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第十五話 聖女の憂鬱
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順調にダンジョン攻略が進み、帰路に着いた。
来た時と違ってスムーズに帰る事ができた。
野党の死体も兵に報告しなくてはならないと聖女は言った。
そして帰りに見つけた骨となっていた奴隷の首輪をつけた死体…。
それはあの時の逃げた女性達なのだろうか?
「春…自分を責めるなよ?」
「なんだよ…それ」
椎名は落ち込んでいる春を心配して言っている。
「俺は大丈夫だって…ただ、もしかしたら俺もあんな風になってたんだなって
思うとな…結構ゾッとするな!ははっ…」
「怖かったら我慢しなくていいんだぞ?」
「怖ぇーよ。でも、それだけじゃねーんだ…それに、レベルも上がったし俺に
も出来る事探さないとな!」
明るく振る舞うと元気そうに笑いかけてみる。
椎名には弱みを見せたくない。
これ以上格好悪いところを親友に見せられないという思いから少し見栄を張る
ように強がって見せる。
多分それさえもきっと、バレてるだろう。
それでも、男としては気張りたい時もある。
そんな二人のやり取りを羨ましそうに聖女は眺めていた。
聖女というものは皆からちやほらされているのが当たり前だったのだ。
なのに、勇者様ときたら最初から塩対応だった。
しかも、最初は美しさに驚いていただろうに、街の広場の奴隷に一目惚れし
たのか、いきなり奴隷を買って首輪まで外させた。
それにあろう事か寝室まで一緒なうえに、一緒に沐浴までしていると言うの
だ。
初日に女をあてがったが朝にはぐるぐる巻きで廊下に放置されていた。
好みを押し図ろうとしたのだが、逆効果だった。
なので今度は奴隷を使用人に襲わせたのだが、それも怒りを買うだけだった。
それ以降は、もう二人の間に入る隙間すら無くなってしまった気がする。
王様の命令では勇者様の心を掴んで自分だけに惚れさせろという密命が出て
いた。
そうしないと、魔王討伐後、勇者が壊れてしまうと。
それがどんな意味を持つかは分からないが、命令とあらば、従うしかないの
だが…。
今のままだと、それも不可能だった。
どうしてもこの村娘が邪魔なのだ。
自分は男だと言っているが、そんな嘘は誰が見ても明らかだった。
馭者も、聖女のサラではなく、この奴隷の方ばかりを気にかけていた。
いっそ水浴びでも、覗きに行けばいいだろうと提案したら、早速行ったよう
だ。
しかし、しばらくすると顔を真っ青にしてかえってきていた。
勇者様の機嫌の悪さを見れば一目瞭然だった。
そして一番腑に落ちないのは、ダンジョン攻略だった。
ダンジョンに入って戦うものだと思っていたのに、入り口で煙を焚いて、あ
とは待つだけ。
そして中で爆発が起きるとぼろぼろになったモンスターが命からがら出てく
るのを待つだけ。
こんな戦い方聞いた事もなかった。
ボスも一瞬で勇者様が倒すとあとは宝箱をいただくだけで終わってしまった。
それも、目的の杖の所持者が奴隷女になるなど、どうしても許せなかった。
「本当にあり得ませんわ…どうしてこんな事になるんですのっ!」
「まだ言ってんのか?仕方ねーだろ、起きちまった事をどうにかできねーん
だから」
その後のこのでかい態度も気に入らないようだった。
聖女なのに…聖女と呼ばれる崇められないといけないのに…。
作り続けたキャラが崩壊しそうだった。
杖の所有権を奪った挙句、謝りもしないし、今は勇者様といちゃつくし、
腹立たしい事、この上ない。
「この事をどうやって城に報告すればいいんですの!まさか杖に所有者を
決められてしまいましたとでも言えといいますの?」
怒りのまま捲し立てると怒りが抑えきれない。
「そう騒ぐなって~綺麗な顔が残念だぞ?」
「あなたに言われたくないですわ!この奴隷風情がッ…」
「聖女でも、これ以上春の事を言うようなら…もうついて来なくていいよ。
今回で終わりだ」
「ちょっ、待って下さい。わたくしはそんなつもりは…」
「言ったよな?春の事を奴隷と言うなって?城へは俺が報告に行くから教会
へ戻ってくれていいよ」
何の感情もない言葉に息が詰まるかと思った。
聖女なのに、機嫌を取るどころか一緒に来なくていいと言われてしまった
のだ。
これほど屈辱的なことはないし、惨めな事もなかった。
拒否するのはいつも聖女側であってその他ではない。
焦れば焦るほどに、勇者様の機嫌は悪くなってしまう。
取り繕う事も出来ず、そのまま王都へと着いてしまった。
「お疲れ様、春行こう」
「あぁ、そうだな…本当にいいのか?回復職だろ?」
「いいよ。今回も俺怪我してないし。怪我しなければ回復職って必要ない
だろ?」
「まぁ~そうだけど…椎名がいいなら俺は構わないけど…」
「気になる?春の事いつも嫌がらせしてたのに?」
「まぁ~そうなんだけどさ。NPCって自分がって気持ちが大きいのかなっ
て…いや、もう、NPCってより現実の人間と思った方がいいのかな~」
春はこの世界を現実だと受け入れているようだった。
でも、椎名には未だにゲームの一部にしか思えなかった。
予想以上に強い身体に、弱い敵。
モンスターと言っても難なく倒せるレベルなせいか余計にそう思ってしまう
のだろう。
ここまで実力に差があると回復など必要としないと過信してしまうほどだ。
来た時と違ってスムーズに帰る事ができた。
野党の死体も兵に報告しなくてはならないと聖女は言った。
そして帰りに見つけた骨となっていた奴隷の首輪をつけた死体…。
それはあの時の逃げた女性達なのだろうか?
