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第四十三話 ゾンビ退治
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フェンが加わってすぐにゾンビは底を尽きたのか湧きが止まった。
「はぁ~、流石にちょっと休ませて~」
「確かにな…連戦で休憩したいな…」
主に戦っていた天野と椎名はゾンビが焼き尽くされ死体すら残っていない場所
で休憩する事にした。
軽い軽食とジュースを出すとダンジョンの中とは思うないほどのんびりと休憩
した。
「それにしても、フェンちゃん可愛いし、強いんだな~、こっちおいで~」
天野が手をひらひらさせてフェンに向けてパンの端切れを揺らす。
一旦春樹の顔を見ると悩んでいるように見えた。
頷いてやると、尻尾振ってパンに齧りついた。
「おっ、可愛いな~」
「仕方ありませんわね。わたくしのも食べますか?」
隣で聖女が同じようにパンを揺らすが警戒したような目で牙を剥き出しにした。
「なっ…ちゃんと躾してくださいましっ!」
「分かってんじゃねーの?あんたの性格の悪さをさ~」
春樹が言うと、すぐに春樹の膝の上に飛び乗ってきた。
今は子犬程度の大きさになっている。
「そのモンスターはどうしたのですか?普通モンスターは弱いのじゃない限り
テイムはできないと思っていましたが…弱くはないですよね?」
「そうだな…レベル130はあるから俺らは誰も敵わないだろうな~?」
春樹の言葉にメイアは唖然となった。
「ならどうやって…」
「人徳?」
何か言いたそうにしていたが、やめて話題を変えてきた。
「この先に進むと下に向かって大きな穴が空いています。そこの下がボス戦です。」
「おい、降りたら戻れねーだろ?どのくらい深いんだ?」
春樹の言葉にも一理ある。
もし降りて落下ダメージはどうなのか?
撤退は可能なのか?
聞きたい事は山ほどあった。
「落下ダメージでしたら気にする事はありません。下からは上昇気流が流れているので
ゆっくり落下して行く感じです。それと降りただけではすぐに戦闘にはなりません。
緊急時は竜の奥の小部屋へ逃げ込めば安全です。そこに転移装置があるので入り口に
戻れます。それ以外に聞きたい事はありますか?」
「うん…ないよ」
思っている事を全部言われてしまった気分だった。
「最初はダメージが入りますが70%を切ると体が光って無敵状態になります。そうなっ
たら、しばらく避ける事だけを考えて下さい。私がそのうちに爆弾を設置してくるの
で、マグマをぶっかけてやります。そしたら攻撃が可能になるので一気に倒して下さ
い。もし30%で体が光ってしまったら…それはまた無敵状態になるので…撤退しまし
ょう。もう一回挑戦する事にしましょう」
「なんでだ?また攻撃が当たるようにすればいいだろ?」
「…それは無理なのです。何をしても無理だと書かれていました。」
「書かれて?」
「はい、ひいお爺さまの日記です」
初めてくるはずなのに詳しい理由がやっと分かった気がした。
きっと何度も何度も読んだに違いない。
「ひいお爺さんのこと好きだったんだね?」
「あんな自分勝手な人は嫌いです。」
口ではそう言っていたが、きっと心ではそうではないのだろう。
勝手に命を絶ったと言っていたが、きっと寂しかったのだろう。
「メイアちゃん、大丈夫。俺たちを信じて?」
「私は貴方が嫌いです。」
春樹はメイアの瞳が悲しそうに揺れた気がしたのでぎゅっと抱きしめた。
するとボソッと声が聞こえてきた。
嫌いだと言う割に、春樹の服をぎゅっと握ると離そうとはしなかった。
天野と椎名の視線が痛いが、今はしばらくこのままにする事にした。
落ち着きを取り戻すとすぐに出発する事にした。
メイアの言った通り、しばらく歩いた先に大きな縦穴がポッカリと広がっていた。
「じゃぁ~俺が先に降りるから後に来いよ?」
「待って!一緒に行こう。春だけ先に行かせられない。フェン、春の中に入って。」
わぅんっ!
