間違って村娘が勇者パーティーにいます

秋元智也

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第六十話 聖女の決意

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聖女と天野は落ち着いた頃やっと街を後にした。

「どういたしますか?もうだいぶんと強くなった気がしますが?」
「いや、まだまだだ。椎名と一緒にいた時は結構強いダンジョン
 でも挑もうって思えたけど、今は不安でなかなかチャレンジでき
 ないんだよな~」
「わたくしの事でしたら、自分の事は自分で守れますわ」
「そうはいかないよ。何かあったら俺の方がおかしくなりそうだ…」
「それは…/////」

頬を染めると聖女が珍しく照れていた。

「椎名にとって春樹が大事なように俺には聖女様が大事なんだよ。分か
 ってくれた?」
「…は、はい」
「それじゃ~、まずは地下都市ベイルに行ってみないか?」
「どうして地下都市に?ドワーフの街ですよ?」
「そう、俺は弓ばかり使っていたから前衛がいないんだよ。このままじゃ
 困るだろう?だから武器を作って貰おうと思うんだ」
「そうですわね、確か昔に勇者様の武器を作った職人がいると聞いたこと
 がありますわ。勇者と共に一緒に戦った仲間だったと聞いておりますわ」
「そうか…なら、なおさら行ってみようぜ?」

天野達はナル山とは正反対の街へと向かった。
ナル山には強力な魔物が多く生息しており今の聖女を連れていくには荷が
重い。
せめて椎名が一緒にいてくれたらそれでもよかったが、今はお金を払って
でも、安全な道を選びたかった。

馬車を使うと1日で街へとついた。

「少し待ってくれますか?」
「あぁ、一人で大丈夫か?」
「えぇ、大丈夫ですわ」

聖女だけが一人門番へと話を付けるとそのまま領主の屋敷へと案内された。
天野は一緒にきたが、領主との面会は聖女のみだけだと言われてしまった。

「俺は勇者でもダメなのか?」
「領主様は聖女様と、お話があると言っておいでですので」
「分かりましたわ。天野様、ここでお待ち下さい」
「でもっ…」
「すぐに帰って参りますわ」

珍しく聖女が天野の頬を両手で触れるとにっこりと微笑んで出て行ってしまう。
使用人に案内されるように聖女は領主の部屋へと入って行く。

「あいつもこんな気持ちだったんだろうな~…」

流石にただ黙って待っているのは性に合わないと天野はすぐに部屋を出て行く。
椎名が春樹を必死に探していた時の事を思い出した。
隣にべっぴんの聖女様がいても見向きもせず、ただ春樹だけを見ていた。

あんな事がなければ仲良くなれたのかなと考えると何もかもが遅ずぎる。

一部屋ずつ探して行くと、廊下の先で警備の厳重な部屋を見つけた。
部屋前は厳重に警備がされていた近づく事はできそうになれなかった。

そして引き返そうとすると、女性の悲鳴が聞こえてきた。
それはいつも聴きなれた聖女のもので、一瞬でドアを蹴破り中に入って
いた。

「おい、なぜここにそいつがいるんだ?つまみ出せ!」

聖女の上に馬乗りの格好をした男は裸で見苦しい腹をぽってりと晒して
いた。

「おい、何をしているんだ?」
「天野様っ…やぁっ…領主様、お辞め下さい」
「隠し通路を通りたいのだろう?なら俺に従うのが正解だと分かるだろう?」
「それは…ッ…!」

こんな事、見るのも嫌なのに…。
天野には不愉快でしかなかった。
取り押さえようとしてくる傭兵を薙ぎ倒すと壁にめり込ませた。

弱いといえど勇者なのだ。
戦争に駆り出された時は一人で1000人以上を毎回殺してきたのだ。
幼馴染が死んでからは、人を殺す事に明け暮れていた日もあった。

椎名を責める資格など、初めからなかったのだ。
俺の方がよっぽど…。

「その方から退けよ…聞こえないのか?この豚野郎…」
「わしに逆らっていいと思っているのか?今謝れば少しは寛大な処置をして
 やるぞ?」
「寛大な処置?何を言ってるんだ?俺は今すぐに退けと言ったんだ。それと
 も獣王国の悪魔と呼ばれた俺がこの街ごと消し炭にして欲しいのか?」
「獣王国の…悪魔じゃと…ま、まさか…お前が…」

領主は急いで聖女を解放すると逃げようとした所を蹴り飛ばすと床に転がっ
ていった。

「誰が逃げていいって言ったんだ?案内しろよ?どこかは分かるよな?」
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