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第三十八話 敵か?
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その小さな獣は腕に噛み付くと白い炎を吐き出した。
ギルの身体にまとわりつくように炎が回ると一気に侵食し始めた。
「何が起こってるんだ?」
噛み付いたまま炎を操っているのか春樹は勢いよく放り出されると椎名が受け止
めた。
「おい、大丈夫か?」
「…っ……」
「生きてるな…よかったぁ~」
椎名は生きていることに安堵するとさっきまで苦戦させられたギルを見た。
最初は小さな獣だったのに、今ではギルを飲み込もうとするくらいに大きくな
っていた。
「あれはなんなんだ…敵なのか…それとも」
「くそがぁーーー、なんでこいつがこんなところにいるんだ!お前の敵じゃっ…
ぐあぁぁぁーーー!」
椎名には区別がつかない。
春が目を覚ましたが、今の状況が把握しきれていなかった。
残り28%だった体力を一気に削り切ると食べてしまったのだ。
経験値が春の身体を満たすとレベルが上がり傷が癒えていった。
天野の元へと駆け寄ると回復をかけた。
ギルを食べ終わった化け物がこちらを振り向くとゆっくりと歩いてきていた。
「おい、これって敵なのか?」
「俺に言うなよ…どっから出てきたんだ?」
「春の懐から飛び出してきたんじゃないのか?」
「俺の?…って事はさっきの毛玉か…!」
春樹の前までくると椎名が後ろに庇うように剣を構える。
「待って…助けてくれたの?」
春樹が話しかけるとみるみる身体が縮んで小さな子犬の姿になった。
椎名の足元をすり抜け春樹の足に擦り寄ってきた。
抱き上げるとまあるい瞳をうるうるさせて見上げてくる。
「一緒に来るか?」
わうん!
春樹の腕の中ですりすりと身体を擦り付けてアピールしてくる。
「帰ったらお風呂入ろうな~綺麗に洗ってやるからな~。」
その毛玉に気に入られたのか子犬にしか見えない見た目とは反してさっきの
戦闘力は予想外なほど強い。
もし、さっきこいつの力がなかったら春樹は死んでいたかもしれないと思う
と、連れていくのを反対はできなかった。
「連れてくのか?」
「あぁ、ここに一人置いてくのは可哀想だろ?それにあんなに強いんだぞ?
仲間にしても悪くはないだろ?」
「まぁ~それは…そうだが…」
椎名にとっては、春樹の腕の中に収まっている毛玉が気に入らなかった。
「ん?それどうしたんだ?」
起きた天野に聞かれるとさっきの話を聞かせた。
「マジか~すげーじゃん!春樹のボディーガードだな~」
「はははっ、可愛いボディーガードだよな~」
「戦闘力は可愛くねーぞ?」
春樹が取られたと思っているのか椎名の機嫌は非常に悪い。
「なに?わんこに春樹取られて拗ねてるのか?ちっさい奴」
「小さい言うな!女なら誰でもいいやつに言われたくない!」
「はぁ~今は俺、聖女様に一途だし~、勘違いすんなっつーの!」
大声で叫んだところで近づいてきた聖女の顔が真っ赤になっていたのを春樹は
見ていた。
「勇者様…それは…」
「えっ、聖女様…えーっと、よかったら付き合って下さい。俺、絶対に聖女様を
守るんで」
「わたくしの方こそ…よろしくお願いしますわ」
恋愛初心者か!