「春…自分を責めるなよ?」
「なんだよ…それ」
椎名は落ち込んでいる春を心配して言っている。
「俺は大丈夫だって…ただ、もしかしたら俺もあんな風になってたんだなって
思うとな…結構ゾッとするな!ははっ…」
「怖かったら我慢しなくていいんだぞ?」
「怖ぇーよ。でも、それだけじゃねーんだ…それに、レベルも上がったし俺に
も出来る事探さないとな!」
明るく振る舞うと元気そうに笑いかけてみる。
椎名には弱みを見せたくない。
これ以上格好悪いところを親友に見せられないという思いから少し見栄を張る
ように強がって見せる。
多分それさえもきっと、バレてるだろう。
それでも、男としては気張りたい時もある。
そんな二人のやり取りを羨ましそうに聖女は眺めていた。
聖女というものは皆からちやほらされているのが当たり前だったのだ。
なのに、勇者様ときたら最初から塩対応だった。
しかも、最初は美しさに驚いていただろうに、街の広場の奴隷に一目惚れし
たのか、いきなり奴隷を買って首輪まで外させた。
それにあろう事か寝室まで一緒なうえに、一緒に沐浴までしていると言うの
だ。
初日に女をあてがったが朝にはぐるぐる巻きで廊下に放置されていた。
好みを押し図ろうとしたのだが、逆効果だった。
なので今度は奴隷を使用人に襲わせたのだが、それも怒りを買うだけだった。
それ以降は、もう二人の間に入る隙間すら無くなってしまった気がする。
王様の命令では勇者様の心を掴んで自分だけに惚れさせろという密命が出て
いた。
そうしないと、魔王討伐後、勇者が壊れてしまうと。
それがどんな意味を持つかは分からないが、命令とあらば、従うしかないの
だが…。
今のままだと、それも不可能だった。
どうしてもこの村娘が邪魔なのだ。
自分は男だと言っているが、そんな嘘は誰が見ても明らかだった。
馭者も、聖女のサラではなく、この奴隷の方ばかりを気にかけていた。
いっそ水浴びでも、覗きに行けばいいだろうと提案したら、早速行ったよう
だ。
しかし、しばらくすると顔を真っ青にしてかえってきていた。
勇者様の機嫌の悪さを見れば一目瞭然だった。
そして一番腑に落ちないのは、ダンジョン攻略だった。
ダンジョンに入って戦うものだと思っていたのに、入り口で煙を焚いて、あ
とは待つだけ。
そして中で爆発が起きるとぼろぼろになったモンスターが命からがら出てく
るのを待つだけ。
こんな戦い方聞いた事もなかった。
ボスも一瞬で勇者様が倒すとあとは宝箱をいただくだけで終わってしまった。
それも、目的の杖の所持者が奴隷女になるなど、どうしても許せなかった。
「本当にあり得ませんわ…どうしてこんな事になるんですのっ!」
「まだ言ってんのか?仕方ねーだろ、起きちまった事をどうにかできねーん
だから」
その後のこのでかい態度も気に入らないようだった。
聖女なのに…聖女と呼ばれる崇められないといけないのに…。
作り続けたキャラが崩壊しそうだった。
杖の所有権を奪った挙句、謝りもしないし、今は勇者様といちゃつくし、
腹立たしい事、この上ない。
「この事をどうやって城に報告すればいいんですの!まさか杖に所有者を
決められてしまいましたとでも言えといいますの?」
怒りのまま捲し立てると怒りが抑えきれない。
「そう騒ぐなって~綺麗な顔が残念だぞ?」
「あなたに言われたくないですわ!この奴隷風情がッ…」
「聖女でも、これ以上春の事を言うようなら…もうついて来なくていいよ。
今回で終わりだ」
「ちょっ、待って下さい。わたくしはそんなつもりは…」
「言ったよな?春の事を奴隷と言うなって?城へは俺が報告に行くから教会
へ戻ってくれていいよ」
何の感情もない言葉に息が詰まるかと思った。
聖女なのに、機嫌を取るどころか一緒に来なくていいと言われてしまった
のだ。
これほど屈辱的なことはないし、惨めな事もなかった。
拒否するのはいつも聖女側であってその他ではない。
焦れば焦るほどに、勇者様の機嫌は悪くなってしまう。
取り繕う事も出来ず、そのまま王都へと着いてしまった。
「お疲れ様、春行こう」
「あぁ、そうだな…本当にいいのか?回復職だろ?」
「いいよ。今回も俺怪我してないし。怪我しなければ回復職って必要ない
だろ?」
「まぁ~そうだけど…椎名がいいなら俺は構わないけど…」
「気になる?春の事いつも嫌がらせしてたのに?」
「まぁ~そうなんだけどさ。NPCって自分がって気持ちが大きいのかなっ
て…いや、もう、NPCってより現実の人間と思った方がいいのかな~」
春はこの世界を現実だと受け入れているようだった。
でも、椎名には未だにゲームの一部にしか思えなかった。
予想以上に強い身体に、弱い敵。
モンスターと言っても難なく倒せるレベルなせいか余計にそう思ってしまう
のだろう。
ここまで実力に差があると回復など必要としないと過信してしまうほどだ。
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