間違って村娘が勇者パーティーにいます

秋元智也

文字の大きさ
21 / 113

第二十一話 汚染

しおりを挟む
グサグサッとトドメだけをしていく作業にもだいぶんと慣れてきた。

「ふぅ~いい経験値だな~」
「それは春だけだよ…」
「椎名は増えないもんね~、でもいいじゃん、俺も新しいスキル覚えたし。
 結構役に立つと思うよ?」
「それはありがたい事だね」
「何そのありがたみがなさそうな言い方~」

ふざけ合いながら全員倒し終えると左耳だけを剥ぎ取る。
倒した証拠として提出する用だった。

「これ、全員の耳な。持っててくれ」

血が滴る麻袋を渡されると流石に入れたくないとは言えない。
そんなものを持って帰ると流石に匂いもそうだが魔物が寄ってきてしまう
からだった。

「うわぁ~血だらけじゃん~、そこに川があったよな?洗って行こうぜ?」
「仕方ない…寄ってくか」

川で洗おうとして一瞬、躊躇ってしまった。
川の色が真っ赤に濁った気がしたからだった。

「なぁ~この川って今すげー色に染まらなかった?」
「ん?そうか?綺麗な透明に見えるけどなぁ~?」

椎名は一旦、じぃ~っと眺めると手で掬って飲んでみた。

「おい、それ大丈夫なのか?」
「ん~~~!?」

機会音的なものが鳴って『毒素を分解します』とテロップが流れた。

「あー。毒だな…これ」
「えっ…マジか。椎名大丈夫なのかよ?」

心配そうに聞いてくるが椎名自身は毒耐性がある為、どんなものでもすぐに
中和されてしまうのだ。

「俺、毒耐性あるって言ったじゃん。だから平気…春は飲んじゃダメだよ」
「分かってるって…俺が先に飲んでたら死んでたかも?」
「まぁ、そうだろうね」

すぐに川から離れた。
洗うはずだったゴブリンの耳はそのままイベントリに仕舞われたのだった。

「この川の水ってさ~村で飲み水として使ってねーよな?」
「…どうだろうな~、昨日は大丈夫そうだったけどな。」
「そっかぁ。ダメだったら昨日のでアウトか!なら平気かな~」

気楽に考えていたが、少し思い当たると川の上流を眺めた。

「川の上流に行ってみないか?」
「今から?いいけど…何か気になるのか?」
「どっちにしろこのままじゃさ~いつかはあの村に被害出そうじゃん?だ
 から見に行ってみね~?」

春がいい出すと、まず聞かないのを知っているだけに、いく以外の選択はな
かった。

少し登ったところにひらけている場所があって、目の前には泉が広がっていた。
その中央には何かの死体が串刺しになっていた。

人間?にしては少し妙な形をしている。

「あれってなんだろう?」
「まずは引きずり出すか?」
「あぁ…」

風を起こすと周囲に竜巻を起こし、一気に手前に連れてくる。
そこを椎名がキャッチして陸にあげる。

何かの死体だった。
しかし腐敗していて判断がつかない。

「耳変じゃね?」
「尖ってるって事はエルフか?」
「でも、羽根ついてるし…エルフって羽根あったっけ?」
「まぁいいや、持って帰るか。ギルドで見て貰うか?」
「そうだな…なんか嫌な予感がするから早く帰ろうぜ」

そのまま下っていくと村へと帰り着いた。
宿屋では何人かが食事に来ていたが咳をしていた。みんなの顔色が悪い
気がする。

「女将さん、何かあったの?」
「あぁ、なんかね。今日はちょっと調子が悪くてね。食事は早めにして
 おくれよ?娘もさっきまで元気だったんだけどね~」
「分かった。ギルド寄ったら食事にくるよ」
「あいよっ、待ってるよ」

女将さんに挨拶をするとすぐにギルドへと向かった。

「いますか~?」
「あ、昨日の冒険者さん。依頼は終わったかい?」
「はい、終わったんですが…」

それを言うと依頼品と一緒にさっきの腐敗した死体を取り出した。
もう、イベントリを見せないとかやっていられなかったので堂々と目の
前で出す。

「あなた、マジックバッグがあるのね~、便利よね!まずはゴブリンの
 耳の交換分はこれね。それと…これは悪魔族の死体だね~。腐敗して
 ることから…これは厄介かもしれないよ。どこにあったの?すぐに、
 調査に行かなきゃならないから教えてくれる?」
「遺跡の側の川がおかしいってなって川の上流の泉の中に刺さってまし
 た。えーっと場所は~」
「もういい…それはこの村では飲み水としても使ってるんだ。早くみんな
 に知らせないと。君たちは絶対に水を飲んじゃいけないよ!」

ギルドの人はすぐに依頼分のコインを渡すとギルド長を呼びに行ってしま
った。
やることがなくなったので待合室で待っていると慌ただしく職員が行き来
していた。

「もう、宿に帰っていい?」
「待って…村の様子がおかしいのよっ!」

職員のお姉さんは静かすぎる村人の様子に怪訝な顔をした。
いつもならこの時間は賑やかな通りを食事に向かう連中でうるさいらしいの
だが、今日は誰一人として人がいないらしい。

「それって…まさか…」
「武器は手放さない方がいいかもしれないよ」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした

リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。  仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!  原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!  だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。 「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」  死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?  原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に! 見どころ ・転生 ・主従  ・推しである原作悪役に溺愛される ・前世の経験と知識を活かす ・政治的な駆け引きとバトル要素(少し) ・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程) ・黒猫もふもふ 番外編では。 ・もふもふ獣人化 ・切ない裏側 ・少年時代 などなど 最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】

彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』 高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。 その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。 そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】

古森きり
BL
【書籍化決定しました!】 詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります! たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました! アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。 政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。 男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。 自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。 行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。 冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。 カクヨムに書き溜め。 小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。

【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました

  *  ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。 BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑) 本編完結しました! おまけのお話を時々更新しています。 きーちゃんと皆の動画をつくりました! もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。 インスタ @yuruyu0 絵もあがります Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます プロフのwebサイトから両方に飛べるので、もしよかったら! 本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけですー! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

入社1ヶ月のワンコ系男子が、知らずのうちに射止めたのはイケメン社長!?

monteri
BL
CM制作会社の新入社員、藤白純太は入社1ヶ月で教育係の先輩が過労で倒れたため、特別なクライアントの担当を引き継ぐことになる。 そのクライアントは、女子禁制ミーハー厳禁の芸能事務所だった。 主人公の無知で純なところに、翻弄されたり、骨抜きにされるイケメン社長と、何も知らない純太がドキドキするお話です。 ※今回の表紙はAI生成です ※小説家になろうにも公開してます

処理中です...