と突っ込みたくなるようなウブな反応だった。
魔族の幹部らしき男を倒したはいいが、春樹の腕の中で眠る獣が死体も食べてし
まったので証拠は残っていなかった。
それ以上に魔王復活の供物と言っていた事で、魔王がまだ復活してすらいない事
を改めて知ったのだった。
「魔王って復活したから俺らが呼ばれたんじゃねーの?」
「逆かもしれないよな~」
「逆てなんだよ?」
天野は疑問を口にするが、椎名は首を傾げているだけだった。
「だーかーらー。勇者として召喚が行われただろ?それで魔王が復活しちまう
って事だよ」
「それじゃ~本末転倒だろ?」
「そうでもないさっ…戦争の為だけに召喚するって国もあるんだろう?なら、
それが度が過ぎて各国が召喚してたら?そしてそれを止める為に魔王が生ま
れるとしたら?」
春樹のはただの仮説に過ぎない。
だが、まだ魔王が存在していないのなら、あながち間違ってもいない気がする。
普通は魔王が復活したのを聞いて、召喚魔法で異世界から勇者を召喚するって言
うのが正当な理由なのだが、それが逆になってもなんらおかしくない。
「勇者ってのは本当に天野と椎名だけか?」
聖女を振り向くと俯くように首を振った。
「もう一人おりますわ。ただ…その方は…」
「聖女様?言いにくい事ですか?」
天野が紳士的な聞こうとすると聖女はため息を漏らしながら話し始めた。
「椎名様が一番最近で召喚されましたよね?その前に天野様、その前にもう一人…。
ですが、パーティーメンバーを全員殺して出奔したのです。」
「はぁ?勇者が逃げたって言うのか?」
「それは何か理由がありそうだけど?何があったんだよ?」
椎名は呆れたように言うが、春樹はそれだけな気がしなかった。
「はい…王は女をあてがい豪遊させたのです。そうすれば意のままに操れると思ったの
でしょう。現にわたくしもそう言う命を受けておりましたし…ですが本気で好きにな
ってしまったらしくその女性を王は取り上げてしまったのです。勇者様をたぶらかし
た罪として…」
「はぁ~なんでだよ?いい事だろ?」
「違うのです。王があてがった女性たちではなかったのです。だから…王の命令を聞か
なかったのです。そして処刑された後に勇者様はその光景を見て…その国は…」
「どこだよ、それ?」
「もう地図にはないのです。街の人も警備兵も全員が殺されてしまったのです。そして
行方をくらませたと聞いています。」
なんとも自業自得としか言いようのない話だった。
ギルの身体にまとわりつくように炎が回ると一気に侵食し始めた。
「何が起こってるんだ?」
噛み付いたまま炎を操っているのか春樹は勢いよく放り出されると椎名が受け止
めた。
「おい、大丈夫か?」
「…っ……」
「生きてるな…よかったぁ~」
椎名は生きていることに安堵するとさっきまで苦戦させられたギルを見た。
最初は小さな獣だったのに、今ではギルを飲み込もうとするくらいに大きくな
っていた。
「あれはなんなんだ…敵なのか…それとも」
「くそがぁーーー、なんでこいつがこんなところにいるんだ!お前の敵じゃっ…
ぐあぁぁぁーーー!」
椎名には区別がつかない。
春が目を覚ましたが、今の状況が把握しきれていなかった。
残り28%だった体力を一気に削り切ると食べてしまったのだ。
経験値が春の身体を満たすとレベルが上がり傷が癒えていった。
天野の元へと駆け寄ると回復をかけた。
ギルを食べ終わった化け物がこちらを振り向くとゆっくりと歩いてきていた。
「おい、これって敵なのか?」
「俺に言うなよ…どっから出てきたんだ?」
「春の懐から飛び出してきたんじゃないのか?」
「俺の?…って事はさっきの毛玉か…!」
春樹の前までくると椎名が後ろに庇うように剣を構える。
「待って…助けてくれたの?」
春樹が話しかけるとみるみる身体が縮んで小さな子犬の姿になった。
椎名の足元をすり抜け春樹の足に擦り寄ってきた。
抱き上げるとまあるい瞳をうるうるさせて見上げてくる。
「一緒に来るか?」
わうん!
