一択だと思われていた。
生きていく上でどうしても水は不可欠だからだ。
勿論魔王とて例外ではない。
そこで、一番簡単な交渉方法を思いついたのだ。
泉の側にはリザードマンの集落があったはずだ。
彼らは、水がなければ生活できない。
そして、水こそが彼らの生きる理由でもあった。
彼らを無力化するには、泉の水を汚染してやれば
いいのだ。
そして、あとは交渉次第というわけだった。
多分、今回も魔王は交渉を提案してくるだろう。
もし、違っていた時の保険の為に、ここを占拠す
るのだ。
魔王城を迂回すると、裏手まで回り込んだ。
魔族領にしては綺麗な泉だった。
「さぁ、あとは彼らには邪魔されない為に…っと。
水の精霊よ、今一度ここに力を貸せ、水質変化!」
さっきまで無色透明だった泉の色が急に真っ赤にな
っていく。
ドス黒い赤へと変化すると、誰もが顔を顰めた。
「陸、これはいつ戻るの?」
「3日間だ。それに色は変わっても飲めるぞ?」
「うん……そうなんだろうけど…ちょっと見た目
がね……」
誠治もモンドも泉に手を入れるのを躊躇った。
俺は普通に手を入れるとバシャバシャと手を洗っ
た。
ついでに少し救って飲んでみる。
味には問題なかった。
ただ色が変わっただけなのだ。
だが、それを知らない人からしたら、これは一大
事だろう。
今頃、慌てている事だろう。
「さぁ~、交渉に行こうか」
「そうだね。」
勇者パーティーは、魔王城へと堂々と乗り込む事
にしたのだった。
魔王城では、水の色が赤黒く変色した事で、水の
使用を規制した。
そして、これが唯一の水源だったので、大混乱に
なっていたのだった。
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