間違って村娘が勇者パーティーにいます

秋元智也

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第六十三話 行方

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天野の過去の事情を全部聞いた聖女はそれでも、側にいると言ってくれた。
人の温もりというのは心を安心させ解かしてくれると思った。

椎名にとって、そんな存在が春樹なのだろう。
まだ生きていると言っていた事から、きっとすぐにでも魔王城に行こうと
するだろう。

だが、ここに来たという事は椎名自身が剣の修繕にきているはずで、そう
簡単に直せるものではない。
しかも伝説級の武器とあれば、職人を選ぶだろう。

鍛冶屋に聞いてみたが、案の定持ち込まれたが断ったと話していた。

「ならしばらくはこの街に留まりそうですわね」
「あぁ、そういう事だ。まだ話す時間はたっぷりある」

昨日椎名と出会った半壊した宿屋へと行くと朝まではいたと言っていた。
その後の足取りは掴めないらしい。

「どこかには泊まるしかない。一緒に探しに行こうか?」
「そうですわね。聖女として反省しなくてはならない事ばかりですわ。」
「聖女って言ったって人間なんだから過ちだって犯すだろ?」
「そうですわね…ちゃんと謝って許してもらいますわ」
「うん、その調子だよ」

聖女を励ましながら、仲直りの方法を模索しようとしていた。
宿も決まってさぁ~探すぞとなった時、どこを探せばいいのか迷う。

「そういえば、どこに行くって聞いてなかったなぁ~」
「ドワーフは堅気気質な方が多いと聞きます。ですから宿屋以外に泊まれない
 はずだと思うのですが…」
「宿屋はあらかた回ったよな?」
「そうですわね…」

街の人に椎名くんの事を聞いても、半壊した宿屋に泊まっていたという情報し
かもっていなかった。
まぁ、確かに半壊した場所で見つけたのだが、まだそこに泊まっているとは思
えなかったが、それでも見に行くことにした。

ぼろぼろに壊されたドアに、天井も全ては吹っ飛び、いつ一階が崩れてもおか
しくはなかった。
そこには荷物もそのままになっており、ベッドの上に投げ出された服とアイテ
ムがそのままになっていた。

「これじゃ~盗んで下さいって言ってるようなもんじゃないか…。」

鉱石や魔物の魔石。そして各国の通貨までも残っている。
まるで本人だけがそこにいないだけのような現状にため息を漏らした。

「不用心すぎませんか?」
「それだけ、構っていられないんだろう?」

聖女は天野から話は聞いているので大体の事情は把握しているつもりだった。

「その…連れの攫われた人は生きているって保証はありますの?」
「さぁーね。魔王って名乗った奴が約束を守るような奴なら生きてるだろうけど
 …生かしておくメリットってなんだろう?って思うんだよね~」
「メリットって…勇者より有利に戦えるとか?」
「それはないよ、多分俺達より遥かに強いもん。」
「なら…ただ弄ぶ為とか?」
「なら、わざわざ勇者の連れを選ぶ必要はないだろう?」
「確かにそうですわね…」
「それに攫うなら男である必要はないからね~そういう趣味があるなら別だけど。
 もしくは魔王が女だったり?レベル上限を突破してるのは椎名くんと俺と聖女様
 だけだし…だけ…だよな…多分。」

少し引っかかった事を思い出した。
青年と椎名はナル山を超えてきた事だろう。
そこを椎名一人が戦ってこれたのか?
そんなに魔物が弱いはずはないし、群れで生息していると聞いていたはずだ。
青年も戦えるのか?
なら、かなり戦闘力が高い事になる。
なら、そう簡単に捕まるのか?

疑問は尽きなかった。
やっぱり椎名くんに聞かなければならない事がたくさんありそうだった。

さすがに丸二日間も聞き回ったにも関わらず椎名の行方が分からなかった。
誰に聞いても騒ぎの前までは友人と二人でいろんな職人に聞き回っていた
のは目撃されていたが、騒ぎの後ではさっぱり姿を見たものはいなかった。

「おかしいですわね~、騒ぎの後からパッタリと目撃すらされていないっ
 て…まさか街を出たとか?」
「それは…ないとはいえないけど…武器の修繕に来てるのに、何もしない
 で帰る訳は…そうか!修繕できる職人か!」
「でも、ここの職人さんは修繕は請け負っても泊めてまではくれませんよ?
 技術を盗まれる事を嫌って作業場もあまり見せたがらないですし」
「だが、それ以外に思いつかないし、探してみる価値はあると思う。」

伝説級の武器となれば普通に誰でも修繕できるとは思えなかった。

「あぁ、それならダイナの親父さんが作った武器だ。昔勇者と一緒に冒険
 してた時にいい鉱石が手に入ったって言ってな~、渾身の一振りを作っ
 たって話だ。もうかれこれ90年も前に落盤事故で亡くなっちまったけど
 な~、今は飲んだくれダイナが酒瓶を並べているんじゃないかのぅ~」
「場所はわかりますか?」
「あぁ、それなら…ほれっ!あの崖の上にぼろぼろの小屋があるじゃろ?あ
 そこがダイナの家じゃよ。」
「ありがとうございます。」
「しかし、行っても無駄だと思うぞ~。腕はあっても鉱石が無けりゃ~意味
 がないからな~」

その問題の鉱石を取るためにダイナの親父さんは亡くなったと言っていたっけ?
それでも会うだけでも会ってみようと思い、急な斜面を登っていく。
見晴らしだけはよかった。
下の街は多くの建物が被害に遭ったのに、ここだけは何もなかったかのように静
かだった。
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