間違って村娘が勇者パーティーにいます

秋元智也

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第四十一話 幼馴染

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メイアが来ると他にも何人もの村人が食事を運んできてくれた。

「朝食をお持ちしました」

並べられた数に喜び、天野は席に着くとがっつき始めた。

「昨日は下品な声がうるさかったですわね?一体ナニをしていたんだか?
 それで処女なんて見えすいた嘘を言うのは村娘の特権ですわね?」
「春は処女のままだ。いつまでも綺麗な身体のままだよ」
「煩い!この絶倫が!」

ガツガツと食事を食べていた天野は羨ましそうに眺めていた。

「春樹はいつまで経っても処女膜は付いたままなんだな~」
「うるさいっ!」

腰を痛そうにさすりながら怒鳴ると食事を口に運んだ。

「でもさ~今日行くダンジョンって着くまで丸一日山登りなんだろう?」
「そうだな…しかもボスが竜っていうのも分かってるんだ。なにか対処を
 考えないとな?」
「それは大丈夫な気がするぞ?だろ、メイアちゃん?」

春樹が振るとメイアが頷いた。

「中を守っているのは昔の怨念…アンデッドです。そしてこちらが聖水
 です」

差し出された小瓶にたっぷりと入っているキラキラした水を差し出した。

「これを剣に垂らして切れば直ぐに浄化されます。そして竜ですが、火口
 付近なので…地雷で吹き飛ばして溶岩をかけてやれば一定時間敵にデバフ
 が付いて攻撃が通ります。その間に倒して下さい。」
「氷竜だから炎が弱点って訳か…なんでそんな場所にいるんだか…」
「…春さん、貴方はここに残って待っているという選択はしないのですか?」

いきなりのメイアの言葉に春樹はすぐに首を振って否定する。

「俺は椎名と一緒に居たいんだ。レベルも上がってきたし、足手まといになる
 気はないよ?」
「そうではなくて…もういいです」

そのままメイアは出て行ってしまう。

「メイアちゃん、何か様子がおかしくないか?」
「知ってる。昨日からだからな…天野は何か聞いてる?」
「いや、何にも…でも、必死に言ってきたのはレベル上限は絶対に上げろって
 くらいかな~」
「レベル上限かぁ~、昔の勇者はどうやって戦ったんだろうな~」

食事を終えて、荷物をまとめてイベントリにしまうと村を出発した。
メイアは朝から態度は和らいだが、春樹だけには打ち解けようとはしなかった。

「勇者様は絶対に強くなければなりません。魔王退治に失敗すればこの大陸は
 滅んでしまうのです。昔の勇者様がよく言っていたようです。こんな世界滅
 んでしまえばよかったって…」
「メイアちゃん、それは怖い事言うね~、どうしてそんな事言うのかな?」

天野は軽い口調で聞くと笑いながら教えてくれた。

「私がその勇者の末裔だからですよ」

と、言ったのだった。


「えっ…帰れるんじゃないのか?」

椎名の呟きにメイアは答える。

「そうですね、それを望めば…ですかね。ですが私の祖先ひいお爺様はそれを
 望まなかったって事です。大事な人を亡くしたこの地に留まり続け毎日狂っ
 たように酒を飲み、まるでザルですよ。あの人は酔わないんです。酔ったふ
 りをする癖、ずっと苦しそうにするんです。」
「その人は今も?」

春樹が聞くとメイアは横に振った。

「自ら命を絶ちました。あの人のところへ行くと言って…。剣を手にすればわ
 かりますが自動回復というスキルが解放されます。ちょっとした事では死ね
 ない身体になるんです。ひいお婆さまはずっと愛していたのに…見向きもし
 なかったそうです。」

悲しそうな目で見上げた。

「現実から逃げたんだな…俺たちは絶対に逃げない!仲間がいれば諦めも悪く
 なるだろう?みんな!」
「春樹の言う通りだ、俺もこっちに召喚された時に一緒に連れて来られた姫乃
 ってちんちくりんがいたんだけどさ~城の奴らに好き勝手されて…俺の前で
 死んだんだよ。しばらくは憂さ晴らしで戦争で暴れてたけど、もうどうでも
 いいかなって思ってた時に春樹にあったんだよ。同じ世界からきたって知っ
 て、ちょっと姫乃の事思い出したんだ。」
「それって彼女?」

春樹が気まずそうに聞くと天野は笑って答えた。

「ただの幼馴染だよ…俺はあの子…生意気な姫乃が好きだったんだな~って後で
 気づいたけどな?椎名も春樹を死なせるなよ?」
「当たり前だ!」

椎名の腕が春樹をぎゅっと抱き寄せた。

「暑いって…全く…でも、天野も大変だったんだな~?」
「まぁ、もう半年も前の話だけどなっ!」

もう笑って話せると言うことは自分の中ではある程度割り切れたという事だろう。

もし目の前で椎名を無くす事があったら、どうなるのだろう?
春樹はそんな事を考えながら胸の前の氷石を握りしめながら先を進んだ。
氷石は春樹がペンダントの鎖を錬金して作ったおかげでみんな首から下げている。
消滅する前に新しいのに替えると休憩をとりながら進んでいった。
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