39 / 113
第三十九話 神獣
しおりを挟む
帰り道は馬車に揺られながら、暗い空気に包まれていた。
そんな重い空気を破るように元気よくはしゃぎ回る小さな子犬が春樹の足元
にはいた。
「その子はなんですの?汚いし捨ててきたらいいじゃないですか?」
「汚いって言うな!洗えば綺麗になるし…俺らのつよーい味方だよな~」
春樹が可愛がれば可愛がるほどに椎名の機嫌が悪くなっていく気がする。
「春樹~ちょっと俺にも抱かせてくれるか?」
「いいけど…懐いてくれるか?」
ひょいっと持ち上げると天野の前に差し出す。
すると牙を剥き出しにして唸り始めた。
毛を逆立てて今にも噛みつきそうなくらいの勢いに触れるのを躊躇った。
「やっぱり…いいや…」
春樹以外に懐かない子犬を帰ってから洗ってやると綺麗な真っ白でふわふわの
毛並みが手触りもよくて気持ちよかった。
「えーっとお前って一応モンスターなんだよな~?」
ステータスを出すとそこには
レベル130 フェンリル(神の獣)
スキル 咆哮 敵だけを一定時間拘束する。
魂食い 敵を食べる事にスキルを奪う事ができる。
無敵 敵一体に対して完全無効をつける。
と書かれていた。
「あっ、これって無敵ってさっきの魔族の技だ。しかもレベル130って…この
世界はMAXが99じゃなかったんだ…。って事は椎名も?」
夜になって街の警戒を終えて帰宅したラティナさんが帰ってくると報告をする
為に居間に集まった。
「もう、片付いけてくれたとは、さすが勇者様達だ。何かわかったか?」
「はい、俺から説明するよ!」
先導切って話し始めたのは天野だった。
森の奥の沼地にあるダンジョンでリザードマンの群れとその奥に隠れて潜んで
いた魔王軍幹部であろう男の事だ。
奴の話では魔王はまだ復活していないとの事だったので復活する前に魔王の配
下を倒してしまえばもしかしたら復活をも止められるかもしれない事。
それがやたらと強かった事。
そしてこの足元でくるくると尻尾を追いかけて走り回っている犬がやたらと強
い事。
そして敵を丸呑みしてしまった事を話した。
「そんなに大変だったのか…私が行っていたら命を落としていた事だろう。本当
に感謝する。謝礼はギルドで受け取ってもらったと思うが、何か必要なものが
あったら言ってくれ、なんでも用意させよう」
「ありがとうございます」
疲れたという事で、今日は各部屋に戻って休む事になった。
もちろん椎名と春樹は一緒の部屋に入ったがその足元には子犬がついて来ていた。
「椎名~聞いて~!この子フェンリルっていうんだ。神獣だって~」
「そうか…じゃ~その神獣の前で俺らも愛を深めるか?」
「ちょっ…椎名ったらっ…」
一緒にベッドに寝転がるとキスをして服の中に手を入れたところでベッドに
飛び上がってきた白い毛玉が二人の間にちょこんと割入ってきた。
「へっ…」
「おい…毛玉、そこをどけよ…」
わぅん!
