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第六十六話 魔王城

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ステータスと一緒にマップ表示が乗るようになった。
画面を開くとそこには現在地と目的地と書かれた場所が出ていた。
そこには城のマークのアイコンが浮かび、点滅している。

たっぷすると『魔王城』と表示された。

「あ~やっぱりこういうことかぁ~」

土で作った人形を消すとワイバーンに乗って城へと向かった。
外観は西洋の城をモチーフに作られていた。
門をくぐるとあらゆる魔物が列を成して整列していた。

「あの~これはどういう…」

ちょっと前まで魔物を討伐してきた春樹からしたら、この眼前に起こっている
風景が信じられなかった。
全ての魔物達が頭を下げて、春樹の前に平伏しているのだ。

すると奥から3人の人型の魔族が現れた。
竜の鱗に尻尾を生やした体格のいい男は春樹の前に跪くと首を垂れた。

「我が王よ。復活おめでとうございます。我ら四天王がこれからはお支えする
 ので何なりと指示を…」
「ちょっと待って!何で俺の魔王だって思うの?」
「それは…誰もが分かるのです。王の前に立てば誰もが従わざるを得ないのです」

意味は分からないが彼らの態度がそう示している。
言葉ではないのだと…。

漆黒の鎧を解くと春樹の姿へと戻った。
それでも、態度は変わらないので見た目ではないのだろう。

「少し休みたいんだけど、部屋ってある?」
「ここにある部屋は全部が王のものです。聞かずとも自由にお使いになればよろ
 しいでしょう。食事はどうしますか?」
「う~ん、少し休んでからがいいかな…」
「分かりました。では後で運ばせましょう」
「ありがと」

門をくぐって中へと入った。
さっきまで春樹を連れて来てくれたワイバーンは飛び立つと巣穴へと帰って行っ
たのだった。

一眠りすると少し硬く感じたベッドがなんだか気持ちいいくらいに包み込まれる
ような質感になっていた。

(なんか疲れが取れるよな~、ん?なんか肩と腰の辺りが気持ちいい…)

ぷよぷよとした触感にモミモミと動く感覚に気持ちよささえ感じる。
温度も少しひんやりして気持ちがいい。
すりすりと無意識に撫でると、ぷるるるんとベッドが震えた。

「…ん?」

寝ぼけた目でゆっくり周りを見回すとベッドの上ではなく、春樹を覆っている
のはスライム状の何かだった。

慌てて起きようとするとグニュっと吸い込まれるように手足を取られた。

「なっ…なんだこれは!」
「すいません…そんなに暴れないで…/////。そこそんなに触られると…」
「え…だれ!!」
「私は四天王の一人ララと申します。お疲れのようでしたので…しっかり眠れ
 るようにと…」
「あぁ、なるほど。あのさ起きてもいいかな?」
「はい。すぐに…」

アメーバ状の身体を戻していくとさっき門で見た女性の姿になった。
普通の人のように見えたがまさかスライムだったとは。
レベルも見たが結構高い。

「最初に話していたのは?」
「ガスですか?彼は今訓練に出ています。いつ勇者がせめて来るか分かりませ
 んから。またせっかく生まれた魔王様を無くすような事は決してないように
 と、毎日訓練しています」
「そ…そうなんだ…」
「夜はティアが夜伽に参りますので。えーっとサキュバスなのできっと楽しめ
 るかと…」

(そっか…そういう種族もいるよな~ん?夜伽?)

「夜伽って…」
「夜のお相手の事です。何か不都合でも?それとも人間が良ければ連れて来ま
 すが」
「いや…人間って家畜みたいに…」
「はい、家畜小屋で飼ってますのですぐに持ってこれますよ」
「えぇっ…!!」

ララはなんでも話してくれた。
魔王城の側に家畜村という集落がある事。
そのほかにも街ぐるみで奴隷を飼っているらしい。
そこには人間がいて魔王や、四天王…特にティアが人間で遊ぶ為に飼っている
という。
男数人に、女が多数。子供もある程度いるらしい。
サキュバスという性質上、人間の性を食べているらしい。

今日からは魔王の相手とあって張り切っているとか…。
これは非常にまずい…。
椎名と交わってから、前でイケなくなってしまっていた。

「そういえばさ~もう一人のフードの人は?」
「彼は部下です。まさか四天王の一人が魔王様が復活される前に倒されたなど、
 他の者にはいえませんから。少し離れた街でゾンビの作成をすると言って出
 ていったのですが…亡骸になっていたと報告がありました。」
「そ、それは残念だったね…」

(んん!それって俺達が倒したアレだよな…マジか~めっちゃ強いとは思ってた
けど四天王って…そんな事言ってなかったぞ?)

ゾンビの製作ってめっちゃ迷惑だし…。
運ばれてきた食事は普通に美味しかった。
魔王城の一階には浴場も完備されていた。
石でできたタイルに囲まれた浴場にお湯を魔法で出すと早速入った。

「やっぱり気持ちいいなー、お風呂最高~」

のびのびと入れる事に全身を伸ばすと上をみあげた。
するとそこで色っぽい女性と目があったのだった。

「ぅわあぁぁぁあぁっーーーーーー!!」

大声を上げると春樹は飛び退いたのだった。




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