子犬の姿で懐に潜り込むと椎名は春樹を抱き上げると穴の中にジャンプした。
下からの空気の流れでフワッと身体が浮かび上がるとゆっくりと下降を始めた。
「すげ~こんなゆっくり降りるんだな~。まるで空飛んでるみたいだな?」
「あぁ、はしゃぐのはボスを倒してからな?」
椎名の腕の中なのを思い出して耳まで真っ赤にすると頷いた。
「春、見てろよ?俺の勇姿をさ~。絶対に何度でも惚れさせてやるからさっ…」
「うん…俺もサポート頑張るからっ…生きて帰ろうな?」
「そうだな…」
春樹の額にキスするとやっと地面に足がついたのだった。
「はぁ~、流石にちょっと休ませて~」
「確かにな…連戦で休憩したいな…」
主に戦っていた天野と椎名はゾンビが焼き尽くされ死体すら残っていない場所
で休憩する事にした。
軽い軽食とジュースを出すとダンジョンの中とは思うないほどのんびりと休憩
した。
「それにしても、フェンちゃん可愛いし、強いんだな~、こっちおいで~」
天野が手をひらひらさせてフェンに向けてパンの端切れを揺らす。
一旦春樹の顔を見ると悩んでいるように見えた。
頷いてやると、尻尾振ってパンに齧りついた。
「おっ、可愛いな~」
「仕方ありませんわね。わたくしのも食べますか?」
隣で聖女が同じようにパンを揺らすが警戒したような目で牙を剥き出しにした。
「なっ…ちゃんと躾してくださいましっ!」
「分かってんじゃねーの?あんたの性格の悪さをさ~」
春樹が言うと、すぐに春樹の膝の上に飛び乗ってきた。
今は子犬程度の大きさになっている。
「そのモンスターはどうしたのですか?普通モンスターは弱いのじゃない限り
テイムはできないと思っていましたが…弱くはないですよね?」
「そうだな…レベル130はあるから俺らは誰も敵わないだろうな~?」
春樹の言葉にメイアは唖然となった。
「ならどうやって…」
「人徳?」
何か言いたそうにしていたが、やめて話題を変えてきた。
「この先に進むと下に向かって大きな穴が空いています。そこの下がボス戦です。」
「おい、降りたら戻れねーだろ?どのくらい深いんだ?」
春樹の言葉にも一理ある。
もし降りて落下ダメージはどうなのか?
撤退は可能なのか?
聞きたい事は山ほどあった。
「落下ダメージでしたら気にする事はありません。下からは上昇気流が流れているので
ゆっくり落下して行く感じです。それと降りただけではすぐに戦闘にはなりません。
緊急時は竜の奥の小部屋へ逃げ込めば安全です。そこに転移装置があるので入り口に
戻れます。それ以外に聞きたい事はありますか?」
「うん…ないよ」
思っている事を全部言われてしまった気分だった。
「最初はダメージが入りますが70%を切ると体が光って無敵状態になります。そうなっ
たら、しばらく避ける事だけを考えて下さい。私がそのうちに爆弾を設置してくるの
で、マグマをぶっかけてやります。そしたら攻撃が可能になるので一気に倒して下さ
い。もし30%で体が光ってしまったら…それはまた無敵状態になるので…撤退しまし
ょう。もう一回挑戦する事にしましょう」
「なんでだ?また攻撃が当たるようにすればいいだろ?」
「…それは無理なのです。何をしても無理だと書かれていました。」
「書かれて?」
「はい、ひいお爺さまの日記です」
初めてくるはずなのに詳しい理由がやっと分かった気がした。
きっと何度も何度も読んだに違いない。
「ひいお爺さんのこと好きだったんだね?」
「あんな自分勝手な人は嫌いです。」
口ではそう言っていたが、きっと心ではそうではないのだろう。
勝手に命を絶ったと言っていたが、きっと寂しかったのだろう。
「メイアちゃん、大丈夫。俺たちを信じて?」
「私は貴方が嫌いです。」
春樹はメイアの瞳が悲しそうに揺れた気がしたのでぎゅっと抱きしめた。
するとボソッと声が聞こえてきた。
嫌いだと言う割に、春樹の服をぎゅっと握ると離そうとはしなかった。
天野と椎名の視線が痛いが、今はしばらくこのままにする事にした。
落ち着きを取り戻すとすぐに出発する事にした。
メイアの言った通り、しばらく歩いた先に大きな縦穴がポッカリと広がっていた。
「じゃぁ~俺が先に降りるから後に来いよ?」
「待って!一緒に行こう。春だけ先に行かせられない。フェン、春の中に入って。」
わぅんっ!
子犬の姿で懐に潜り込むと椎名は春樹を抱き上げると穴の中にジャンプした。
下からの空気の流れでフワッと身体が浮かび上がるとゆっくりと下降を始めた。
「すげ~こんなゆっくり降りるんだな~。まるで空飛んでるみたいだな?」
「あぁ、はしゃぐのはボスを倒してからな?」
椎名の腕の中なのを思い出して耳まで真っ赤にすると頷いた。
「春、見てろよ?俺の勇姿をさ~。絶対に何度でも惚れさせてやるからさっ…」
「うん…俺もサポート頑張るからっ…生きて帰ろうな?」
「そうだな…」
春樹の額にキスするとやっと地面に足がついたのだった。
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