間違って村娘が勇者パーティーにいます

秋元智也

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第十三話 視線

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テントを張る時も、食事の時も常に視線がまとわりついていた。

「春?どうした?」
「あのさ~馭者ってなんでずっとこっち見てんだ?さっきからずっと見られ
 てて気持ち悪いんだよな~。」
「馭者?ちょっと言ってこようか?」
「いや、いい…まだ先もあるしぎくしゃくするのってよくねーし…」
「春は辛くない?」
「俺が女だからか?それならあいつも女だよな?」

あいつというのは聖女の事だった。
こちらの世界ではあがめられる対象らしいが、性格はいまいち僻みっぽく思
えてならない。

「そういえば…あの僻み女どこ行ったんだ?」
「僻み女って誰の事ですの?せっかくそこに泉を見つけて来たっていうのに…
 教える必要ありませんわね?」
「お!マジで?水浴びして~、さっぱりしてーし、どこだ?」
「ふんっ…教えてほしければ少しは態度を改めて欲しですわ」
「どこにあるんですか?俺も行きたいです」

椎名が言うと顔を赤らめてすぐに場所を吐いた。

「すぐそこじゃねーか…早く言えってのっ!」
「そうだね…春先に入る?」
「一緒でいいだろ?何か問題あるか?」
「なっ…また君は…/////」

春は何も気にしないとでも言うように泉に来ると服を脱ぎ出した。
下着も全部取り払うと中に入っていく。

「つっめて~…でも、気持ちいいぞ~、椎名も早く入れって!」
「春は少し恥じらいを持って欲しいものだよ…」

ため息を吐くと、椎名も服を脱いだ。
可愛い顔の女性が全裸で手招きされたら流石に身がもたない。
そんな事考えもしないであろう春は平気で目の前でも脱いでくる。

「そういやさ~サラのやつ、よくこの泉知ってたよな?地図には書いてなかった
 し…俺じゃ気づかねーしさ~」
「言われてみればそうだな…誰かに聞いたとか?」
「誰にだよ…」
「馭者とか?ここには俺ら以外に馭者しかいない…」

言いかけた言葉を止めるといきなり椎名が立ち上がると出て行く。

「おい、どうしたんだよ…」

後を追うように春も泉から出ると着替えの所に馭者が立っていた。

「そこで何をしている?」
「あぁ、野党や、モンスターが出ないか確認しておりました。」

椎名は春を背中に隠すように立つと睨みつけた。

「覗きは趣味なのか?」
「めっそうもない…ただ、安全を確認する為に見にきた次第です」
「なら、その手に持った下着は置いていけよ?」

椎名の指摘で気づいたが馭者の手には春の身につけていた下着が握られていた。

テントに戻ってからも何かと視線を感じた。

「やっぱりあいつおかしいよな~」
「あぁ、春。この世界では絶対に一人になるなよ?」
「椎名が守ってくれるって?」
「もちろん」
「心強いな…でも、俺だって強くなって一緒に戦えるように…なるから…すぅ~」

寝息が聞こえ始めると椎名の横ですっかり眠っていた。

「少しは警戒しろって…まぁ、いいか。」

聖女に胸を押し当てられた時は平然としていられたのに、相手が春となるとどう
してもドキドキしてしまう。
胸もないし、態度もでかい。
ただそれだけなのに…見た目のせいかな?

あどけない可愛さがある。
ほっとけないというか、守ってやりたくなるような儚げな感じがするのだ。
中身が男だと知っているのは椎名位なものだと思う。

「やばいな…勃ちそ…」

狭いテントの中であまりにピッタリとくっついてくる春に少しイラつきを覚えた。
朝早くに泉に行くと誰もいないところで抜いてくると、すぐに戻ってきた。

まだぐっすりと眠っている春を見ながら鼻を思いっきり摘んだ。

「んっ…う~~~…」

苦しそうにもがくとパチっと目が開いた。

「おいっ、普通に起こせねーのかよ…」
「いいだろ?寝坊してるやつに言われたくねーよ。起きるぞ?」
「う~~~。」

まだ何か言いたげだったが、そのままテントを片付けるとイベントリにしまう。
食事を済ませるとダンジョンへと向かう。
やっとついたダンジョンは山の麓に空いた洞窟のような見た目だった。

大きな鉄の扉があり、そこだけ歪に見えた。

「あの扉の中にダンジョンが広がってるのか?」
「そうですわ。中では雑魚モンスターがたくさんいて、ボスを倒せば奥の部屋にお
 宝ができますわ。ただダンジョン内は狭く囲まれると大変ですわ」
「なら、一気に攻め込めばいいだろ?」

春の言葉に聖女は眉を顰めた。

「足手まといはここで待っているがいいわ。馭者さん、この方をお願いしますわ」
「はい、安全な場所でお待ちしています。さぁ~こちらに」

春の手を取ろうとして勇者によって遮られた。

「春に触れるのを許した覚えはないけど?」
「誰が留守番するって行ったんだよ。俺も行くぞ?」
「何を言ってますの?あなたなんか来ても迷惑ですわ」

必死に聖女が訴えるが、聞くつもりもない。

「だから~中に誰が入るって言ったんだよ。聖女って魔法使えるんだろ?それで
 おびき寄せればいいじゃん?簡単だろ?」

春が言うと、不思議そうに首を傾げられた。

「ダンジョンって狭いんだろ?椎名が強いんだから狭いところで戦えば、俺らは
 安全だろ?」

そういうと入り口へスタスタと歩いていくとドアの前でアイテムを取り出した。
逃げる時に使う煙を発生させるアイテムをたくさん取り出すと全部つけて中に放
りこんだ。

「おい、風で奥まで行くようにしろよ。」
「命令しないで欲しいですわ」
「サラさん、お願いします」

勇者に言われると渋々魔法を唱えた。

次から次へと煙を送り込み続けると中からすごい勢いで足音が響いてきた。

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