間違って村娘が勇者パーティーにいます

秋元智也

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第二十話 依頼

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春はエイナス国王が異世界の勇者を召喚したと言う話を出した。

「きっと大丈夫だって!勇者がいれば過去でも討伐できたんだろ?」
「それは…世界の半分が飲み込まれた後で倒されたと伝承されてるヤツだろ?
 その半分に俺らの村があったらどうすんだ?」

咄嗟に言われた言葉に詰まってしまった。
確かにそうだ!
今から倒しに行くわけではないので、その間に魔族の侵攻は進んでくるだろう。
それを止める術は春にも椎名にもない。

試しにすぐに魔王城に行ってみるか?
とも考えたが、もし予想外に強かったら?
もし、こっちが倒されて死んだら?

俺たちは一体どうなる?

「そういえば獣王国でも召喚の儀式があったって聞いたぞ!」
「それって勇者の召喚?」
「だと思うが…なんでもあそこには伝説の弓が安置されてて、それを使って今は
 隣国の戦争に駆り出されてるって話だぞ」
「勇者なのに戦争に参加してるのか?」

疑問は浮かぶばかりだった。
しかし、勇者という事は異世界からの召喚されたということになる。
もしかすると俺達以外にも召喚で連れてこられている人がいるのかもしれない。
情報交換にはいいかもしれない。

「そういえば、獣王国って例の村のそばじゃん?行ってみようぜ!」
「そうだな…確かに話も聞きたいし」
「よし、そうと決まったら行こうぜ!」
「まずは町での依頼を済ましたらなっ」
「そうだった~、えーっと魔物退治だっけ?」
「詳しくはギルドでの指示を聞いてからだな」

町に着く頃には日も暮れていた。
すぐに宿屋を探し、ギルドへと赴いた。
小さな村のせいかギルドもこじんまりしていた。

「ここが冒険者ギルドか?なんか小さいよな~」
「まぁ、仕方ないだろ。依頼について聞きにきました~」
「はーい」

受付けは誰もおらず、声をかけると中から出てきた。

「ごめんね~、ここって支部であんまり人が来ないもんだから~、えーっと
 ゴブリン退治依頼ね。これは村の東側の川沿いに遺跡があるんだけど、そ
 こに最近住み着いたらしくて、ソレの退治ね。」
「最近なんですか?」
「そうよ。それでも町からは近いから、いつ襲ってくるかと思うとね。だか
 ら領主様が依頼を出してくれたのよ。」
「分かった、明日行ってこよう」
「じぁ~気をつけてね、無理はしないようにね」

受付のお姉さんは気軽に言うと手を振って送り出した。

「なんかすげ~軽いよな~ノリがさ…」
「そう言うもんだろ?」
「そっかぁ~、じゃー宿で飯だな!」
「そうだな…誰かの腹の虫が鳴いてるしな?」
「あーー、ひでぇ~、俺だけじゃないだろ?」

宿の食事は豪華とはいかないが、食べやすい味だったし、至ってシンプルな
味付けだった。
調味料はそこまで入ってきていないようだった。
やっぱり王都で食べたような食事には有り付けないようだ。

食事を終えると裏の井戸で水浴びをする。
流石に春を一人にさせるのは不安なのか椎名がずっと付き添っていた。

「拭いてやろうか?」
「いい。自分でやれるからお前もそっち向いてろ!」
「って壁じゃん!なに?椎名照れてんの?」
「照れてない!恥じらいを持て、恥じらいを…。一応ここでは女なんだから」
「まぁ~な、でも、椎名と一緒だと安心すんだよ。悪りぃ~な。甘えちまって」
「そんな事は…」

真っ赤になって春を見ようとしない椎名を揶揄うように春はわざとくっついて
くる。
絶対にわざとだと確信するが、振り返る事もできない。

ベッドに潜り込むとピッタリとくっついてくる。
柔らかい肌の感触に毎日が睡眠不足になりそうだった。

朝早くに遺跡へといくと、数匹のゴブリンを発見した。
1匹ずつ始末すると、遺跡の中に入っていく。

「流石に前みたいにはできねーよな~」
「それはそうだろう…あれは例外だ」
「おっ!ちょっといいのみっけ!」
「んーなんだそれは?」

春が何かの薬草を摘むといっぺんにイベントリに入れると乾燥させる。
イベントリの中では発酵や乾燥は簡単にできるらしかった。

最近使えるようになった風魔法。
春は得意げに草を燃やすと風で奥へと空気を送り込む。

スカーフを口まで巻いているのでその空気を吸い込む事はないが、なにを考えて
いるのかと思っていると目の前にゴブリンが現れた。
剣を構える椎名に春が止める。

「見てろって」

送られていく薄い煙を吸うとふらふらとしてその場に眠りこけてしまった。

「これは…」
「麻薬みたいなものかな。幻覚作用があるんだ。だから~いい夢見てるんだぜ
 きっと…」
「春…また…」
「さぁ、経験値をいただきに行こうぜ」

再び前の再来を見た気がした。
1匹ずつとどめだけを刺していく。
いつのまにか春が剣を持っている事に違和感を感じた。

「それ、どこで手に入れたんだ?」
「あぁ、これな…王宮でくすねてきちゃった。てへっ」

可愛く舌を出して見せるが、それは犯罪では?と一瞬思ってから、考えるのを放棄
した。



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