尻尾を振りながら何度も鳴いた。
やる気を削がれたのか椎名がおとなしく寝転がると二人の間に潜り込んできた。
「お前…毎回邪魔する気じゃないだろうな?」
「まぁまぁ、フェン?どうした?寂しいのか?」
子犬に甘い春樹には何も言えなかった。
そんな事より、久しぶりに春樹の笑顔を見た気がした。
「たまには…な」
抱きしめて眠りたいがたまには我慢する事にしたのだった。
ギルドへ行って賞金を貰うと報告を済ませた。
魔族からの干渉も減って警備隊の仕事も楽になったらしい。
「まだ、完全に大丈夫とは言えないけど、しばらくは安心できると思いますよ」
「そうですね、勇者様達にはどう感謝を伝えればいいか。またこの街に立ち寄っ
た際は我が屋敷にお越しください」
「そうだな、立ち寄らせてもらうよ」
今度こそ、勇者がかつて使っていたとされる伝説級の武器を取りに出発する事に
なった。
火山の下降付近だと言うので冷石を大量に買い込んで置いた。
「これって近くで割ると周りの空気を冷やしてくれるんだっけ?」
春樹が手の上で転がすと聖女がそれを取り上げた。
「これは火山の付近に行くなら必須アイテムですわ。テントにこれをつけておくだ
けで、夜が快適に過ごす事ができるんですわ。なくなったら眠る事さえできない
ほどですわよ?まぁ~握り潰せば周りに膜が一定時間できて快適ですが、長続き
しませんわ」
「戦闘時にはそれが良さそうだな?」
「それは…そうですわね」
「じゃ~みんなの荷物に数個入れとこうぜ?全部俺が持ってても困るだろ?」
春樹が提案すると椎名は春樹が持っていればいいと言ってきた。
もちろん、荷物を持たないのはいいのだがもし分かれて行動するとなると困るからだ。
天野のイベントリにもある程度入れると火山の麓の村へと向かった。
国境を超えて食糧をその都度、調達すると先へと進む。
麓の村というが、かなりの湿気と暑さだった。
そんな重い空気を破るように元気よくはしゃぎ回る小さな子犬が春樹の足元
にはいた。
「その子はなんですの?汚いし捨ててきたらいいじゃないですか?」
「汚いって言うな!洗えば綺麗になるし…俺らのつよーい味方だよな~」
春樹が可愛がれば可愛がるほどに椎名の機嫌が悪くなっていく気がする。
「春樹~ちょっと俺にも抱かせてくれるか?」
「いいけど…懐いてくれるか?」
ひょいっと持ち上げると天野の前に差し出す。
すると牙を剥き出しにして唸り始めた。
毛を逆立てて今にも噛みつきそうなくらいの勢いに触れるのを躊躇った。
「やっぱり…いいや…」
春樹以外に懐かない子犬を帰ってから洗ってやると綺麗な真っ白でふわふわの
毛並みが手触りもよくて気持ちよかった。
「えーっとお前って一応モンスターなんだよな~?」
ステータスを出すとそこには
レベル130 フェンリル(神の獣)
スキル 咆哮 敵だけを一定時間拘束する。
魂食い 敵を食べる事にスキルを奪う事ができる。
無敵 敵一体に対して完全無効をつける。
と書かれていた。
「あっ、これって無敵ってさっきの魔族の技だ。しかもレベル130って…この
世界はMAXが99じゃなかったんだ…。って事は椎名も?」
夜になって街の警戒を終えて帰宅したラティナさんが帰ってくると報告をする
為に居間に集まった。
「もう、片付いけてくれたとは、さすが勇者様達だ。何かわかったか?」
「はい、俺から説明するよ!」
先導切って話し始めたのは天野だった。
森の奥の沼地にあるダンジョンでリザードマンの群れとその奥に隠れて潜んで
いた魔王軍幹部であろう男の事だ。
奴の話では魔王はまだ復活していないとの事だったので復活する前に魔王の配
下を倒してしまえばもしかしたら復活をも止められるかもしれない事。
それがやたらと強かった事。
そしてこの足元でくるくると尻尾を追いかけて走り回っている犬がやたらと強
い事。
そして敵を丸呑みしてしまった事を話した。
「そんなに大変だったのか…私が行っていたら命を落としていた事だろう。本当
に感謝する。謝礼はギルドで受け取ってもらったと思うが、何か必要なものが
あったら言ってくれ、なんでも用意させよう」
「ありがとうございます」
疲れたという事で、今日は各部屋に戻って休む事になった。
もちろん椎名と春樹は一緒の部屋に入ったがその足元には子犬がついて来ていた。
「椎名~聞いて~!この子フェンリルっていうんだ。神獣だって~」
「そうか…じゃ~その神獣の前で俺らも愛を深めるか?」
「ちょっ…椎名ったらっ…」
一緒にベッドに寝転がるとキスをして服の中に手を入れたところでベッドに
飛び上がってきた白い毛玉が二人の間にちょこんと割入ってきた。
「へっ…」
「おい…毛玉、そこをどけよ…」
わぅん!
