間違って村娘が勇者パーティーにいます

秋元智也

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第十七話 冒険者ギルド

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城を出たあとはすぐに街を出て行く事にした。
ここに止まってもいいことなど何もない。

呆れるほど女にだらしない皇子がまた何を企んでいるかを考えるだけでも
ここにとどまる理由などない。

皇女様の話では各地にあるダンジョンとその情報。
そして、過去の勇者パーティーが使っていた伝説級の武器の在りかの記さ
れた地図と貨幣を提供したのであとは好きにしてほしいと言われた。

「リアナ皇女はいい人だったな~」
「そうだな…俺達の事を召喚した人らしいけどな…」
「そうなのか!う~複雑だな~。召喚しなきゃ俺はここにいないわけだし…」
「そうだな…春まで巻き込んだんだから、その責任は取らせたいところだな。」

椎名が言っていた帰る方法も王様から聞いたと言っていたっけ?

「そういや、帰る方法って聞いたんだろ?なんだったんだ?」
「あぁ、魔王を倒せば勝手に帰れるって話だったんだけど…さっきのセイロス
 皇子が言っていた言葉が気になるな~」
「歴代の勇者は全員狂って死んだってやつか…狂ってってどういう意味だろう
 な~、皇女も言ってなかったか何かを犠牲にするくらいなら逃げろって?そ
 れってさ~魔王を倒すのに何かを犠牲にいないといけないって事なのか?」

春が考え込むように言ってくる。

「何かってなんだよ?」
「わかんねーよ。でも、犠牲って事は命だよな?多分…」
「でもさ、俺はこの世界の人間が何人死のうがNPCに心動かすなんて事ない
 と思うけどな~、春さえ無事ならそれでいいからさ~」
「なっ…何言い出すんだよ、お前は…/////」
「あっ…春、顔が赤いよ?」
「煩い!絶対にお前タラシだ!」

春は大声で叫ぶとスタスタと前を歩き出した。
食糧を一通り買い揃えると冒険者ギルドに登録をしに行く。
依頼をこなしながら街を出ようと考えるとある程度もらったお金には手をつけ
ず自分達で稼ぐ事を前提に考えないと考えたのだった。

「ここだよな?…すいませーん」

中はガランとしていて、活気がなかった。

「はーい、ようこそ冒険者ギルドへ。ご依頼ですか?」
「いえ、冒険者になりたくて…」

受付の女性は顔を輝かせて二人を案内してくれた。

「こちらにお名前と、こちらには血を一滴ほど垂らして下さい。」
「はい」

二人は名前を書くと針で指を刺すと血を垂らす。
するとそこには何もなかったのに、いきなり文字が浮かび上がってきた。

ステータスに書かれているレベルと名前、そしてスキルまでもが記載された。
すぐにカードを受け取るとイベントリにしまった。

「おぉー。すげ~」
「こちらで登録は完了です。何か依頼を受けますか?」
「簡単なのはありますか?」
「それでしたら、薬草採取が適任かと。ですが椎名様は戦闘力が高いのでこちら
 の依頼でもいかがかと…」

それは討伐依頼だった。
村に出るゴブリン退治だった。
それもここからは少し離れたところにあって、すぐ横を他国に隣接していた。

「討伐完了はこちらでなければダメですか?」
「いえ、冒険者ギルドは各国にあるのでどこで完了申請を出しても構いませんよ」
「分かりました。では、こちらも引き受けます」

同時に二つの依頼を受けると早速出発した。
街を出る乗り合い馬車に乗るとそのまま次の街へと向かう事にした。
もう、戻ってはこないつもりだが、街を眺めると聖女の姿があった。

なんの感情も湧かない彼女から視線を外すと隣の春を見下ろす。
二人だけの冒険旅行も悪くはないと感じていた。

そのまま街を出て、街道を進んでいく。
今回は森を迂回して街道沿いを進むので危険は少ないらしい。
だが、一応道中は護衛が数人雇われているらしい。

乗り合い馬車は馬の食事の度に休憩を取らせてくれた。

「んーーー!ずっと座ってると尻が痛いよな~椎名は大丈夫なのか?」
「あー。身体が固まって結構きついな~。聖女が出してくれた馬車はこんなに
 痛くなかったから、何か工夫がされてたんだろうな?」
「まぁ~そうだよな~」

二人は常に一緒に行動するようにしている。
すると護衛の男が声をかけてきた。

「君たちどこまで行くんだ?よかったら次の町で飯奢るからさ、今夜どうだ?」
「ん?今夜って…はぁ~?」
「悪いけどこの子は俺のだから、触らないでくれる?」

牽制するように春を抱き寄せると睨みつけた。

「3pでも、いいぞ?」
「よくねーよ!」
「春は黙ってて、俺の大事な人を知らない人に触れさせると思うのか?」
「なーんだ。つまんねーの。もういいよ」

椎名の威嚇に諦めたのか他の女性へと声をかけに行った。

「なんだよ…あれはっ!」
「春が魅力的なんだろうね!春、絶対に俺から離れないでくれよ。心配になるから」
「う…うん。」

流石に奴隷に首輪もないのにここまで積極的にナンパされるのはどうしてなのだろ
うと考えてしまう。
見た目は普通に幼そうだし、可愛いけど…。胸は小さいし…。
無邪気に笑いかけられるとドキッとするけど…。
あれ?ドキッとする?なんで?

あー。そうか!
この世界へ来て誰もが警戒しているのに、春だけが無邪気に笑えるんだ。
こんな顔見せられたら誤解してもおかしくない。
皇子や、勇者へと憧れの視線とはまた違う眼差しを向けてくる春を見た人は、そこに
惹きつけられてしまうのかもしれない。

だからといって、笑わないでというのもおかしな話で…。
いい方法がないかと椎名は一人悩んでいた。
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