春樹の腕の中ですりすりと身体を擦り付けてアピールしてくる。
「帰ったらお風呂入ろうな~綺麗に洗ってやるからな~。」
その毛玉に気に入られたのか子犬にしか見えない見た目とは反してさっきの
戦闘力は予想外なほど強い。
もし、さっきこいつの力がなかったら春樹は死んでいたかもしれないと思う
と、連れていくのを反対はできなかった。
「連れてくのか?」
「あぁ、ここに一人置いてくのは可哀想だろ?それにあんなに強いんだぞ?
仲間にしても悪くはないだろ?」
「まぁ~それは…そうだが…」
椎名にとっては、春樹の腕の中に収まっている毛玉が気に入らなかった。
「ん?それどうしたんだ?」
起きた天野に聞かれるとさっきの話を聞かせた。
「マジか~すげーじゃん!春樹のボディーガードだな~」
「はははっ、可愛いボディーガードだよな~」
「戦闘力は可愛くねーぞ?」
春樹が取られたと思っているのか椎名の機嫌は非常に悪い。
「なに?わんこに春樹取られて拗ねてるのか?ちっさい奴」
「小さい言うな!女なら誰でもいいやつに言われたくない!」
「はぁ~今は俺、聖女様に一途だし~、勘違いすんなっつーの!」
大声で叫んだところで近づいてきた聖女の顔が真っ赤になっていたのを春樹は
見ていた。
「勇者様…それは…」
「えっ、聖女様…えーっと、よかったら付き合って下さい。俺、絶対に聖女様を
守るんで」
「わたくしの方こそ…よろしくお願いしますわ」
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魔族の幹部らしき男を倒したはいいが、春樹の腕の中で眠る獣が死体も食べてし
まったので証拠は残っていなかった。
それ以上に魔王復活の供物と言っていた事で、魔王がまだ復活してすらいない事
を改めて知ったのだった。
「魔王って復活したから俺らが呼ばれたんじゃねーの?」
「逆かもしれないよな~」
「逆てなんだよ?」
天野は疑問を口にするが、椎名は首を傾げているだけだった。
「だーかーらー。勇者として召喚が行われただろ?それで魔王が復活しちまう
って事だよ」
「それじゃ~本末転倒だろ?」
「そうでもないさっ…戦争の為だけに召喚するって国もあるんだろう?なら、
それが度が過ぎて各国が召喚してたら?そしてそれを止める為に魔王が生ま
れるとしたら?」
春樹のはただの仮説に過ぎない。
だが、まだ魔王が存在していないのなら、あながち間違ってもいない気がする。
普通は魔王が復活したのを聞いて、召喚魔法で異世界から勇者を召喚するって言
うのが正当な理由なのだが、それが逆になってもなんらおかしくない。
「勇者ってのは本当に天野と椎名だけか?」
聖女を振り向くと俯くように首を振った。
「もう一人おりますわ。ただ…その方は…」
「聖女様?言いにくい事ですか?」
天野が紳士的な聞こうとすると聖女はため息を漏らしながら話し始めた。
「椎名様が一番最近で召喚されましたよね?その前に天野様、その前にもう一人…。
ですが、パーティーメンバーを全員殺して出奔したのです。」
「はぁ?勇者が逃げたって言うのか?」
「それは何か理由がありそうだけど?何があったんだよ?」
椎名は呆れたように言うが、春樹はそれだけな気がしなかった。
「はい…王は女をあてがい豪遊させたのです。そうすれば意のままに操れると思ったの
でしょう。現にわたくしもそう言う命を受けておりましたし…ですが本気で好きにな
ってしまったらしくその女性を王は取り上げてしまったのです。勇者様をたぶらかし
た罪として…」
「はぁ~なんでだよ?いい事だろ?」
「違うのです。王があてがった女性たちではなかったのです。だから…王の命令を聞か
なかったのです。そして処刑された後に勇者様はその光景を見て…その国は…」
「どこだよ、それ?」
「もう地図にはないのです。街の人も警備兵も全員が殺されてしまったのです。そして
行方をくらませたと聞いています。」
なんとも自業自得としか言いようのない話だった。
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