尻尾を振りながら何度も鳴いた。
やる気を削がれたのか椎名がおとなしく寝転がると二人の間に潜り込んできた。
「お前…毎回邪魔する気じゃないだろうな?」
「まぁまぁ、フェン?どうした?寂しいのか?」
子犬に甘い春樹には何も言えなかった。
そんな事より、久しぶりに春樹の笑顔を見た気がした。
「たまには…な」
抱きしめて眠りたいがたまには我慢する事にしたのだった。
ギルドへ行って賞金を貰うと報告を済ませた。
魔族からの干渉も減って警備隊の仕事も楽になったらしい。
「まだ、完全に大丈夫とは言えないけど、しばらくは安心できると思いますよ」
「そうですね、勇者様達にはどう感謝を伝えればいいか。またこの街に立ち寄っ
た際は我が屋敷にお越しください」
「そうだな、立ち寄らせてもらうよ」
今度こそ、勇者がかつて使っていたとされる伝説級の武器を取りに出発する事に
なった。
火山の下降付近だと言うので冷石を大量に買い込んで置いた。
「これって近くで割ると周りの空気を冷やしてくれるんだっけ?」
春樹が手の上で転がすと聖女がそれを取り上げた。
「これは火山の付近に行くなら必須アイテムですわ。テントにこれをつけておくだ
けで、夜が快適に過ごす事ができるんですわ。なくなったら眠る事さえできない
ほどですわよ?まぁ~握り潰せば周りに膜が一定時間できて快適ですが、長続き
しませんわ」
「戦闘時にはそれが良さそうだな?」
「それは…そうですわね」
「じゃ~みんなの荷物に数個入れとこうぜ?全部俺が持ってても困るだろ?」
春樹が提案すると椎名は春樹が持っていればいいと言ってきた。
もちろん、荷物を持たないのはいいのだがもし分かれて行動するとなると困るからだ。
天野のイベントリにもある程度入れると火山の麓の村へと向かった。
国境を超えて食糧をその都度、調達すると先へと進む。
麓の村というが、かなりの湿気と暑さだった。
0
あなたにおすすめの小説
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした
リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。
仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!
原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!
だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。
「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」
死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?
原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に!
見どころ
・転生
・主従
・推しである原作悪役に溺愛される
・前世の経験と知識を活かす
・政治的な駆け引きとバトル要素(少し)
・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程)
・黒猫もふもふ
番外編では。
・もふもふ獣人化
・切ない裏側
・少年時代
などなど
最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。
【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?
【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】
古森きり
BL
【書籍化決定しました!】
詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります!
たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました!
アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。
【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました
* ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。
BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)
本編完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
きーちゃんと皆の動画をつくりました!
もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます
プロフのwebサイトから両方に飛べるので、もしよかったら!
本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけですー!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
入社1ヶ月のワンコ系男子が、知らずのうちに射止めたのはイケメン社長!?
monteri
BL
CM制作会社の新入社員、藤白純太は入社1ヶ月で教育係の先輩が過労で倒れたため、特別なクライアントの担当を引き継ぐことになる。
そのクライアントは、女子禁制ミーハー厳禁の芸能事務所だった。
主人公の無知で純なところに、翻弄されたり、骨抜きにされるイケメン社長と、何も知らない純太がドキドキするお話です。
※今回の表紙はAI生成です
※小説家になろうにも公開してます
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる